新川帆立の新作「倒産続きの彼女」はもうチェックしましたか?ベストセラーとなったデビュー作「元彼の遺言状」の次回作で期待が高まります。今回は本小説のあらすじとネタバレ解説をまとめました。伏線回収部分も詳しく述べるので、見逃していないか要チェック!
新川帆立の小説「倒産続きの彼女」とは
書名 | 倒産続きの彼女 |
作者 | 新川帆立 |
出版社 | 宝島社 |
発売日 | 2021年10月6日 |
ページ数 | 292ページ (Kindle版) |
新川帆立さんのデビュー作・「元彼の遺言状」は「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、さらに2022年4月に綾瀬はるか主演でドラマ化と話題になっていますね。今回紹介する「倒産続きの彼女」は二作目の小説です。
デビュー作に出てきた高飛車な女性弁護士・剣持麗子は今回も登場。ただし主人公は。麗子の一つ後輩のぶりっ子弁護士・玉子です。この2人のアンバランスな組み合わせで物語でどう生きてくるか?楽しみですね。
※「倒産続きの彼女」は以下に当てはまる人におすすめ!
・ちょっと変わった法律ミステリーを読みたい方
・前作「元彼の遺言状」が好きだった方
・2021年話題のミステリー小説をチェックしたい方
「倒産続きの彼女」のあらすじ【※ネタバレなし】
婚活中のぶりっ子弁護士・美馬玉子は、高飛車な弁護士・剣持麗子の後輩。ある日、この2人に奇妙な依頼が持ちかけられる。それは倒産しそうな会社・ゴーラム商会のもとに届いた、ある内部通報の調査。そこには「経理部の近藤まりあが転職する度に会社が潰れる」と書かれていた。
2人は謎の連続殺「法人」事件の真相へ迫っていく中、思わぬ事件に巻き込まれ…。
「倒産続きの彼女」の登場人物まとめ
まずは「倒産続きの彼女」に出てくる登場人物について、まとめました。ネタバレにならないように、重要な情報は一部隠しております。(太字は特に主要な人物)
【山田川村・津々井法律事務所】
・美馬玉子:婚活に励むぶりっ子弁護士。剣持麗子の一学年後輩
・剣持麗子:高飛車な弁護士。玉子から苦手意識を持たれている
・古川君:麗子たちの同僚。体を鍛えている
・津々井先生:玉子たちの上司
・川村:倒産チームのボス
・哀田:倒産チーム弁護士。こき使われている
【ゴーラム商会】
・近藤まりあ:経理部。転職する度にその会社が潰れる
・安西:管理部門役員。内部連絡について相談してきた
・只野愛子:総務課長。玉子と麗子の調査に応じる
【マルサチ木材】
・幸元:マルサチ木材の創業者
・幸元耕太:専務。幸元の息子
【高砂フルーツ】
・高砂義宗:3代目の元社長
・山峰顕:新事業を任された男
【玉子の周辺人物】
・シマばあちゃん:玉子の祖母。体を弱らせている
・ムネちゃん:シマばあちゃんの婚約者
・美法:弁護士。玉子と合コンに行くも、仲違いする
・築地:美法と参加した合コンで同席した医者
・渋野:玉子のゼミの先輩。刑事弁護に強い弁護士
【その他】
・信夫:麗子の彼氏
・赤坂宗男:テトラ貴金属の社長
・只野理江:只野愛子の姉
「倒産続きの彼女」の詳しいあらすじ【※ネタバレあり※】
ここからは「倒産続きの彼女」の詳しいあらすじを書いていきます。まだ小説を読んでいない方は、ネタバレしてしまうと面白さが無くなってしまうので、読むのはお控えください。一度読んだけど、内容を振り返りたい方やよく分からなかったという方向けの内容です。
【※ネタバレあり※】「倒産続きの彼女」のあらすじ(前半部分)
※ネタバレ部分は隠しコマンドになっています。※
ネタバレしていいからさらに詳しい前半のあらすじを知りたい方はこちらをクリック!
玉子と麗子の2人はゴーラム商会の内情調査をするために、総務課長の只野愛子を呼び出した。そこには倒産チームの弁護士・哀田も同席していた。只野は会社経営に危機を感じた際に、経理の近藤まりあに相談していたと言う。
近藤まりあのSNSアカウントを見ると、明らかに派手な金遣いをしていると思われる投稿ばかりだった。そこで玉子と麗子は近藤まりあと面談を行った。只野と相談していたという話では食い違いが見られたが、それ以外は不審な点はあまり見られない。
ヒアリングが終わって少しして、面談をしていた隣の部屋で只野が血を流して死んでいるのが発見された。只野は通称「首切り部屋」で、実際に首を切って死んでいたのだ。警察に通報すると、同時に公園で露出狂が出たという通報もあり、慌ただしい雰囲気だった。
只野の死の真相は分からないままだったが、玉子と麗子はこれまで近藤まりあが勤務していた会社の調査を進めた。すると、最初の会社で近藤まりあが不正会計に関わっていたこと、他の会社はどちらかというと倒産に巻き込まれた形であったことなどが分かった。
また会社が潰れた際の人材の移転先として、どこもテトラ貴金属という会社が関与していると判明した。テトラ貴金属の社長は「赤坂宗男」という人物だった。
【※ネタバレあり※】「倒産続きの彼女」のあらすじ(後半部分)
※ネタバレ部分は隠しコマンドになっています。※
ネタバレしていいからさらに詳しい後半のあらすじを知りたい方はこちらをクリック!
玉子が調べていたのは、近藤まりあが2番目に働いていた会社・マルサチ木材。ある日、創業者の幸元が警察に連れて行かれる。只野が首を切った時、幸元は只野と会っていたのだ。しかし幸元は無実だった。ただしその場で疑われるのを避けるために、服を脱いで逃げ出していた。(当時公園で露出狂騒ぎが出ていたのは、この件だった)
玉子と麗子はさらに調査を進める内に、只野愛子と近藤まりあが最初に働いた会社で接点があったことを突き止める。さらに只野愛子には姉の理江がいて、理江と近藤まりあが勤めていた会社も重複していたと知る。
なお、物語は玉子と祖母のやりとりも適宜挟まれながら進行する。玉子の祖母・シマばあちゃんには婚約者のムネさんがいた。しかしシマばあちゃんは体を弱らせており、物語中盤で亡くなってしまう。
祖母との経緯は、玉子が大事な人を亡くしながらも自分の仕事とどう向き合っていくかを描く上で重要なエピソードであった。しかしここにはさらに重大な伏線が隠されていた。物語のラストで、シマばあちゃんの存在が意外な繋がりを持っていく…。
【※ネタバレあり※】「倒産続きの彼女」のあらすじ(ラスト・結末部分)
※ネタバレ部分は隠しコマンドになっています。※
ネタバレしていいからラストの詳しいあらすじを知りたい方はこちらをクリック!
シマばあちゃんが婚約していた男性・ムネさんは、テトラ貴金属の社長・赤坂宗男だった。玉子はそのことを知り、シマばあちゃんの過去を明かすのと同時に人材調達をどうしていたのか迫る。すると赤坂は人材調達について、トラと呼ばれる裏社会のグループに依頼していたと白状する。
次に、玉子と麗子は近藤まりあに対して尋問する。しかし近藤まりあはトラの存在を知らなかった。只野愛子に毎月30万をあげると約束されて、指示された場所で勤務しているだけだった。
トラと繋がって会社を倒産に追い込もうとしていたのは、只野愛子だった。只野は姉の理江が非正規社員として冷遇されその後自殺したことに怒りを覚え、復讐しようとしていた。自身が首切り自殺をして、マルサチ木材の社長にその罪をなすりつけようとしたのも、意地でも会社を倒産させようとする強い執念の現れだった。
ラストの場面で、玉子はいきなり哀田に襲い掛かられる。実は哀田こそトラの一員であり、トラの存在を知った者を消そうとしてきた。赤坂は哀田に殺されてしまったが、玉子はギリギリのところで一命を取り止めた。哀田はその後に、他のトラのメンバーに始末された。
赤坂宗男に明かした、シマばあちゃんの過去。実はシマばあちゃんの両親も会社経営が苦しくなり死に追いやられていた。実はそこにもトラが関わっていたのだと知った。怪我から回復した玉子は、シマばあちゃんが好きだった干し柿を作ろうと決意するのだった。
「倒産続きの彼女」の伏線と伏線回収部分を改めて振り返る!
いかがでしたか?詳しいあらすじでも書きましたが、ここで改めて伏線と伏線回収部分について整理していきましょう。こちらもネタバレを含むので、クリックしてから読めるようにしています。
ネタバレしていいから伏線と伏線回収部分を知りたい方はこちらをクリック!
箇条書きでまとめていきます。
・只野愛子の死の真相
【伏線】近くの公園で露出狂騒ぎがあった
【伏線回収】容疑をかけられた幸元が服を脱いで逃げ出していた
→実際は只野愛子の自殺。マルサチ木材を倒産させたい只野愛子が、幸元に罪をかぶせたかった。
警察が忙しい雰囲気を出すために露出狂騒ぎを入れただけかと思いましたが、実は伏線になっていたんですね。
・シマばあちゃんの婚約者のムネちゃん
【伏線】シマばあちゃんが貴金属をプレゼントされていたこと、ムネちゃんという名前、また赤坂という名前も時折出ていた
【伏線回収】名刺を見て、テトラ貴金属の社長・赤坂宗男と同一人物だと発覚する
前作「元彼の遺言状」でも、事件のキーとなる人物のフルネームが物語中盤で明かされるという大胆な仕掛けがありました。そこを覚えていた人はすぐに気づけたかも
・シマばあちゃんの過去
【伏線】シマばあちゃんの含蓄ある言葉、ムネちゃんには自分の過去を決して教えなかった点
【伏線回収】実はシマばあちゃんの両親は事業がうまくいかずに、死に追いやられた
→さらにこの死にはトラがかかわっていた
途中で亡くなりますが、シマばあちゃんの存在はとても印象的でしたね。
「倒産続きの彼女」の感想まとめ
ここからは「倒産続きの彼女」の感想を書いていきます。できるだけネタバレしない範囲で紹介しますね。
さとなり編集部における「倒産続きの彼女」の感想
前作「元彼の遺言状」でかなり強烈な存在だった剣持麗子が脇役になるのが意外でした。ただ相変わらず麗子の存在感は抜群で、主人公のぶりっ子キャラである弁護士・美馬玉子を通して見るくらいがちょうど良かったのかもしれません。
玉子は最初、麗子に苦手意識を持っていますが、修羅場を乗り越えていく中でだんだんと距離感が近くなっていきます。またシマばあちゃんとのやりとりや、状況の変化で次第に玉子が成長していく姿が微笑ましいです。
ミステリーとしては前作に比べるとやや劣ってしまうでしょう。ただそれは前作の謎や仕掛けがあまりにもセンセーショナルだったので、致し方ないと思います。それでも十分に楽しめる内容ですし、最後に思わぬトリックやハラハラする展開があって、ラストまで一気読みしてしまいました。
デビュー作・二作目と来たので、今後もシリーズ化しそうな感じがしますね。続いては同僚で体を鍛えるのが好きな古川君が、主人公になるのでしょうか。新川帆立さんの作品には少なからずアクションシーンが出てくるので、今後は古川君のアクロバティックな活躍にも期待したいです。
SNSやレビューサイトに寄せられた「倒産続きの彼女」の感想まとめ
続いてTwitterやレビューサイトに掲載された、「倒産続きの彼女」の感想を一部紹介します。
#読了 新川帆立「倒産続きの彼女」
シリーズ2作目。
前作の強気ヒロイン・剣持麗子の後輩弁護士が主人公。働く女子として等身大の悩み・妬みを持つキャラで対照的な魅力があった。後半の急展開はやや力業を感じつつも、グイグイ読ませる文章で一気読み。法律話も解りやすい。
今作も面白かった! pic.twitter.com/MEi0C5mccL— しろた (@shirotan_gw) December 21, 2021
法律ミステリーですが、難しい話が一切なくて読みやすいのが魅力ですね。
新川帆立『倒産続きの彼女』(宝島社)を読む。転職するたびにその会社は倒産するという女性をめぐる連続倒産事件。企業法務の世界は私にとって馴染み深い領域なので評価は甘目かもしれないと思うもののこれは面白いぞ。デビュー作より格段に面白い。謎の経済犯罪集団の存在も示唆され、今後も楽しみ。
— Genei-John (@noji2207) December 22, 2021
確かに謎の経済犯罪集団は、今後の作品にも登場してくるかもしれませんね。
【倒産続きの彼女】#読了
「連続倒産事件の犯人は誰なのか。一流弁護士たちが駆け巡る難解ミステリー」
最後まで犯人がわからず、意表を突かれた話。話を思い出しながら読んでいくと伏線が何個もあり、奥深くワクワクした小説だった。#読書好きな人と繋がりたい #読書レビュー #読書好き #本好き pic.twitter.com/nyItl8jzQ3
— 剣心@リアル体験books (@books38282517) December 16, 2021
読み返すと、大胆な伏線が仕掛けられていることにびっくりしてしまいます。
大ヒット作に続く第2作というのは一般に凡作に終わってしまうことが多いのですが、この作品はよく書かれています。作品前半にいろいろな種が撒かれ、物語の複線・複々線まで含めて、終盤に向かって一気に解決に向かうよく練り込まれた構成が見事です。
引用:amazon
ミステリーを読み慣れている方でも絶賛しています!
”醜いアヒルの子の定理”に迫る。
世の中の、区分けされ、そのくくりに入るという流れに一石を投じている。
引用:amazon
今回の記事ではあまり触れていませんが、途中で出てくる「醜いアヒルの子の定理」が物語において効果的に働いています。その点も含めて楽しく読んでみてください。
「倒産続きの彼女」もドラマ化される?玉子のキャストは誰?
2021年12月時点で、「元彼の遺言状」はドラマ化されることが発表されています。ではその続編とも言える、「倒産続きの彼女」もドラマ化されるのでしょうか?
現時点ではあくまで予測の段階ですが、おそらく「倒産続きの彼女」も「元彼の遺言状」のドラマに組み込まれるのではないでしょうか?というのも、デビュー作の「倒産続きの彼女」だけでは1クール放送が持たないからです。おそらくドラマのタイトルは「元彼の遺言状」ですが、第5話か第6話あたりから「倒産続きの彼女」の内容が放送されるのではないかと予想しています。
ちなみにキャストですが、メインキャストとして綾瀬はるかさんが決定しています。綾瀬はるかさんは主人公の剣持麗子役です。高飛車な女性弁護士ということで、クールビューティーで華がある、綾瀬はるかさんにはぴったりの役柄でしょうね。
対して、「倒産続きの彼女」の主人公である玉子が登場する場合、誰が務めることになるのでしょうか?ぶりっ子キャラができそうという意味でいうと、実際にぶりっ子キャラで人気となり最近は女優活動にも精力的な田中みな実さんが真っ先に浮かびますね。
しかし綾瀬はるかさんの一つ下という役柄で、もう少し妹分な雰囲気を出したいので、そうすると少しずれるでしょうか。準主役クラスで人気女優という意味でいうと、以下の方が当てはまりそうです。
【美馬玉子役に当てはまりそうなのは…】
・木村文乃
・大島優子
・岸井ゆきの
あたりが適任かもしれません。
ドラマの詳しい内容発表を待ちたいところですね。
まとめ:「倒産続きの彼女」はぶりっ子弁護士の奮闘が光る法律ミステリーだった!
いかがでしたか?「倒産続きの彼女」についてまとめます。
・デビュー作「元彼の遺言状」の続編
・ぶりっ子弁護士・美馬玉子の成長に期待
・大胆な伏線と、巧みな伏線回収が読みどころ
・分かりやすい法律ミステリー
・ドラマ化にも期待!
以上です。まだ読んだことない方はぜひチェックしてみてください!
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