第174回直木賞を予想!『家族』が大本命か

今回は第174回直木賞の候補作から受賞作を大予想!全候補作のあらすじと講評をしたうえで、受賞作を予想していきます。受賞作発表日は2026年1月14日。果たしてどの作品が受賞するのでしょうか?

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そもそも直木賞とはどんな文学賞?

直木賞は大衆文学の新人〜中堅作家に与えられる権威ある文学賞です。芥川賞と同時期に発表されます。これまでの主な受賞者は、宮部みゆきさん、東野圭吾さん、池井戸潤さん、角田光代さんなど、名だたる人気作家が名を連ねています。

前々回の第172回直木賞は、伊与原新さんの『藍を継ぐ海』が受賞。前回の第173回では芥川賞とともに受賞作無しという、驚きの結果になりました。

⇒伊与原新さんの『藍を継ぐ海』のあらすじや感想はこちらから

第174回直木賞の候補作品を紹介

第174回直木賞の候補となったのは、以下の五作品です。(並びは作家名の順)

作品名 作家名 出版社 候補回数
カフェーの帰り道 嶋津 輝 東京創元社 二回目
白鷺立つ 住田 祐 文藝春秋
神都の証人 大門 剛明 講談社
家族 葉真中 顕 文藝春秋
女王様の電話番 渡辺 優 集英社

唯一二回目の候補となったのが、嶋津輝さん。前回候補となった『襷がけの二人』は惜しくも受賞を逃したものの、高い評価を得ていたので、今作での受賞の期待も高まります。

住田祐さんの『白鷺立つ』は、第32回松本清張賞を受賞したデビュー作。中堅作家に与えられることの多い直木賞にとっては、珍しく新人作家が候補となりました。

また、大門剛明さんの『神都の証人』は、既に第16回山田風太郎賞を受賞しており、注目度の高い作品です。

各候補作のあらすじと講評

ここからは各候補作について、簡単なあらすじと講評をまとめました。受賞予想(◎:大本命、◯:対抗、△:大穴)を合わせてしているので、チェックしてみてください。

『カフェーの帰り道』嶋津輝(東京創元社)

書名 カフェーの帰り道
作者 嶋津輝
出版社 東京創元社
発売日 2025年11月12日
ページ数 224ページ

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【あらすじ】
上野の片隅にある「カフェー西行」で働く女給たちの物語。濃い化粧が竹久夢二の絵に似ているタイ子、小さい頃から嘘つきの美登里、小説修業がうまくいかないセイなど、個性豊かな女給たちが、戦前から戦時中、戦後を生き抜いていく。

『カフェーの帰り道』のあらすじを詳しく読んでみる

【講評】
女給たちが個性的で、冒頭の短編では夫の不倫を疑って来た客がカフェの常連になるといった思わぬ展開もあり、楽しく読んだ。前回候補になった『襷がけの二人』と比べると劣る気もするが、今作はまた違った作風も見られて、前作と合わせて評価されるかもしれない。

受賞予想:◯(対抗)

『白鷺立つ』住田祐(文藝春秋)

書名 白鷺立つ
作者 住田祐
出版社 文藝春秋
発売日 2025年9月10日
ページ数 304ページ

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【あらすじ】
ある出生の秘密を抱える仏僧・恃照は、比叡山延暦寺で長年伝わる北嶺千日回峰行に挑むも失敗し、不名誉な称号を得て生き延びてしまう。そんな恃照のもとで、同じ境遇にある仏僧・戒閻も修行に臨もうとするが、恃照とは対立して……。

『白鷺立つ』のあらすじを詳しく読んでみる

【講評】
過酷な修行と、出生の苦悩を掛け合わせて、一つの壮大な物語を作っていた。相いれなかった二人の僧侶が結末で見せる姿にも心打たれる。丁寧な説明でのストーリーテリングも魅力だが、一方で説明は抑えて、もう少し物語の広がりを見せてもいいという意見も出そう。

受賞予想:△(大穴)

『神都の証人』大門剛明(講談社)

書名 神都の証人
作者 大門剛明
出版社 講談社
発売日 2025年10月27日
ページ数 512ページ

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【あらすじ】
「神都」と称される伊勢で起きた強盗殺人事件の冤罪を晴らすため、戦時下で風当たりが強い中、弁護士の吾妻太一は奔走する。戦後の昭和、平成、令和と時を駆けて、その想いを継いだ弁護士や検事たちが、捜査を進めていくのだが……。

『神都の証人』のあらすじを詳しく読んでみる

【講評】
戦時下で弁護士自体が虐げられるという状況のなか、必死に捜査を進める前半部分が特に読み応えがあった。冒頭の語り口調の場面の種明かしがされる点や、正義感を貫いた末に訪れる結末部分も良かったが、中盤がやや間延びしていると指摘されるかもしれない。

受賞予想:ー

『家族』葉真中顕(文藝春秋)

書名 家族
作者 葉真中顕
出版社 文藝春秋
発売日 2025年10月24日
ページ数 320ページ

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【あらすじ】
「民事不介入」とされた事件が表面化し、十三人もの死者を出していたと分かる。首謀者は周囲の人間を巻き込み、疑似家族を作り出していた夜戸瑠璃子。朝倉宗太はそんな瑠璃子と会ったことで、徐々に人生が狂わされていく……。

『家族』のあらすじを詳しく読んでみる

【講評】
犯人ではなく、巻き込まれた者たちの視点からマインドコントロールの恐ろしさを描いている。怖さが際立つ小説ではあるが、時系列を組み替えて、徐々に犯罪の深部が見えていくところや、ラストでかすかな希望を感じさせる点など、随所に工夫も感じられた。

受賞予想:◎(大本命)

『女王様の電話番』渡辺優(集英社)

書名 女王様の電話番
作者 渡辺優
出版社 集英社
発売日 2025年8月26日
ページ数 320ページ

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【あらすじ】
派遣型風俗店の電話番を務める志川は、推しの女王様が失踪したのが気になり、客や他の女王と会って話を聞いていく。また、彼女はアセクシャルな内面を持っており、過去に距離が近づいた先輩男性との記憶も思い出すのだが……。

『女王様の電話番』のあらすじを詳しく読んでみる

【講評】
アセクシャルを大衆文学で描くのはかなり難しいと思われるが、対極ともいえる舞台を選び、ルールを破りながらも女王様を探し出す際のリアルも相まって、最後まで読ませる力を感じた。受賞とまではいかなくても、意欲的な作品として気に入る選考委員もいそうだ。

受賞予想:ー

第174回直木賞の大本命は葉真中顕さんの『家族』

いかがでしたか?さとなり編集部では以下のように予想してみました。

◎(本命):『家族』葉真中顕
◯(対抗):『カフェーの帰り道』嶋津輝
△(大穴):『白鷺立つ』住田祐

『家族』の単独もしくは、『カフェーの帰り道』とのW受賞となりそうです。全体的に水準が高いので、今回受賞作なしはまずないと言えるでしょう。

受賞作発表は1月14日。また発表後に記事を更新いたします!

【※追記※】『カフェーの帰り道』が直木賞を受賞!

1月14日に直木賞が発表され、『カフェーの帰り道』が受賞しました。対抗に挙げていた作品が受賞したので、大きく外れとはいかない、まずまずの結果といえるのではないでしょうか。

惜しくも受賞を逃した作品も良い作品ばかりなので、ぜひこれを機にチェックしてみてください!

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