2023年の本屋大賞の候補に選ばれた『君のクイズ』(著:小川哲)。今回はこの小説のあらすじと感想を紹介するとともに、作品の魅力の解説や主人公の対戦相手だった本庄絆が「ママ、クリーニング小野寺よ」と回答できた理由のネタバレ考察などを行います。
小川哲の小説『君のクイズ』とは
書名 | 君のクイズ |
作者 | 小川哲 |
出版社 | 朝日新聞出版 |
発売日 | 2022年10月7日 |
ページ数 | 192ページ |
問題。「第168回直木賞を受賞した小川哲さんが2022年に発表した、クイズを題材にしたエンターテインメント小説とは?」正解は「君のクイズ」。今回紹介する、話題の小説です。伊坂幸太郎さんや、テレビプロデューサーの佐久間宣行さんが絶賛しており、2023年の本屋大賞候補にも選ばれています。
『君のクイズ』は、早押しクイズの優勝者を決める大会で起きたある謎の真相を追求する物語。主人公の対戦相手が問題文を読まれる前に回答して正解したことを受け、主人公が当時の問題を振り返る中で、あることに気づいていきます。
※『君のクイズ』は以下に当てはまる人におすすめ!
・テレビのクイズ番組や「QuizKnock」のYouTube番組が好きな人
・クイズプレイヤーの思考を知りたい人
・2023年の本屋大賞の候補になった話題作をチェックしたい人
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3分で分かる『君のクイズ』のあらすじ【※ネタバレなし※】
早押しクイズの大会「Q-1グランプリ」決勝戦に進出した僕。優勝がかかる、最後の一問でまさかの出来事が起こる。対戦相手の本庄絆が、問題文を聞く前に回答し、しかも正解したのだ。彼はなぜ0秒で正解を導き出せたのだろうか?
あれはクイズだったのか?それとも魔法だったのか?
引用:『君のクイズ』134ページより
僕は決勝のVTRを見返し、一問一問を振り返る。すると、あることにだんだんと気付き始める。それは単にクイズが知識の集積だけで成り立つものではないという、クイズの本質を突くものだった。そして僕がたどり着いた、驚くべき真実とは?
『君のクイズ』の主な登場人物まとめ
『君のクイズ』の主な登場人物についてまとめました。
・僕(=三島玲央):本作の主人公。Q-1グランプリ決勝戦で本庄絆に敗れる。
・本庄絆:Q-1グランプリ決勝戦の優勝者。東大医学部四年生。
・坂田泰彦:Q-1グランプリの総合演出を務める。
・片桐さん:Q-1グランプリ出演者
・富塚さん:Q-1グランプリ準決勝での僕の対戦相手
・山田貴樹:僕の中高のクイズ研究部の後輩
・桐崎さん:僕がかつて交際していた女性
中塚:京大医学部のクイズプレイヤー
本庄裕翔:絆の弟
飯島:大学のクラスの友達
高橋部長:高校の時のクイズ部部長
『君のクイズ』のネタバレ解説&考察まとめ
ここからは『君のクイズ』の魅力をさらに深掘りするために、考察した内容を書きます。ラストシーンの考察も含みますが、ネタバレとなる部分はクリックしないと読めないようにしていますので、未読の方はそこだけ飛ばしてください。
クイズプレイヤーの思考が分かっておもしろい!
主人公がQ-1グランプリの決勝戦を丁寧に振り返っていく中で、クイズプレイヤーがどう思考しているのかが分かるように描かれています。特におもしろいと思うのが、早押しクイズには問題を全て読まずに、ある箇所まできたら問題文と回答を予想できる「確定ポイント」があるということ。
例えば、「日本一高い山は富士山ですが」と問題が読まれると、次に来る言葉でどういう問題が来るか予想できるのです。もしそこで「せ」が来れば「世界一高い山」、「に」が来れば「二番目に高い山」を聞いてくると判断できます。
こういった思考を応用した問題を考えた企画が、YouTubeにもあがっています。東大生クイズプレイヤーを中心に結成された「QuizKnock」が投稿している、定番の「ですが問題」をおもしろくアレンジした内容の動画です。
確定ポイントというのが、クイズプレイヤーにとっていかに重要かが分かりますね。
クイズとは人生である!記憶と知識の結びつきに注目
主人公は決勝戦でのクイズを一問一問振り返っていくと、あることに気づいていきます。少しネタバレ気味になるので、作品を一読した人だけ、下記をクリックして読んでみてください。
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実は決勝戦で出題されていたクイズは、回答者のこれまでの人生経験と関連する問題が多く出題されていました。それは番組の総合演出を務める坂田泰彦による意図的な企みだったのです。
主人公の「僕」は問題と回答を振り返っていく中で、人生での経験を思い出していきます。中には苦い思い出もありましたが、それが今回の正解につながったことで、報われたような気分にさせてくれるのでした。
このようにクイズの問題が人生とリンクしているのは、名作映画「スラムドッグ$ミリオネア」を思い起こさせます。『君のクイズ』が気に入った人は、こちらの映画もおすすめですよ。
ゼロ秒回答の真相とは?ラストシーンをネタバレ考察
本庄絆がゼロ秒で「ママ、クリーニング小野寺よ」と回答できたのはなぜだったのでしょうか?ラストシーンで衝撃の真実が分かります。
ネタバレしていいからラストシーンの考察を読みたい方はこちらをクリック!
本庄絆はこれまで出た問題が、自分の人生と関係あるものだと気づいていました。本庄絆のクイズ人生を変えた問題が「ママ、クリーニング小野寺よ」と答える問題だったので、今回もそれが出そうだと予測していたのです。
また、これは総合演出の坂田泰彦の心理を読んだものでもありました。詳しくは省きますが、本庄絆はクイズを解くということ以外に、坂田泰彦との心理戦にも挑んでいたのだと分かります。
途中で主人公の三島玲央はクイズだったのか、魔法だったのか、混乱する場面がありますが、ある意味でクイズは魔法のようなものだと結論づけます。外側の視聴者を意識したエンターテインメントゆえに起きる事象もあるのだと悟るのです。
最後に三島玲央はクイズとは何かを自問して、「クイズは人生だ」と答えます。ここまで読んできた読者にとっては、それはなんとも痺れる回答だと心に響いたことでしょう。
『君のクイズ』を読んでみた感想
ここからは『君のクイズ』を読んだ上での筆者の感想を述べ、さらに読者がSNSやレビューサイトに投稿した感想もまとめていきます。
【筆者の感想】クイズは生き物だと実感する
作中で出されたクイズの回答が、数年の間に変わってしまったという記述がありました。時代とともにクイズの内容や回答が変わってきているのでしょう。
実際に世界で一番人口の多い国はずっと中国だとされてきましたが、今年2023年にはインドの人口が中国の人口を抜くと言われています。他にも歴史の教科書で習ったことが、今は違っているという話もよく聞きます。筆者が子どもの頃は「いい国つくろう鎌倉幕府」と習いましたが、今は違うようですね。
作中に出てきた「クイズが生きている」という表現は、美しいなと思いました。生きているからこそ、作問者も出題者も時代の流れに敏感になっていく必要があるのでしょうね。
【みんなの感想や評価】クイズプレイヤーの頭の中を覗き見できる
#読了
君のクイズ / 小川哲私が読んでいたら
夫も「それ読みたかったやつ」と
先に読了されてしまった😂世界には、希望も裏切りも
いくらでもあるだろうけど
自分のなかで「正解」を
掬いあげて生きていくまさに、クイズとは人生である
明日からまた頑張ろうと
思わせてくれる作品でした pic.twitter.com/7lXip1tmHd— ひらぱ (@hirapaaa0618) February 19, 2023
クイズでとてつもないスピードで解答する人がどういう準備・訓練・問読みの先の予想をして解答しているのかが緻密に書かれていて面白かったです。
引用:Amazon
読了📙
新感覚のエンターテインメント小説✏️
ページをめくる手が止まらず、一日で読み終えました😊
「ありえないやろ!」が「ありえるのかも…?」に変わっていく絶妙なストーリー。
クイズプレイヤーの頭の中を垣間見ながら、話が展開されていきます💡おすすめです🐭👍#君のクイズ pic.twitter.com/oOOeUWlWeg
— ダンシ君のサブノート_中小企業診断士独学合格支援! (@DanshikunNote) February 19, 2023
君のクイズ/小川哲 #読了
クイズ番組決勝で敗れた三島。不可解な結末で幕を閉じたことに納得できない三島は、対戦相手本庄を調べ始め、その真相に辿り着く。
クイズは知識と運がある人が勝つと思っていた。その裏側を知り驚愕。「恥ずかしさを捨てる」、名曲「マイ・ウェイ」と出会えたことも収穫。 pic.twitter.com/IMbfzxAZhB
— ZOE@読書 (@ZOE220306) February 15, 2023
まとめ:『君のクイズ』はクイズのおもしろさを感じられる小説だった
いかがでしたか?『君のクイズ』の特徴を以下にまとめました。
・クイズプレイヤーの思考が分かる小説
・クイズにまつわる謎が解明されていく流れがおもしろい
・直木賞作家による、受賞作とはまた一味違った作品
以上です。まだチェックしていない方は、ぜひ読んでみてください!
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