第171回直木賞を予想!『あいにくあんたのためじゃない』が大本命

今回は第171回直木賞の候補作から受賞作を大予想!全候補作のあらすじと講評をしたうえで、受賞作を予想していきます。受賞作発表日は2024年7月17日。果たしてどの作品が受賞するのでしょうか?

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そもそも直木賞とはどんな文学賞?

直木賞は大衆文学の新人〜中堅作家に与えられる権威ある文学賞です。芥川賞と同時期に発表されます。これまでの主な受賞者は、宮部みゆきさん、東野圭吾さん、池井戸潤さん、角田光代さんなど、名だたる人気作家が名を連ねています。

最新回の第170回直木賞は、河﨑秋子さんの『ともぐい』と万城目学さんの『八月の御所グラウンド』がW受賞という結果になりました。注目された加藤シゲアキさんの『なれのはて』は惜しくも受賞できませんでした。

第171回直木賞の候補作品を紹介

第171回直木賞の候補となったのは、以下の六作品です。(並びは作家名の順)

作品名 作家名 出版社 候補回数
地雷グリコ 青崎有吾 KADOKAWA
令和元年の人生ゲーム 麻布競馬場 文藝春秋
ツミデミック 一穂ミチ 光文社 三回目
われは熊楠 岩井圭也 文藝春秋
あいにくあんたのためじゃない 柚木麻子 新潮社 六回目

青崎有吾さんの『地雷グリコ』は、一週間で三つの文学賞を立て続けにとったというので話題になった作品。山本周五郎賞も受賞しており、直木賞でも受賞の機運が高まっています。

最多候補となっているのが、柚木麻子さん。これまで『ナイルパーチの女子会』や『BUTTER』などで直木賞候補となっており、今作で六度目の候補です。

同じく複数回候補となっているのが、一穂ミチさん。一回目が短編小説、二回目が長編小説で候補入りし、今作はまた短編小説で候補作に選出されました。

麻布競馬場さんはタワマン文学として注目されている作家。岩井圭也さんの『われは熊楠』は今回の候補作で唯一の歴史小説です。

各候補作のあらすじと講評

ここからは各候補作について、簡単なあらすじと講評をまとめました。受賞予想(◎:大本命、◯:対抗、△:大穴)を合わせてしているので、チェックしてみてください。

青崎有吾『地雷グリコ』(KADOKAWA)

【あらすじ】
高校一年の射守矢真兎は、グリコ遊びに独自のルールを追加した頭脳ゲームで、三年の先輩と対決した。真兎は頭脳と心理戦を駆使して、このゲームにどうやって勝利するのか?そして、そのゲームは新たな戦いの始まりに過ぎなかった。

『地雷グリコ』のあらすじを詳しく読んでみる

【講評】
親しみのあるゲームに独自のルールを追加し、頭脳戦と心理戦にした設定がまずおもしろい。高校生の青春ものに絡めたのも、瑞々しさが際立つ。ただ、全体がアニメ的な感じがするのと、肝心のゲームも抜け穴ばかりを狙うのでやや肩透かし感があった。

受賞予想:△(大穴)

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麻布競馬場『令和元年の人生ゲーム』(文藝春秋)

【あらすじ】
意気揚々とビジコン運営サークル「イグナイト」に参加した僕は、元高校生起業家で現サークルの代表を務める吉原のスピーチに夢中になった。一方で、それを冷めた目で見ている人物がいた。それが沼田だ。僕はこのサークルで何をしたいのか?そして、沼田は?

【講評】
意識高い系の集まりの中で、観念ばかりが突き進むという矛盾がよく書けていて、現代らしい小説だと思った。沼田の存在は異質だが、途中からその人物像が薄くなってしまい、なぜかごく一般的な人になってしまう感じがもったいなく感じた。

受賞予想:ー(なし)

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一穂ミチ『ツミデミック』(光文社)

【あらすじ】
居酒屋の呼び込みで声をかけられた女性は、かつて自殺したはずの人物の名前を名乗る。優斗は彼女と居酒屋へ行き、そこで衝撃の過去を知る。コロナ禍の社会をテーマにして、罪が増幅している様を描く六つの短編からなる物語。

【講評】
六編の中では「特別縁故者」が一番好きだった。イヤミスのようなバッドエンドの物語よりも、苦みを残しつつ希望を抱かせる作風がこの人には合っている気がする。作品によって好みが分かれそうで、水準にもバラツキがあるのが、ややマイナスか。

受賞予想:ー(なし)

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岩井圭也『われは熊楠』(文藝春秋)

【あらすじ】
南方熊楠の伝記小説。熊楠はこの世を全て知り尽くすと心に決め、学者への道を歩もうとする。自分を慕ってくれた後輩が亡くなり、その後も夢の中で度々現れるのだが……。海外へ渡った話、家族の裏切りや別離など、熊楠の数奇なる運命を辿っていく。

『われは熊楠』のあらすじを詳しく読んでみる

【講評】
熊楠の内なる声の存在や、亡霊のようにして現れる後輩の存在が、ただの伝記に留まらず、小説としての厚みを与えている。後半の息子との別離のシーンは息苦しかった。一方で、熊楠が功績をあげたまでの過程がやや雑なのが、気になった。

受賞予想:◯(対抗)

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柚木麻子『あいにくあんたのためじゃない』(新潮社)

【あらすじ】
ラーメン評論家の佐橋ラー油は、かつて「ラーメン武士」として活躍したが、人気ラーメン店から出禁となっていた。謝罪のブログ記事を投稿し、店を訪れると、そこに待っていたのは意外な人物たちだった。(「めんや 評論家おことわり」)他、五編を含む短編小説集。

【講評】
コロナ禍をテーマにした短編小説集で、どの話も完成度が高く、候補作の中で頭一つ抜けている。裏テーマは、柚木さんが昔から描いていた料理への熱量でもあり、それが今作で結実している印象を受けた。六度目の候補だが、満を持して今作で受賞するだろう。

受賞予想:◎(大本命)

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大本命は『あいにくあんたのためじゃない』

いかがでしたか?さとなり編集部では以下のように予想してみました。

◎(本命):柚木麻子『あいにくあんたのためじゃない』
◯(対抗):岩井圭也『われは熊楠』
△(大穴):青崎有吾『地雷グリコ』

受賞作発表は7月17日。また発表後に記事を更新いたします!

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