今回は『レーエンデ国物語』のあらすじや感想を紹介し、作品の魅力やラストシーンの考察・解説をまとめました(ネタバレを含むシーンは隠しています)。架空の国・レーエンデを舞台にした、少女の成長を描く物語。本屋大賞にもノミネートされた本作、要チェックです!
【2024年本屋大賞候補作】多崎礼の小説『レーエンデ国物語』とは
書名 | レーエンデ国物語 |
作者 | 多崎礼 |
出版社 | 講談社 |
発売日 | 2023年6月14日 |
ページ数 | 496ページ |
2024年の本屋大賞候補作に選出された『レーエンデ国物語』。読書メーター読みたい本ランキング(単行本部門週間)で1位となり、第45回吉川英治文学新人賞の候補にもなるなど、既に大きく評価されている作品です。
本作は、古くから呪われた地域と呼ばれてきた、不思議な国・レーエンデ国を舞台にした物語。騎士団の英雄である父とともに少女のユリアが旅をして、初めての友情や恋愛を経験し、やがて国の争乱に巻き込まれていきます。
※『レーエンデ国物語』は以下に当てはまる人におすすめ!
・読者はやや苦手だが、SFアニメは好きな人
・幻想的な雰囲気の異世界空間に浸りたい人
・2024年本屋大賞の候補となった話題作をチェックしたい人
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3分で分かる『レーエンデ国物語』のあらすじ【※ネタバレなし※】
聖イジョルニ帝国において、どこにも属さずに古来から「呪われた地域」と呼ばれる場所があった。それが「レーエンデ」だ。この物語はそんなレーエンデにまつわる革命の話である。
騎士団の英雄であるヘクトル・シュライヴァのもとに生まれた、ユリア。生後すぐに母を亡くし、家に縛られて生きてきた。自分が空っぽであると自覚するユリアは、父とともに旅に出る。
そんなユリアがレーエンデの地で出会ったのが、トリスタン・ドゥ・エルウィンだ。元傭兵で弓の名手でもある彼には、実はある秘密があった。
雄大な大アーレス山脈を背景に、古代樹の森や湖に立つ孤島城などがある「不思議の国レーエンデ」。そこでは全身が銀の鱗に覆われてやがて死に至る、銀呪病という風土病の噂もある。
旅をするなかでユリアは、初めて友達ができ、そして恋をする。やがて、レーエンデ国を巡る争いにも巻き込まれ……。
『レーエンデ国物語』のネタバレ解説&考察まとめ
ここからは『レーエンデ国物語』の魅力を深掘りするために、作品の魅力、ラストシーンのネタバレ考察などを行います。
アニメのような雰囲気で楽しめるSF作品
『レーエンデ国物語』はアニメを見ているかのような雰囲気で楽しめるのが大きな魅力だといえます。普段はあまり小説を読まない人や、小説を読むのに堅苦しいイメージがある人にぴったりな内容でしょう。
作中の冒頭に紹介される登場人物たちの紹介は、まさしくアニメのキャラクター紹介のようなイメージで、すんなり入ってきやすいです。文によるキャラクター造形も同様で、たとえばユリアが旅先で出会ったトリスタンについては、以下のような描写が出てきます。
古代樹の根元に小さな木の扉がある。その前に手籠を抱えたトリスタンが立っている。
(中略)
風に揺れる長い黒髪、透き通った琥珀の瞳、その姿は森の精霊のようだった。
引用:『レーエンデ国物語』本文(69ページ)より
また、レーエンデ国も幻想的なイメージができるような書き方がされています。古代樹の森、湖に立つ孤島城、空を漂う球体の泡虫など。現実世界を忘れ、その世界観へ没頭できる舞台設定になっています。
呆然としてユリアは古代樹林を見上げた。乳白色の幹が樹冠を突き抜け、はるか蒼天へと伸びている。予想以上の高さだった。想像を絶する大きさだった。圧倒されて声も出なかった。
引用:『レーエンデ国物語』本文(28ページ)より
主人公・ユリアが成長していくところに注目
ユリアはいわゆるお嬢様のように育ち、世間知らずなところがあります。ディズニーの「ラプンツェル」のようなイメージで、外に出ていろんな経験をして成長していくところは、まさに物語の王道ですね。
初めて友達ができ、初めて恋をして…。そんな彼女の成長がひとつのキーポイントとなっています。
そんなユリアが終盤には思わぬできごとに巻き込まれ、大きく運命が変わります。冒頭の「序章」において、ユリアはやがて「レーエンデの聖母」になると紹介されていますが、果たして彼女に何が起こったのでしょうか。それは次の章で触れていきましょう。
ラストシーンのネタバレ考察!ユリアの運命とは?
ここでは物語の終盤について、考察した内容を書いていきます。ネタバレを含むので、最後まで読んだ人だけクリックするようにしてください。
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ユリアはある者に捕らわれ、その間に彼女の身に大きな変化が起きます。結果的に彼女は悪魔の子供を受胎したと噂されるのです。
実際にお腹のなかに子供の存在を悟ったユリア。しかし迷信を信じる周囲の者は、悪魔の子の影響に怯え、ユリアもろとも排除しようとします。そこを命がけで守ったのが、トリスタンでした。
子を孕んだことで、予知能力が身についたユリア。トリスタンが命の危機にさらされる中、その場はなんとか助かります。このシーンも体がボロボロになったヘクトルとトリスタンのやりとりに感動させられましたね。
予知能力などの不思議な力が発揮される点や、地の利を生かし、自らの病気を逆手にとって相手を脅して命が助かるところなど、この物語の設定がうまく生きているなと思い、感心しました。
『レーエンデ国物語』を読んでみた感想
ここからは『レーエンデ国物語』を読んでみた感想を書いていきます。また読者のレビューも合わせてまとめました。
【筆者の感想】特に後半の怒涛の展開に引き込まれた
正直、SFをあまり読みなれていないせいか、前半はうまく世界に没頭できていなかったですが、後半から徐々に引き込まれ、最後の方はどんどん入り込んでいきました。物語の設定がうまく生きているなと感心しました。
少女が成長していくシーンは物語の王道ですし、中学生あたりの読書感想文の課題図書としても良さそうですね。中学生の読者がこの物語を通じて、どのように感じるのか知ってみたいです。
作品自体がすでにアニメ的なのですが、実際にアニメ化されたら壮大かつ幻想的な世界観でまたさらに人気が出そうですね!本作はシリーズ化され、2部3部と既に発売されているので、早く続きを読んでみたいと思いました。
【みんなの感想や評価】美しさも醜さも持っていける人々の物語
続いて読者がSNSやレビューサイトに投稿した感想や口コミ評価を紹介していきましょう。
多崎礼『レーエンデ国物語』講談社
王道ファンタジーだった。
冒頭部で世界観をキレの良い文章で描写したあとは、会話多めの構成でテンポよくストーリーが進みます。トリスタンの人気が高いのも納得です。彼はいいイケメンです。#読書好きな人と繋がりたい #読了 pic.twitter.com/tnsUYyZEhO
— トミト (@tomito__B) February 18, 2024
作者が書きたい世界を一切妥協する事なく創りあげた熱量を感じた一冊。世界観こそファンタジーだけど、中身は美しさも醜さも持って生きる人々の物語。読後の持っていかれた感がすごかった…
ファンタジーやRPG(DQ、初期のFF・幻水あたり)好きな人は是非読んでほしい。#読書 #読了#レーエンデ国物語 pic.twitter.com/cZzyergCnD— いの (@i_no_pei2) February 20, 2024
魅力的でキャッチーなキャラがすぐに登場し、
どのシーンも気持ちよく読める展開で、
それでいてレーエンデという魅力的な世界がたくさん描かれています。
まさに、最新の古典ファンタジーと言える小説だなと感じました。
引用:Amazon
「レーエンデ国物語」田崎礼
主人公ユリアの冒険記といったところでしょうか。分かりやすくて、すんなり入り込めるファンタジー。ファンタジー苦手な人でも難なく読めそう。ユリアを取り巻く男性人が魅力的でした。#読書 #読了 pic.twitter.com/1FpwqSRrbK— panda_mone (@mone_panda) February 14, 2024
まとめ:『レーエンデ国物語』は幻想的な雰囲気と少女の成長に注目の物語だった
いかがでしたか?『レーエンデ国物語』の特徴を以下にまとめました。
・2024年本屋大賞候補作
・幻想的な舞台設定と登場人物の造形で引き込まれる
・主人公の少女・ユリアの成長に感心させられる
以上です。まだチェックしていない方は、ぜひ読んでみてください!
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