3分で分かる『君が手にするはずだった黄金について』のあらすじ&ネタバレ解説・感想まとめ【本屋大賞候補作】

今回は『君が手にするはずだった黄金について』のあらすじや感想を紹介。さらに実話かどうか本人のインタビューを踏まえての検証や、表題作のラストシーンのネタバレ考察などについてもまとめました。小川哲さんによる本屋大賞候補作、要チェックです!

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【2024年本屋大賞候補作】小川哲の小説『君が手にするはずだった黄金について』とは

書名 君が手にするはずだった黄金について
作者 小川哲
出版社 新潮社
発売日 2023年10月18日
ページ数 256ページ

作者の小川哲さんは、東京大学大学院の博士課程在学中に小説デビュー。博士課程を中退し、小説を発表し続け、2002年に発表した『地図と拳』で直木賞を受賞しました。

本作は作者本人と思われる人物を主人公として描いた連作短編集。いつの間にか大金を稼いだ同級生や、怪しげな占い師といった怪しげな人物が登場し、そんな彼らとの奇妙なやりとりが予想外の方向へと進んでいきます。

※『君が手にするはずだった黄金について』は以下に当てはまる人におすすめ!
・世の中の怪しげな人物の背景や心理に関心がある人
・小川哲さんの過去作が好きな人
・2024年本屋大賞の候補となった話題作をチェックしたい人

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3分で分かる『君が手にするはずだった黄金について』のあらすじ【※ネタバレなし※】

『君が手にするはずだった黄金について』は6編の短編からなる小説です。いずれも作者本人と思われる人物が主人公となっています。各章、簡単にあらすじを紹介します。

プロローグ

2010年、大学院生の僕は、就職活動をしてみようと思い立つ。本に関わる仕事をすべきかと考えるが、あまりイメージが湧かない。

驚くべきことに、その瞬間まで、僕は自分の将来について具体的に考えてみたことがほとんどなかった。
引用:『君が手にするはずだった黄金について』本文(8ページ)より

新潮社のエントリーシートを取り寄せた僕は、「あなたの人生を円グラフで表現してください」の質問に当たり行き詰まる。そして、白紙のエントリーシートを広げたまま、交際中の女性・美梨に質問の瑕疵しいては就職活動について感じるジレンマを嘆くのだ。

三月十日

震災からちょうど3年が経った3月11日の夜に、僕は同級生4人と飲んでいた。当時震災のせいで頓挫してしまった、スノボツアーの話になり、僕らは3月11日に何をしていたか、それぞれ思い起こす。

さらに、ふと僕はその前日の3月10日に何をしていたか気になりだす。あの日、自分はどう過ごしていたのだろうか……。

僕たちは、三月十一日とちょうど同じだけの時間、三月十日を生きていたはずだ。太平洋のどこかでプレートの歪みが大きくなっているのも知らず、僕たちは平凡な一日を過ごしていた。
引用:『君が手にするはずだった黄金について』本文(51ページ)より

小説家の鏡

高校の同級生の西垣から妻の恵梨香について相談があると持ち掛けられた。僕の小説を読んでいた彼女と、一度小説の話題で盛り上がったことがあったが、そんな彼女が仕事を辞めて専業で小説を書こうとしているのだという。

僕が許せないと感じたのは、彼女が青山のオーラリーディング占い師に唆されたと知ったからだ。僕と西垣はその占い師のもとへ潜入し、嘘を暴きたいと考えて……。

僕は自分の小説の語り手になりきって、オーラリーディング占い師のところへ行くのだ。
(中略)
目の前の僕ではなく、僕の小説の登場人物の内面を読みとる。この世に存在しない人物のオーラを読むわけだ。
引用:『君が手にするはずだった黄金について』本文(110・111ページ)より

君が手にするはずだった黄金について

高校の同級生の片桐は、自己評価がやけに高く、口だけが達者なやつだった。ある日、しばらく会っていなかった片桐が個人トレーダーとして成功し、六本木のタワマンに住んでいると知る。

しかし、そんな片桐のブログ記事が炎上し、そこからだんだんとボロが出始める。僕は片桐がなぜこんな顛末になってしまったのだろうか。僕は片桐のことを考え、やがて自分が小説家として生きる意味についても思考を巡らせていく……。

偽物

僕は漫画家のババリュージから取材を依頼された。同級生たちの仲間とただ飲みながら話しているのを聞く中で、そこで得たネタを漫画にするそうだ。取材と称する飲み会が終わった帰り道、一緒に飲んでいた男からその漫画家に不信感を抱いたと聞かされる。その漫画家が腕に偽物の腕時計をしていたからだという。

僕は結局完成した漫画を読んでいなかったが、その後しばらくして新幹線でババと偶然再会し……。

受賞エッセイ

専業作家になる上で、僕が一番困惑したのは、誰かに頼まれて小説を書く、という行為そのものにあった。それまで僕は、誰かに頼まれて小説を書いたことはなかった。
引用:『君が手にするはずだった黄金について』本文(233ページ)より

僕は月末までの締め切りが迫った短編の執筆に追われていた。なかなか書き進められない中、電話がかかってきてクレジットカードが不正利用されていたと知る。電話対応に追われるなか、山本周五郎文学賞の最終候補になったという旨を知らせる着信も入っていて……。

『君が手にするはずだった黄金について』のネタバレ解説&考察まとめ

ここからは『君が手にするはずだった黄金について』について、本作が実話かどうか作者本人のインタビューをもとに検証。さらに作品の魅力、ラストシーンのネタバレ考察などを行います。

『君が手にするはずだった黄金について』は実話?作者本人がインタビューで明かす

『君が手にするはずだった黄金について』は作者本人と思われる人物・小川が主人公として描かれています。ということは、一種の私小説であり、本作も実話が混じっているのではと考える人もいるでしょう。

そのあたりは作者本人がインタビューにて言及しています。

主人公を『小川哲』にすることで、どこまでが本当でどこからフィクションなのか考えながら読んでもらうこともできると思いました
引用:小説の主人公は著者 「君が手にするはずだった黄金について」:日経クロストレンド

とあるので、読者はいろいろ想像しながら読み進めるといいでしょう。

ちなみに、最後の章「受賞エッセイ」で山本周五郎賞の候補になったとの連絡が来たという内容がありますが、実際に小川さんは『ゲームの王国』で同賞の候補に選ばれ、見事に受賞しています。

また、最初の章「プロローグ」で新潮社のエントリーシートを取り寄せるところも出てきますが、これもなんと本当だそうです。そういった作者の背景を知って読むと、またさらにおもしろく読めそうですね。

本作のテーマは「自己顕示欲」や「承認欲求」?それとも……

本作を共通するテーマとして、「自己顕示欲」や「承認欲求」といったところが浮かびあがってきます。表題作は金持ちに見せかけるという自己顕示欲の表れのようにも捉えられますし、他にもある登場人物が「承認欲求で偽りの行動をしている」と指摘される場面も出てきます。

本作を読んだ脳科学者・茂木健一郎さんも、本作のテーマは「承認欲求」にあると考えているようです。茂木さんは小川さんに承認欲求についてどう思うかインタビューで質問しており、小川さんは以下のように回答しています。

生きる為に食べ物を食べるのは、エネルギーを得る為だと思うんですけど、承認欲求というのは、精神のエネルギーと言うか。誰かに褒めてもらったりとか、誰かに認めてもらったりとかというのは、人々が社会的に生きていく為の精神的なエネルギーなのかな、というのはちょっと思っていて。だから、そういった側面を書いてみたいな、というのありました
引用:Dream HEART vol.557 小説家 小川哲さん 著書「君が手にするはずだった黄金について」 – レポート – Dream Heart(ドリームハート) – 茂木健一郎 – TOKYO FM 80.0MHz

SNSのフォロワー数やいいね!の数など、人々の承認欲求が露わになりがちな現代。このテーマを踏まえて、本作を楽しんでみるのもいいでしょう。

表題作のラストシーンをネタバレ考察

各話魅力的な作品ばかりですが、ここでは表題作「君が手にするはずだった黄金について」について、考察した内容を記述していきます。ラストシーンのネタバレを含むので、本作を全て読んだ方のみ、以下をクリックしてみてください。

ネタバレしていいからラストシーンの考察を知りたい方はこちらをクリック!

「君が手にするはずだった黄金について」では、結局片桐が投資すらしていなかったことが明らかとなる。では、なぜ彼はこういった行動をしたのか。そう考えるなかで、自身の小説家としての意義と重ね合わせてこう思い至るのです。

小説家として生きるということは、ある種の偽物として生きるということではないか、そんなことを考える。
(中略)
片桐も僕も、結局のところ虚構を売り買いして生きるだけの偽物ではないか。
引用:『君が手にするはずだった黄金について』本文(168・169ページ)より

実はこういった、小説家としてのアイデンティティーを考える内容は、他の章にも登場しています。最後の「受賞エッセイ」でも、

そもそも僕は、何者だろうか。
引用:『君が手にするはずだった黄金について』本文(233ページ)より

と自問自答します。つまるところ、本作は小説家としてのあり方を問う小説でもあるといえるのではないでしょうか。

『君が手にするはずだった黄金について』を読んでみた感想

ここからは『君が手にするはずだった黄金について』を読んでみた感想を書いていきます。また読者のレビューも合わせてまとめました。

【筆者の感想】虚構とどう向き合うか?

本記事における考察の章で、本作は承認欲求について描かれていると書きましたが、作品の裏テーマとして「虚構とどう向き合うか?」というところにも深く切り込んでいると感じました。

主人公が占い師に苛立ちを覚えるのは、同じく虚構を扱う小説家からみて許せない部分があったのでしょう。また、同級生や漫画家が金を稼いだふりをしたり、偽物の高級腕時計をつけたりしている様も、虚構というテーマが深くかかわってきています。

このように、小説家として、一人の人間として、虚構とどう向き合うかというのは、自分がどう生きるかを考えるというところにも行きつくのでしょう。読者が自分の人生について見つめ直すよいきっかけを与えてくれるのではないでしょうか。

【みんなの感想や評価】どうしようもない人間に親近感

続いて読者がSNSやレビューサイトに投稿した感想や口コミを紹介します。

フィクションとノンフィクションの境目がわかりにくく、そこが面白いところでもある。
特に承認要求をきりとった表題作「君が手にするはずだった黄金について」が傑作!面白かった。
小説家に興味のある人も、読むと面白いと思う。
引用:Amazon

まとめ:『君が手にするはずだった黄金について』は承認欲求や虚構とどう向き合うかがテーマの小説だった

いかがでしたか?『君が手にするはずだった黄金について』の特徴を以下にまとめました。

・2024年本屋大賞候補作
・どこまでが実話か想像しながら読むのも楽しい
・承認欲求がテーマとなった連作短編集
・虚構とどう向き合うかについても考えさせられる

以上です。まだチェックしていない方は、ぜひ読んでみてください!

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