2023年の本屋大賞候補作に選ばれた『川のほとりに立つ者は』(著:寺地はるな)。今回はこの小説のあらすじ、感想を紹介した上で、タイトルの意味、物語の真相と伏線、ラストシーンのネタバレ考察などを行います。ぜひ最後まで読んでみてください。
寺地はるなの小説『川のほとりに立つ者は』とは
書名 | 川のほとりに立つ者は |
作者 | 寺地はるな |
出版社 | 双葉社 |
発売日 | 2022年10月20日 |
ページ数 | 224ページ |
『川のほとりに立つ者は』は、恋人の「隠し事」が原因ですれ違っていた女性・原田清瀬が主人公。不可解な怪我を負って意識不明の重体となった恋人・松木圭太の秘密を知っていくうちに、ある真実にたどり着くという話です。
作者の寺地はるなさんは、2014年に「ビオレタ」で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。これまで作品が山本周五郎賞や吉川英治文学新人賞の候補となっており、今回紹介する『川のほとりに立つ者は』は2023年の本屋大賞候補に選ばれました。
※『川のほとりに立つ者は』は以下に当てはまる人におすすめ!
・最近、恋人とうまくいってないなと思っている人
・特にコロナ禍での人間関係について悩んでいる人
・本屋大賞の候補作となった話題作をチェックしたい人
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3分で分かる『川のほとりに立つ者は』のあらすじ【※ネタバレなし※】
カフェの店長を務める原田清瀬は、最近恋人の松木圭太とすれ違う生活を送っていた。新型ウイルスの影響で気軽に人と会いにくくなり、仕事も慌ただしくなった。それに彼にはある「隠し事」をしていて、それが原因で喧嘩していた。
そんな中、2020年7月のある日、清瀬に思わぬ内容の連絡が入った。松木が怪我を負い、意識不明の重体になったという。その場に居合わせた「まお」と名乗る女性によると、松木が誰かと殴り合いの喧嘩をしていたと話している。
清瀬は松木がやさしくて素直な人物だと思っているため、その話が信じられないでいる。しかし、清瀬はふと考える。自分は松木のことをそれほど知らないのではないか。松木の部屋にあった本『夜の底の川』の一節にもこういった言葉があった。
ーーーあなたはわたしのことを、どれだけ知っている?
翌日、清瀬は松木の意識が回復するのを待つ間に、松木の部屋を訪れる。そこで三冊のノートを見つけた。そこには子どもが書いたような稚拙な字や、ある女性に向けた手紙のような文章が書かれていた。やがて清瀬は松木の隠し事が何か気づいていく…。
『川のほとりに立つ者は』の主な登場人物まとめ
『川のほとりに立つ者は』に登場する主な人物についてまとめました。物語が進むにつれて、ある事実が判明し、相関図が変わってくるのですが、ここではネタバレしない程度に人物の特徴を紹介します。
原田清瀬(はらだきよせ):カフェ「クロシェット」の店長。新型ウイルスの影響もあり、仕事でバタバタしていて、彼との時間を半年近く作れないでいた。
松木圭太(まつきけいた):清瀬の恋人。清瀬とはすれ違いの日々が続いていた。ある日怪我を負って、意識不明の重体となる。
岩井樹(いわいいつき):松木と一緒に倒れていた男。松木の大事な友達だと言うが…
【カフェ「クロシェット」】
青木くん:クロシェットの大学生バイト。
品川さん:クロシェット従業員。よくトラブルを起こす。
【警察関係者】
秋田:女性刑事
村本:男性刑事
【その他の人物】
岩井樹の母親:松木が入院している病院にいた年配の女性
まお:松木が入院している病院にいた若い女性
篠井みちる:清瀬の友人。ニックネームは篠ちゃん
菅井天音:松木が大学ノートに書いていた名前
『川のほとりに立つ者は』のネタバレ解説&考察まとめ
『川のほとりに立つ者は』の魅力をさらに深掘りするために、タイトルの意味、物語の真相、ラストシーンの考察などを行います。作者の寺地はるなさんのインタビューも参考にしながら、まとめてみました。
タイトル「川のほとりに立つ者は」の意味とは?
もともと雑誌に連載していた頃は、「明日がよい日でありますように」という違うタイトルが付けられていました。作者の寺地はるなさんがインタビューにおいて、単行本化した際に改題した理由を明かしました。
コロナ禍で世の中が暗くて、みんな不安そうだったし私も不安だったので、よいことがあるといいよね、みたいな気持ちでつけたタイトルでした。でも単行本にする時、このタイトルだと明るい話だと思われそうな気がして。それで、私からタイトルを変えていいですかと編集者にメールしました
引用:寺地はるなさん『川のほとりに立つ者は』 | 小説丸
改題されたタイトルにある「川のほとりに立つ者は」は、作中に出てくる本『夜の底の川』に出てくるフレーズです。「川のほとりに立つ者は、水底に沈む石の数を知り得ない」という一節が登場します。
この一節は本作の主題と大きく重なってきます。詳しい意味はネタバレになるのでここでは伏せますが、「名言が生まれたラストシーンをネタバレ解説」の章で少し解説しているので、読了した方だけ読んでみてください。
松木の隠し事とは何だったのか?真相とそこに至るまでの伏線を考察
清瀬と松木の恋愛がすれ違っていた原因の一つが、松木が何か隠し事をしていたこと。物語が進むにつれて、その本当の理由が明らかになっていきました。
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松木は親友のいっちゃんこと岩井樹に字を教えていたのでした。いっちゃんは文章を作るのはうまいけど、字を書くのがかなり苦手な人物。また、菅井天音に好意を抱いており、天音に自分の気持ちを手紙で伝えたいという、いっちゃんに協力した形だったのです。
しかし、いっちゃんも松木も結果的には天音に利用されるハメに。天音は病院にいた女性・まおであり、まおの元同性相手である男が松木といっちゃんに暴力をふるうよう仕向けたのでした。松木といっちゃんが喧嘩したというまおの証言は、偽の証言だったのです。
清瀬からすると、天音はただただ憎らしい存在ですが、清瀬は天音に対してそんな感情をほとんど抱きません。むしろ、天音の幸せを願っている節すらあります。清瀬がそう思える背景には、彼女が働いている職場でのある体験が伏線となっていました。
清瀬の職場では、品川さんという女性が働いています。品川さんは何かとトラブルを引き起こす人物で、ある時自分はADHDだと明かします。さらに障害があると相手に知られた時に、それ相応の対応をされることが嫌だとも述べます。
そんな品川さんの想いを知った清瀬は、今までの考えを改めます。こういった心情の変化がラストシーンへとつながっていくのです。次の章で述べていきます。
名言が生まれたラストシーンをネタバレ解説
ラストシーンでは、この物語の本質を表すような名言が生まれました。内容を考察していきましょう。
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ラストが近くになるにつれ、清瀬は天音に対して気持ちを寄り添わせようとします。そんな中、以下の名言が登場します。
川のほとりに立つ者は、水底に沈む石の数を知り得ない。でも清瀬は水底の石がそれぞれ違うことを知っている。(中略)
人は石を様々な名で呼びわける。怒り。痛み。慈しみ。あるいは、希望。
引用:『川のほとりに立つ者』222ページ
ここで大事なことは、水底の石がどんな石かまでは決して分からないということです。ただ様々な石が存在していること。そして、その多様性を認め、想像することこそが大事だと述べているのではないでしょうか。
ちなみに、意識不明の重体だった松木といっちゃんは無事に退院しました。まだ全快というわけではありませんが、身体的にも精神的にも明るい方に向かっているというラストには、希望が感じられました。
『川のほとりに立つ者は』は映画化・ドラマ化する?キャストを予想してみた
『川のほとりに立つ者は』は映画化やドラマ化しても、良い作品が生まれそうですね。ミステリーっぽい要素が加わった感動作として、映画『そして、バトンは渡された』のような成功を収めそうな予感がします。
ここでは、もし映像化された時のキャストはどうなりそうか、予想してみました。
・原田清瀬:有村架純
・松木圭太:松坂桃李
・岩井樹:柳楽優弥
・青木くん:高橋海人
・品川さん:黒木華
・岩井樹の母親:宮崎美子
・まお:中村ゆりか
・篠井みちる:南沢奈央
いかがでしょうか。皆さんもぜひ予想してみてください。
『川のほとりに立つ者は』を読んでみた感想
ここからは『川のほとりに立つ者は』を読んだ筆者の感想、及び読者がレビューサイトやSNSに投稿した感想をまとめていきます。
【筆者の感想】コロナ禍だからこそ感じる人間関係の難しさを巧みに描く
『川のほとりに立つ者は』は、コロナ禍における時代背景のもと書かれた小説。人と人との繋がりが分かりづらくなっている中、人間関係の難しさを書いた本作は、重要な意義があると思いました。
主軸は人間ドラマですが、ミステリーのような謎解き要素もあるので、どちらからも楽しめて、一石二鳥の気分でした。清瀬の心情の変化が特に丁寧に描いてあり、一人称ではなく三人称で書いたのも、結果的に成功していたと思います。
筆者は、今回が初めての寺地さんの作品でした。実は筆者、寺地はるなさんと同じく出身が佐賀県なので、陰ながら応援しています。今回の作品を機に他の作品も読んでみたいと思いました。
【みんなの感想や評価】心の揺れ動きが激しい!
続いて、読者のレビューや感想をまとめました。
#読了
川のほとりに立つ者は/寺地はるな人の一部分だけを見てその人の全てを判断してはいけないなぁと感じさせられました。
文章は非常に読みやすくスラスラといけます✋#読書好きと繋がりたい #読書 #読書記録 #小説好きな人と繋がりたい pic.twitter.com/rlQqN55Exc
— はっとりん (@keisukehato) February 17, 2023
日々の人との関わりを見つめ直しながら又日々の生活を生きていく。一言も漏らさずに感じながら考えながら物語が進んでいく。大切に読まさせて頂きました。又繰り返し読みたい一冊です。
引用:Amazon
#読了
『川のほとりに立つ者は』
すごい小説でした。。ずっと読んでいたい・まだ終わらないでという気持ちと、心の揺れ動きがしんどくて早く終わってほしい気持ちが常に混じり合っていました。人を理解することの難しさを改めて知りました。寺地はるなさんの他の作品を読むのが今から楽しみです。 pic.twitter.com/GtpDxP2EK6— シンスケ (@shinsuke_book) February 18, 2023
#読了
『川のほとりに立つ者は』寺地はるな想像力を持った人でありたいと思っていた。けれど私も「無知」で他人を傷つけていたのかもしれない、そんな事を考えさせられた。見えない思いやりを大切にしたい。結果だけでなく過程をみられる大人になりたい。タイトルに続く言葉を知ってドキリとする。 pic.twitter.com/EZgJjweVUm
— nyapple (@na80016799) February 14, 2023
まとめ:『川のほとりに立つ者は』は想像力が重要だと伝える小説だった
いかがでしたか?『川のほとりに立つ者は』の特徴を以下にまとめました。
・2023年本屋大賞候補作
・恋人の怪我の真相を解き明かすミステリー要素がおもしろい
・恋人の「隠し事」が分かると、ハッとさせられる
・ラストシーンには希望がある
以上です。まだチェックしていない方は、ぜひ読んでみてください!
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