「海を見た日」は里親制度の現状を知ったり、子どもたちの勇気を感じられたりする名著!2022年の課題図書(中学校の部)に選ばれているので、読書感想文を書こうと思っている方も多いでしょう。そこで今回はこの本のあらすじや内容を紹介した上で、感想文を書くヒントや作中で登場する名言などをまとめました。
「海を見た日」(中学校の部の課題図書)の内容とは
書名 | 海を見た日 |
作者 | M・G・ヘネシー (著)
杉田七重 (翻訳) |
出版社 | 鈴木出版 |
発売日 | 2021年5月28日 |
ページ数 | 285ページ |
「海を見た日」は里親制度のもとに育つ子どもたちが、ひとりの子どもの母親を探しに冒険する話です。主人公三人の視点で書いた物語を紡いでおり、それぞれの視点で作品世界を楽しむことができます。
前半はやや読みにくくて難しいと感じますが、中盤の四人が旅に出る場面あたりから一気に読みやすくなります。タイトルにあるように、旅に出た四人の子どもたちが初めて海を見たシーンにはきっと感動することでしょう。
※「海を見た日」は以下に当てはまる人におすすめ!
・読書感想文を書こうと思っている中学生
・里親で育った子どもたちの物語を読みたい人
・子どもたちの冒険小説を読みたい人
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3分で分かる「海を見た日」のあらすじ【※ネタバレ・名言あり※】
ADHDのヴィック、物静かなマーラー、勤勉な性格のナヴェイアは養母のミセス・Kのもとに預けられ、生活を共にしていた。そこへアスペルガー症候群の男の子・クエンティンがやってきた。
クエンティンはずっとママを探している。ある日、四人の子どもたちはクエンティンのママへ会いに行こうと養母たちに内緒で出かける。道に迷ったり、怖そうな犬と出くわしたり、車にひかれたりとトラブル続きながらも四人は目的の病院へと向かう。
ずっと里親のもとで生活していた四人は、観覧車に乗って初めて海を見た。頼りない養母の代わりに、他の子どもたちの面倒を見てきた年長者のナヴェイアは、以下のような思いに至ります。
生まれて初めて見る、これが海。わたしの生きる世界に、こんなにも、美しいものがあった。
(中略)
きっと世界は、そんなにひどいところじゃない。
(中略)
みんなが海を見てる。(中略)わたしと同じように、この世界の美しさに、みんなが圧倒されてる。
引用:「海を見た日」184ページより
なんとか病院についた四人の子どもたちだが、そこでクエンティンのママは亡くなっていたと知らされる。クエンティンはママの死を認識していなかったが、ナヴェイアは彼がママの死を知ることで人生が変わる第一歩だと思い、彼にそのことを打ち明けた。
すると、クエンティンは「ママはもっといいところへ行った」と前向きに捉えることができた。そんな前向きな変化は、他の子どもたちや養母のミセス・Kにも伝染した。四人はまたビーチに行く約束をした。
「海を見た日」の主な登場人物
「海を見た日」の主な登場人物は以下。このうち、クエンティン、ヴィック、ナヴェイアの三人の視点で、物語は進んでいきます。
【子どもたち】
・クエンティン:アスペルガー症候群で、音に敏感。ママを探している。
・ヴィック:ADHDで、自分はスパイだと妄想している。
・ナヴェイア:勤勉な性格で里親の代わりに子どもたちの面倒を見る一面も。
・マーラー:物静かなラテンアメリカ系の男の子。四人の中では最年少。
【周囲の大人たち】
・ミセス・K:養母。夫を失い、精神的に不安定になりがち。
・ミズ・ジュディ:ケースワーカーとして子どもたちを見守る。
また上記の人たちは、クエンティン目線だと呼び方が変わってくるので、表にまとめてみました。
◯クエンティン目線でのそれぞれの呼び名
登場人物名 | クエンティン目線での呼び名 |
ヴィック | うるさい男の子 |
ナヴェイア | のっぽの女の子 |
マーラー | 静かな女の子 |
ミセス・K | くちピンクの女の人 |
ミズ・ジュディ | への字口の女の人 |
「海を見た日」の読書感想文ガイド【例文つき】
「海を見た日」は、2022年における中学校の部の課題図書に選出されています。しかし、なかなか読書感想文を書こうとしても、何から書き始めたら良いか分からないと悩んでいる人もいるでしょう。
ここまで「海を見た日」の内容やあらすじを紹介してきましたが、読書感想文ではそれをまとめただけではいけません。みなさんがこの本を読んで、どう思い、どう感じたかを書くことが重要です。
ここからは作者が伝えたいことを抑えて、読者がどのように考えたら良いかを示すヒントを解説します。例文も紹介しますので、書く際の参考にしてみてください。
子どもたちの成長を感じて、自身の経験と照らし合わせる
「海を見た日」の人物はそれぞれ個性的ですが、それぞれの短所も前半は描かれていました。そんな四人が冒険を通じてそれぞれの欠点を見つめ直し、成長するところが一つの見どころでした。
例えば、年長者のナヴェイア。彼女は面倒見の良い性格でしたが、それは義務感のような感覚でやっていたため、楽しいことは何ひとつしてやらなかったと気づきます。子どもたちの楽しい姿を見て、いっしょに楽しむことが前向きに生きるヒントだと考えたのです。
他の三人もどのような変化があったかを作品を読んでみて考えてみましょう。その上で自分にも共感できることや、実際の経験を振り返って重なる部分があったなら、それを引き合いに出して書いてみるとよいです。
【例文】
子どもたちの面倒を見ていたナヴェイアは、冒険の途中で何ひとつ楽しいことを周りにさせてあげてなかったと悟ります。このことに僕はとても共感しました。僕も少年野球のキャプテンをしているときに、周囲に厳しく接していたため、みんなのプレーがぎこちなくなっていると感じました。そこでリラックスして楽しもう!と声をかけると、不思議とエラーの回数は減って、チーム全体の雰囲気が良くなりました。
まずは自分が楽しむことで、周りの人たちも自分の良さを見つけて、個性を出していけると実感しました。「海を見た日」でもナヴェイアが変化したからこそ、周囲のみんなも前向きな気持ちになれたのだと思います。
ADHDやアスペルガー症候群の人たちとどう接するべきか考える
ヴィックはADHD、クエンティンはアスペルガー症候群という特徴をそれぞれ持っています。「海を見た日」ではこの二人の視点での物語が描かれているので、彼らが普段どのように感じているのかを知ることができますね。
二人の語りで進行する物語を、読者の皆さんはどう感じましたか?自分のことをスパイと思っているヴィックについては、
・日常の何気ないできごともスリル溢れるドラマのような物語を想像しているので、なんだかこちらも楽しくなった
・現実で起きていることを忘れて、妄想に逃げ込んでしまわないか不安になった
・実は想像力が豊かな人だから、芸術家に向いているんじゃないかと思った
など、何を感じるかは皆さんの自由です。差別的な発言になると良くないですが、思いやりを持って想像すれば、何を書いたらダメということはありません。
また、その上でそういった特性を持つ人にどう接したらいいのか?それはナヴェイア視点での物語を読むと、感じられる部分が出てくるはずです。
【例文】
クエンティンに母の死をちゃんと伝えようとしていた。必要以上に子ども扱いして、真実を伝えるのを避けるのではなく、大事なことはきちんと誠意を持って伝えるのが大事だと思った。
など。ナヴェイアがクエンティンやヴィックに対して、どう接しているかを注意深く読んでみましょう。
里親制度の厳しさについて考えたことを書く
「海を見た日」の養母として登場してきたミセス・Kは、精神的に不安定な一面があり、そういう人が子どもたちの面倒を見なければならないという現実の厳しさを感じさせられました。このことは本書の【あとがき】にも書いてあるので、読んで作者がこの本を書く際にどう思っていたかを知りましょう。
この点について、どう考えるかも皆さんの自由です。
・発展途上国ではなく、アメリカでもこういった現実があるのだと知っておどろいた。
・自分は親がちゃんと愛情を注いでくれているので、もっと感謝しなければならないと思った。
・こういった子どもたちが一人でも少なくなるような世界になるといいなと思う。そのために自分ができることは何か考えたい。
など。明確な結論が出なくても大丈夫です。皆さんが考えたことをそのまま素直に読書感想文の中で、表現してみましょう。
参考にしたい「海を見た日」の感想まとめ
ここからは「海を見た日」を読んだ読者の方の意見をまとめました。レビューサイトやSNSに投稿されたものの中から、参考になりそうなものを抜粋して紹介いたします。
『海を見た日』M・G ・ヘネシー/作 杉田七重/訳 すすき出版 辛い経験をした孤独な子どもたちが養母の元で暮らす。里親制度、特性、ヤングケアラー問題を考える。どうなることかと読み進めるも希望が見えて良かった。人にはホームが必要だからね。海のシーンが鮮やか#中学の本棚 #課題図書 #読了 pic.twitter.com/ZpvXrkgNb5
— さっさん@学校司書 (@librarianan) July 17, 2022
『海を見た日』M.G.ヘネシー
アメリカの里親制度の現状や現実を物語にしたものでした。
里親のもとで暮らす子どもたちは自分で自分を助けるしかないと辛い現実を必死で生きてる。特性のある子の描写はちと苦しかった。明るく終わるけど親としては考えることの多い作品でした。#読書#読了— おはぎきなこ (@fkz_cnt) May 22, 2022
面白くなるまで少し時間がかかります。里親について考えるよいきっかけになる本です。
引用:Amazon
M.G.ヘネシー作『海を見た日』読了。アメリカの里親制度のお話、問題のある四人の子供たちが初めて海を見る、その瞬間モノクロだった世界が鮮やかな色に包まれる。 pic.twitter.com/XwOdBNgl68
— フカミレン (@fukamiren79) August 8, 2021
『海を見た日』M・C・ヘネシー
FFさんから教えてもらった本。
里親の元で暮らす里子の「きょうだい」が旅に出る物語。移民や発達障害の子どもたち。
理不尽な現実。だけど、心の中には夢がある、物語だって。
自分が腐ったら負け。わたし子どもの頃いつも思っていた。今になって思い出した。#読了 pic.twitter.com/y7F56jPXke
— アイリス📚️ (@iris_bellwood) April 22, 2022
まとめ:「海を見た日」は里親制度の実態と子どもたちの成長が伝わる小説だった
いかがでしたか?「海を見た日」の特徴を以下にまとめました。
・2022年の課題図書(中学校の部)
・里親制度の厳しい実情が分かる
・子どもたち四人の成長が感じられる
以上です。読書感想文の課題図書としてはもちろん、大人の方が読んでも感動する本なのでぜひ手にとってみてください。
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