第170回直木賞候補作となった『まいまいつぶろ』(著:村木嵐)。今回はこの小説のあらすじを簡単に紹介した後、タイトルの意味やネタバレ考察などを行います。数々の時代小説の賞を受賞している本作の感想や評価も合わせてまとめたので、最後まで読んでみてください。
【第170回直木賞候補作】村木嵐の小説『まいまいつぶろ』とは
書名 | まいまいつぶろ |
作者 | 村木嵐 |
出版社 | 幻冬舎 |
発売日 | 2023年5月24日 |
ページ数 | 336ページ |
作者は司馬遼太郎家の家事手伝いをしていたことでも知られる村木嵐さん。著書『マルガリータ』で第17回松本清張賞を受賞しており、今作『まいまいつぶろ』では、第13回「本屋が選ぶ時代小説大賞」及び第12回「日本歴史時代作家協会賞作品賞」を受賞しています。
『まいまいつぶろ』は、徳川吉宗の嫡子・長福丸(後の徳川家重)の生涯にスポットをあてた時代小説。生まれながらに障害を持ちうまく話せない家重の言葉を唯一聞き取れた小姓・兵庫(後の大岡忠光)と力を合わせて、次期将軍への道を歩んでいきます。
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3分で分かる『まいまいつぶろ』のあらすじ【※ネタバレなし※】
第八代将軍・徳川吉宗の嫡子である長福丸は、次の将軍に相応しい扱いを受けていなかった。というのも、長福丸は重い病を患っており、片手片足はほとんど動かず、口もきけなかったからだ。何を言っているのか、聞き取れる者はいなかった。長福丸は廃嫡を噂されており、跡継ぎとして期待されていたのは弟の小次郎丸だった。
そんな中、長福丸の言葉を聞き取れた少年が現れた。少年の名は大岡兵庫。たしかに兵庫は長福丸の言葉を訳しているようだが、周囲からは適当に話しているだけではないかと疑われる。さらに、長福丸が将軍になった際に、兵庫がそれを悪用して意のままに政治を操るのではないかと怪しまれてもいた。
実はこの長福丸こそが、第十代将軍となる徳川家重である。彼はどのようにして将軍となったのか。後ろ盾を持たない兵庫(後の大岡忠光)と、家重の二人の絆が試される……。
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『まいまいつぶろ』のネタバレ解説&考察まとめ
ここからは『まいまいつぶろ』の魅力を深掘りするために、タイトルの意味、作品の魅力、ラストシーンのネタバレ考察などを行います。
タイトル「まいまいつぶろ」の意味とは?
タイトルの「まいまいつぶろ」とは、カタツムリの意味があります。生まれながらに障害がある家重は、尿を漏らしがちで、歩くとその尿を引きずった跡ができるため、そこからカタツムリと揶揄されていたのです。
史実と照らし合わせても、徳川家重は陰で「小便公方」と言われることがあったそうです。それほど、蔑まれながらも、その後ひとりの将軍として成長していく過程がどのようなものであったのか、注目してみましょう。
比宮や幸とのエピソードも感動的!
『まいまいつぶろ』では、家重と忠光の話が中心に描かれますが、家重のもとへ嫁ぐ比宮とのエピソードも魅力的です。家重と比宮がどのようにして近づいていくかといったところや、薔薇のエピソードなども心に残るでしょう。
比宮も家重の良き理解者となって支え、家重を次期将軍にするためには、元気な男の子を産む必要があると感じます。また幸はそんな比宮の想いを間近で知る人物。そんな女性二人の絆も読者の心を捉えるでしょう。
老中も個性的でおもしろい
家重の周りにいる老中は、個性的な人物ばかり。徳川吉宗のもと仕える酒井忠音や松平乗邑、徳川家重のもと仕える松平武元や酒井忠寄や田沼意次などが登場します。
いわば悪役のような役どころの人物が多く、家重ではなく宗武を次期将軍にとアシストしてくる者もいます。一癖も二癖もあるので、それぞれの老中の思惑や行動にも注目して読んでみてください。
『まいまいつぶろ』を読んでみた感想
ここからは『まいまいつぶろ』を読んでみた感想を書いていきます。また読者のレビューも合わせてまとめました。
【筆者の感想】大岡忠光の忠義に感心した
大岡忠光は、大岡忠相から「長福丸様の御口代わりだけを務めねばならぬ」といわれ、その教えを律儀に守ります。長福丸には目も耳もあるのだから、そこの邪魔はしてならないということです。
決して自我を出さずに、あくまで家重の口をサポートするのに徹した忠光の姿が印象的でした。名脇役ここにありということで、そんな彼だからこそ家重と長く続く絆を得られたのでしょう。
また、作者の村木嵐さんは、徳重の悩みを特権階級の人が持つ悩みにしたくないとインタビューで語っていました。現代でも家業を継ぐ際に足枷を持っている人や、重い病気や障がいに悩んでいる人もいると思うので、そういった人たちの勇気や何かしら生きるヒントにつながるといいなと思います。
【みんなの感想や評価】熱い想いに感動した・涙した
続いて読者がSNSに投稿した感想をいくつかまとめました。
村木嵐/まいまいつぶろ
新聞広告で興味を持ち読了
徳川9代将軍家重にスポットを当てたもの
障害があり廃嫡のリスクもあった家重と通訳に徹した大岡忠光の苦労と主従関係にありながら信頼しあっていた二人の熱き思いに感動した
家重について書かれた小説は初めてなのでとても新鮮だったかなと思った pic.twitter.com/DdZkHI78Ox— itiko (@rabenda0616) July 26, 2023
村木嵐『まいまいつぶろ』#読了
江戸幕府9代将軍の徳川家重は生まれつき口が回らず言葉が不明瞭で、体にも麻痺があり頻尿のために漏らしてしまっていた。そこに大岡忠光という唯一家重の言葉を聞き取れる男が現れる。この2人の生涯を追う歴史小説。正室の比宮や田沼意次なども登場。シンプルに涙した。 pic.twitter.com/7QjB7jUU6T— つかっちゃん読書垢@純文学ユーチューバー (@book_tsukatsu) December 23, 2023
彼を取り巻く人々が最初は他人事のように思っていたのに、彼と接することでじわじわと彼の苦悩に思いを馳せ、共感して「家重の苦悩を少しでも取り除く助けになりたい」と思うにいたる心の変化が丁寧に描かれる。
そのプロセスを読者は追体験し、誰かの気持ちを本当に思いやることの尊さを知る。
引用:Amazon
#読了
まいまいつぶろ 村木嵐麻痺を抱え廃嫡を噂されていた若君がいかにして第九代将軍・徳川家重となったか
家重と、ただ一人彼の言葉を解する小姓が、己のすべきことを全うした話初めての作家さんでした
すごく泣けた場面は、泣きながらも清々しかった
読めて良かった pic.twitter.com/GRc6XToff2— みっきー (@mkin4_3) July 7, 2023
まとめ:『まいまいつぶろ』は徳川家重にスポットをあてた泣ける時代小説だった
いかがでしたか?『まいまいつぶろ』の特徴を以下にまとめました。
・第170回直木賞候補作
・徳川家重と大岡忠光の強い絆が描かれる
・比宮や幸とのエピソードや、曲者ぞろいの老中たちにも注目
以上です。まだチェックしていない方は、ぜひ読んでみてください!
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