3分で分かる小説『エレクトリック』のあらすじ&ネタバレ解説・感想まとめ【第169回芥川賞候補作】

第169回芥川賞の候補作に選出された千葉雅也さんの『エレクトリック』。今回は本書のあらすじや感想を紹介する他、作品タイトルの意味、実話かどうかの調査、ラストシーンの考察などをネタバレ込みでまとめました。

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【第169回芥川賞候補作】千葉雅也の小説「エレクトリック」とは

書名 エレクトリック
作者 千葉雅也
出版社 新潮社
発売日 2023年5月31日
ページ数 168ページ
初出 『新潮』2月号

『エレクトリック』は、1995年に宇都宮で高校生活を送る達也が主人公。同性愛への関心が芽生えた達也は、インターネットでゲイサイトを見つけ…。アンプの補修に腐心する父とともに過ごす日々を描いた青春ストーリーです。

千葉雅也さんはこれまで「デッドライン」と「オーバーヒート」で2度芥川賞の候補となっており、今作で3度目の候補となりました。現在は大学教授や哲学者としても活躍する著者ですが、本作はそんな千葉さんの高校時代を描いた私小説ともよべる作品となっています。

※「エレクトリック」は以下に当てはまる人におすすめ!
・インターネット黎明だった1995年を舞台にした青春小説を読みたい人
・同性愛が芽生える瞬間に興味がある人
・第169回芥川賞の候補となった話題作をチェックしたい人

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3分で分かる「エレクトリック」のあらすじ

1995年は、阪神神戸大震災、オウム真理教による一連の事件、そして「エヴァンゲリオン」の放送開始があった年だった。高校2年生を迎えた達也は、「雷都」とも呼ばれる宇都宮で日々を過ごしている。

家にあるスタジオは、父の仕事場を兼ねた居城だ。父はフリーカメラマンを経て、広告代理店を営む。オーディオ好きの一面もあり、主な取引先である山月屋の岡社長のために、アンプを補修する作業に取り組んでいる。

高校で達也は、Kと仲が良かった。音楽や美術の話題で盛り上がる2人。達矢にはそれらと同様に、同性愛への関心も芽生えていた。クラスメイトが男同士でフェラチオの真似事をしている様が脳裏に焼きついて離れない。

わからないままだった。たびたび湧き上がってくるその熱っぽい感覚をどうしたらいいのか。
引用:『エレクトリック』本文より

時代はインターネット黎明期。達也はゲイサイトを発見し、チャットルームを覗く。ハッテン場なる場所があると知り、達也は現場を確かめに行く。また、達也は未知なる東京にも想像を膨らませる。

父の旧友・野村は根っからのエンジニアタイプで、アンプ製作を手伝っていた。しかし失踪し、ふと現れたかと思ったらアンプをそのまま持ち去ってしまう。そのままアンプは見つからなかったが、岡社長へ引き渡す約束の日、事務所を訪れると、なぜかアンプがあった。

ないはずのものが、ある。いったい、どういうことなのか。
(中略)
宇宙のすべてが、ないのに、ある。宇宙もまた、あるとき、誰かによって持ち去られてしまったのかもしれない。宇宙もまた、持ち去られたままなのかもしれない。にもかかわらず、宇宙がある。
引用:『エレクトリック』本文より

「エレクトリック」のネタバレ解説&考察まとめ

ここからは「エレクトリック」の魅力を深掘りするために、タイトルの意味、作品の魅力、ラストシーンのネタバレ考察などを行います。

小説タイトル「エレクトリック」の意味とは

タイトルの「エレクトリック」は直訳すると、「電気の」や「電気で動く」という意味。本作にはアンプをはじめとした、インターネット接続に必要なパソコンなど、さまざまな電化製品が登場し、それらにまつわるエピソードや思想が物語に有機的に絡んでいきます。

また、達也たちが過ごす宇都宮も「雷都」と呼ばれる街で、この雷にも「エレクトリック」な要素が感じられます。これらのモチーフを総称して、タイトルがつけられたのでしょう。

「エレクトリック」は実話?千葉雅也の私小説ともいえる作品

「エレクトリック」は千葉雅也さんの実話なのでしょうか。千葉雅也さんは宇都宮生まれで、地元の宇都宮高校に通い、その後東京大学に進学。現在は大学教授や作家、哲学者などとして活躍し、また自身が同性愛者だと公言しています。

これらの点は、本作の物語にも共通する点が多く、主人公の名前は「志賀達也」で、作家名の「千葉雅也」と似ていますね。よって、本作は千葉雅也さんの私小説といっても差支えなさそうです。

「エレクトリック」のラストシーンを考察

ラストシーンでなぜアンプが登場したのか、気になる人もいるでしょう。父子の横をすり抜けて、キャップを目深にかぶった人物が出てきて、これがアンプを運んだ人物なのか?野村さんが変装していた?などと推測できるかもしれませんが、邪推かもしれません。

「エレクトリック」のラストシーンは宇宙へとつながる壮大なイメージで締めくくられます。ラストで描かれた「ないのに、ある」という表現は、本作を語る上で重要なフレーズでしょう。

インターネットを通して、ないものがあるように思えてくる瞬間。大地震にオウム事件にと時代が混迷している中で、多感な時期を生きる高校生は、同性愛への関心が芽生え、ハッテン場という存在も「ないのにある」場所のようにして描かれます。

自己形成の途中で、不確かなものと確かなものの境界があいまいな中、たしかに成長していく主人公と父二人の英雄譚が、本作最大の魅力だといえます。ラストはそれを象徴的に描く、すばらしい場面です。

「エレクトリック」を読んでみた感想

ここからは「エレクトリック」を読んでみた感想を書いていきます。また読者のレビューも合わせてまとめました。

【筆者の感想】活気や遊び心に満ちた青春小説

千葉雅也さんはこれまで「デッドライン」や「オーバーヒート」などの小説を発表していますが、それらの要素も敢えて作品に登場させているようでした。「オーバーヒート」というフレーズが作中に登場し、また「デッドライン」を意味する「期限」という言葉も「」付きで強調されています。この辺りは著者の遊び心が反映されているのかもしれません。

いかにも青春小説という感じで、多感な高校生が成長していくストーリーに魅せられました。細かいですが、Kとおそるおそるチャットをするところや、自分の思わぬクセがクラスメイトに真似されているのに気づく点なども好きでしたね。

また、父以外の家族一人一人のエピソードは少ないけれど、要所要所で抑えているなと感じました。自分の味方をしてくれないと拗ねるママ、こっそり煙草を吸っていたのをバレた妹、「ずっと昼寝したい」というお願いが叶ったという独自の哲学を披露する祖母、だるまさんが転んだでふざける叔母など、どの家族もよく個性が出ていて印象に残りました。

【みんなの感想や評価】「存在」を問う哲学が感じられる小説だった

続いてSNSやレビューサイトにあがった感想も紹介していきましょう。

まとめ:「エレクトリック」はラストで壮大なイメージへとつながる高校生の青春小説だった

いかがでしたか?「エレクトリック」の特徴を以下にまとめました。

・第169回芥川賞候補作
・自身の「存在」を問うというのがモチーフとなった小説
・同性愛への関心が芽生えた主人公の心情を細かく描写している
・ラストシーンで宇宙へとつながる壮大なイメージにつながる

以上です。単行本も発売されているので、まだチェックしていない方は、ぜひ読んでみてください!

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