3分で分かる『存在のすべてを』のあらすじ&ネタバレ解説・感想まとめ【本屋大賞候補作】

今回は『存在のすべてを』のあらすじや感想をご紹介。タイトルの意味から主題を考察し、二児同時誘拐事件の真相が分かるラストシーンについても言及(ネタバレ部分は読んだ人だけチェックできるようにしています)。ぜひ最後まで読んでみてください。

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【2024年本屋大賞候補作】塩田武士の小説『存在のすべてを』とは

書名 存在のすべてを
作者 塩田武士
出版社 朝日新聞出版
発売日 2023年9月7日
ページ数 472ページ

作者の塩田武士さんは、2011年デビューの作家。2016年に発表した『罪の声』や2017年に発表した『騙し絵の牙』は、どちらもその後に映画化され、話題になりました。本作『存在のすべてを』は2024年本屋大賞候補作に選出されています。

本作は30年前に起きた二児同時誘拐事件について、当時の新聞記者だった門田次郎が心労を突き止めようとする物語。何者かに連れ去られ、空白の3年間を経て戻ってきた被害男児は、現在、人気の写実画家となっていた…。

※『存在のすべてを』は以下に当てはまる人におすすめ!
・儚い愛情が感じられる作品を読みたい人
・写実絵画に興味がある人
・2024年本屋大賞の候補となった話題作をチェックしたい人

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3分で分かる『存在のすべてを』のあらすじ【※ネタバレなし※】

1991年12月11日。厚木市において、立花敦之君が何者かに連れ去られた。さらにその後、横浜市山手町にて内藤亮君も誘拐されていたことが分かる。二児同時誘拐。県警が想定していなかった前代未聞の事態が発生した。

立花敦之君は無事発見されたが、内藤亮君の事件は取り引きに失敗し、男児の行方も分からないままだった。内藤亮の母・内藤瞳は育児に無関心で、祖父母の木島茂と塔子が面倒をみていたことも、事件の真相が不透明になる要因であった。

しかし、その約3年後に内藤亮は、木島茂たちのもとへ帰ってきたのだ。内藤亮は空白の3年間について何も話さず、誘拐犯も見つからないまま時が過ぎ去っていった。

2021年12月。誘拐事件から30年が経ったある日、当時の事件を担当した大日新聞の記者・門田次郎は、ある週刊誌の記事を目にする。それは内藤亮が現在、人気画家になった旨を書かれたものだった。「如月脩」という名前で写実画家として活躍しているようだ。

そこで門田はあることに引っかかる。それは瞳の内縁の夫である人物が、詐欺の前科を持つ野本雅彦と繋がっており、その弟も画家をしていることだ。門田は当時の事件にあたった刑事・中澤からの言葉を思い出す。

結局、門ちゃんは何でブンヤをやってるの?
引用:『存在のすべてを』本文(73ページ)より

そして門田は当時の誘拐事件について、再調査を始めた。

時を同じくして、件の週刊誌の記事に目を留めた者は他にもいた。父が経営する「わかば画廊」の手伝いをする女性・土屋里穂だ。高校時代に内藤亮と同級生だった里穂は、当時のことを思い出して……。

門田が追う誘拐事件の真相は?そして亮が連れ去られていた空白の3年間に、一体何があったのだろうか……。

『存在のすべてを』の登場人物まとめ

ここで『存在のすべてを』の登場人物をまとめてみました。ネタバレにならない程度に主要な人物を紹介します。

【大日新聞】
・門田次郎(もんでんじろう):大日新聞支局長。54歳。誘拐事件当時は二年目の記者。誘拐事件の再捜査を行う。
・藤島光一(ふじしまこういち):警視庁キャップや社会部デスクを経た編集委員
・下田悦子(しもだえつこ):庶務

【神奈川県警】
・中澤洋一(なかざわよういち):刑事。誘拐事件では現金を渡す際の指示を出した。2021年に死亡した。
・三村智也(みむらともや):誘拐事件の対応に関わった管理官。中澤から生前に事件資料を受け取っていた。
・先崎隆明(せんざきたかあき):刑事。中澤の後輩刑事として、誘拐事件の対応に関わった。
・富岡克己(とみおかかつみ):元刑事。誘拐事件で不審者の尾行を行った。

【誘拐事件被害者】
・立花敦之(たちばなあつゆき):小学6年生。厚木市にて誘拐される。その日のうちに保護される。
・内藤亮(ないとうりょう):4歳。横浜市山手町にて誘拐される。空白の3年間を経て、家族のもとへ戻る。
・木島茂(きじましげる):海陽食品創業者。孫の亮の面倒を見る。誘拐事件の警察の対応に不信感を抱く。
・木島塔子(きじまとうこ):茂の妻
・内藤瞳(ないとうひとみ):亮の母。育児に無関心で、実子が誘拐されても他人事のように接する。

【画家関係者】
・如月脩(きさらぎしゅう):人気の写実画家。週刊誌で過去の経歴について暴露される。
・岸朔之介(きしさくのすけ):画商。画廊「立花」の創業者。
・野本貴彦(のもとたかひこ):写実画家。世渡りが苦手な一面がある。
・土屋里穂(つちやりほ):父が経営する「わかば画廊」の手伝いをする。内藤亮とは高校の同級生。

『存在のすべてを』のネタバレ解説&考察まとめ

ここからは『存在のすべてを』の魅力を深掘りするために、タイトルの意味、作品の魅力、ラストシーンのネタバレ考察などを行います。

タイトル「存在のすべてを」の意味は?作品の主題を考察

「存在のすべてを」というタイトルは、作品の主題を大きく反映したものとなっています。第一に誘拐された内藤亮自身の存在について。彼は幼児の頃に誘拐され、空白の3年間を過ごした後、現在は人気の写実画家となっています。

この空白の3年間に何があったのか。そもそもなぜ内藤亮はこの3年間の出来事を口にせずにいるのか。そこには深い理由があり、亮が成長する中で大きな意味を持ってきます。詳しくは次の章で考察していきましょう。

また、他にも、新聞記者の門田次郎の存在も大きな意義を持っています。作中で彼が「なぜブンヤを続けているのか」と自分に問いかけているように、新聞記者としてのあり方も一つのテーマとなっているのです。

このことについては、作中にその意義を示す記述が出てくるので、一部引用しましょう。ネタバレとなるので、作品を読んだ人だけ以下をクリックして読んでみてください。

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門田は先輩記者の藤島から、ブンヤを続ける意義についてこう語られます。

ブンヤなんて問題を解決できるほど立派なもんじゃない。問題を伝えることしかできない
(略)
大事なのは、なぜそれを伝えるかってこと
引用:『存在のすべてを』本文(160ページ)より

結果そのものよりもその過程や根拠が大事なのだということでしょう。これはある種、どの職業にも当てはまりそうな考え方ですよね。

ラストシーンをネタバレ考察!誘拐の犯人や空白の3年間の真相について

ここでは、本作のラストシーンをおさらいし、結末について考察していきます。がっつりネタバレを含むので、本作を最後まで読んだ人だけチェックするようにしてください。

ネタバレしていいからラストシーンの考察を知りたい方はこちらをクリック!

二児同時誘拐について、立花敦之君の誘拐は囮(おとり)で、本来の狙いは内藤亮君でした。誘拐犯は野本雅彦で、雅彦にだまされる形で弟の貴彦とその妻の優美が預かることになったのです。

貴彦と優美は、新聞の記事で誘拐された男児を預かっていることを知りますが、雅彦のもとに返すと殺されるのではないかと危惧し、さらに男児の母が育児に無関心なのを確認して、最終的に自分たちで育てようと決意します。

2人は、亮に写実の才能があると分かり、絵を通じてコミュニケーションを図ります。そこで本作の主題につながる、存在についての考え方を教えるシーンが登場するのです。

うまい絵なんて描こうとしなくていいから。大事なのは存在。
(中略)
キャンパスの中のものはみんな等価値、つまり、みんな同じくらい大切ってこと
引用:『存在のすべてを』本文(420ページ)より

さらに貴彦と優美が、亮を祖父母のもとへ帰そうと決め、その期日が迫ってくる中でこんなシーンが出てきます。

これから世の中がもっと便利になって、楽ちんになる。そうすると、わざわざ行ったり触ったりしなくても、何でも自分の思い通りになると勘違いする人が増えると思うんだ。だからこそ『存在』が大事なんだ。
(中略)
写実画を描くということは『存在』を考えること。
引用:『存在のすべてを』本文(436ページ)より

こうして写実画を描く意義について教わった亮は、貴彦と優美に恩義を感じ、祖父母のもとへ帰ってもそのことを口外せずに育っていったのでした。

その後、貴彦と優美は行方が知れなくなっていましたが、結末で実は優美が亮のアトリエのお手伝いとして働いていることが明かされます。二人は感動の再会を果たしていたのでした。

ただ、その一方で野本貴彦についての行方は分からないまま終わります。そこが読者としてややモヤモヤが残ってしまうかもしれません。絵の中に実在するということで作品が帰着したという考え方もできますが、もしかすると貴彦の行方を追う続編が描かれる可能性も考えたくなりますよね。そのあたり、皆さんはどう考えますか?

映画化・ドラマ化する?キャストを予想してみた

『存在のすべてを』はスケール感の大きい作品なので、映画化やドラマ化すると、また違った味わいで楽しめそうですね。緊迫感のある誘拐のシーンや、ラストの展開は劇場でみると、圧倒的な迫力で心に残るでしょう。

2024年2月時点では、まだ映像化の話はありませんが、ここではもし実写化された場合、どんなキャストになるか予想してみました。

・門田次郎:大沢たかお
・中澤洋一:松重豊
・三村智也:古舘寛治
・先崎隆明:上川隆也
・富岡克己:正名僕蔵
・木島茂:光石研
・内藤瞳:瀧内公美
・如月脩:山田裕貴
・岸朔之介:西田敏行
・野本貴彦(30年前):磯村勇斗
・土屋里穂:深川麻衣

いかがでしょうか。皆さんは誰を予想しましたか?

『存在のすべてを』を読んでみた感想

ここからは『存在のすべてを』を読んでみた感想を書いていきます。また読者のレビューも合わせてまとめました。

【筆者の感想】存在とは何か?にじっくり向き合う

二児同時誘拐事件というインパクトが大きいところから始まったので、骨太のミステリー作品かと思いきや、どちらかというと人間物語に重きを置いたストーリーとなっていました。冒頭の緊迫感のある誘拐事件から一遍、じっくりと人間関係の謎を解明しつつ、新聞記者の門田をはじめとした登場人物たちの内面に切り込んでいく様は見事でした。

写実画というのはあまり馴染みがないジャンルでしたが、現実をそのまま描写することでどういう意味を持つのか、なぜ写真ではなく絵である必要があるのか、といったところを深く考えさせられました。また、絵が持つ普遍的な力がうまく活かされていたようにも思います。

塩田武士さんは、既に人気作家ですが、今回本屋大賞の候補になったことで、またさらに注目されそうですね。これまでも人気作が映画化されているだけに、またスクリーンでもみたいなと期待してしまいます。

【みんなの感想や評価】涙なしで読めない空白の三年間の真実

続いて読者がSNSやレビューサイトに投稿した感想、口コミをまとめました。

新聞記者の門田と、亮の同級生里穂の視線で交差しながら書かれている。まるで写真のように生々しい写実画を通し、亮が誘拐された3年間の空白を追跡するやり方が特別だ。
門田記者のパートはルポライターのようにかたく、里穂のパートでは初恋が切実に描かれ、感性を補充する。
人間の存在とは、家族とは何かを考えられる大切な時間になった。
引用:Amazon

まとめ:『存在のすべてを』は存在とは何かを考えさせられる小説だった

いかがでしたか?『存在のすべてを』の特徴を以下にまとめました。

・2024年本屋大賞候補作
・存在とは何かを考えさせられる
・空白の三年間の真実は涙なしには読めない

以上です。まだチェックしていない方は、ぜひ読んでみてください!

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