伊良部先生シリーズの続編最新作の感想|「空中ブランコ」との繋がりも

伊良部先生シリーズの続編となる最新作が『オール讀物 2022年7月号』に掲載されました!今作は奥田英朗さんの直木賞受賞作『空中ブランコ』との繋がりもあるので、その辺りを明らかにしながらネタバレしない程度に感想を綴ります。ドクター伊良部の強烈なキャラは健在です!

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ドクター伊良部の強烈なキャラが印象的な「伊良部先生シリーズ」とは

「伊良部先生シリーズ」とは、奥田英朗さんによる『イン・ザ・プール』、『空中ブランコ』、『町長選挙』の三部作のこと。どれも短編集でそれぞれの物語に全て精神科医の伊良部一郎先生が登場します。全話に共通する流れは以下です。

精神的な病を抱えた患者が、伊良部総合病院の地下にある診療室を訪れると風変わりな医者がお出迎え。彼の名前は伊良部一郎。無邪気な雰囲気で患者をおちょくってきたり、常識外れの行動で逆に患者を困らせたりするのですが、そんな彼と接する内に患者は平常心を取り戻していきます。

小説の読みどころはなんと言っても、伊良部先生の強烈なキャラ。とんでも精神科医の行動はめちゃくちゃですが、憎めない一面があります。診療室にいる看護師のマユミも変わっていて、伊良部先生と絶妙なコンビネーションを見せてくれます。

2011年にはテレビ朝日系列で『Dr.伊良部一郎(ドクターいらぶいちろう)』のタイトルでドラマ化されました。主演は徳重聡さんで、伊良部先生の破天荒な性格を忠実に再現していました。

ドクター伊良部シリーズの作品三冊を簡単に振り返る

「精神科医 伊良部先生シリーズ」の三作品を一冊ずつ簡単に振り返ってみましょう。

『イン・ザ・プール』

発売日 2002年5月15日
ページ数 272ページ

◯収録作品

タイトル 初出
イン・ザ・プール 『オール讀物』2000年8月号
勃ちっ放し 『オール讀物』2001年8月号
コンパニオン 『オール讀物』2001年11月号
フレンズ 『別冊文藝春秋』237号(2002年1月号)
いてもたっても 『オール讀物』2002年3月号

シリーズ第一作。第127回直木賞の候補作となりましたが、惜しくも受賞は逃しました。2005年に松尾スズキさん主演で映画化。2019年には渡辺徹さんが伊良部一郎役で舞台化されています。

表題作は、プールに通い始めたら完璧なフォームで長く泳ごうと追求するあまり、仕事が手につかなくなるほどプールにハマってしまう男が主人公。水泳中毒となった患者に「まあいいんじゃない」と答え、自分が真夜中のプールに侵入するといった、第一作から破天荒な伊良部先生の言動が炸裂しています。

筆者が個人的に一番感動したのは「フレンズ」。発売当初に読んだのですが、当時の年齢が主人公の高校生と近かったこともあり、共感しながら読みました。自分に友達がいなかったと主人公が気づいていくあたりが切なくて、何回も泣けてしまいます。

『空中ブランコ』

発売日 2004年4月25日
ページ数 272ページ

◯収録作品

タイトル 初出
空中ブランコ 『オール讀物』2003年1月号
ハリネズミ 『オール讀物』2003年7月号
義父のヅラ 『オール讀物』2003年10月号

※「教授のヅラ」を加筆改題

ホットコーナー 『オール讀物』2003年4月号
女流作家 『オール讀物』2004年1月号

第131回直木賞受賞作。選考会では「ユーモラスな人物造形ができている一方で、切実さと圧迫感がある」と高く評価されました。

2005年に阿部寛さん主演でスペシャルドラマ化。また2008年に雨上がり決死隊の宮迫博之さん主演で舞台化。さらに2009年には第二作の『空中ブランコ』がアニメ化されるなど、これまで数多く映像化されています。

表題作はジャンプに失敗し、不眠症に悩む空中ブランコのフライヤーが主人公。伊良部先生が空中ブランコに挑む姿がおもしろいです。個人的に感動したのは「女流作家」。いつもは冷たい雰囲気の看護師のマユミのかわいげな一面が垣間見えます。

『町長選挙』

発売日 2006年4月15日
ページ数 264ページ

◯収録作品

タイトル 初出
オーナー 『オール讀物』2005年1月号
アンポンマン 『オール讀物』2005年4月号
カリスマ稼業 『オール讀物』2005年7月号
町長選挙 『オール讀物』2006年1月号

シリーズ第三作目。前述したアニメ『空中ブランコ』の第10話では、本作収録の「オーナー」が放送されました。

四篇の短編からなりますが、表題作以外の三編は実在する人物がモデルとなっています。「オーナー」に登場する田辺満雄は通称ナベマンで、渡辺恒雄さんがモデル。また「アンポンマン」に出てくる安保貴明は「ライブファスト社」を立ち上げているあたり、ホリエモンを意識していると思われます。また「カリスマ稼業」の白木カオルは黒木瞳さんがモデルでしょう。

表題作の「町長選挙」は、いつものシリーズ作の中ではやや長めのボリュームで力作となっています。「町長選挙」はこれまでのシリーズで最もおもしろかったという感想が多く、人気の高い小説です。

伊良部先生シリーズの続編となる最新作が『オール讀物 2022年7月号』に掲載

『町長選挙』が発表されてから、15年以上が経ちます。なかなか伊良部一郎シリーズの続編が発表されず、ファンの中でも早く最新作が出ないかと待ち望む声が上がっていました。そんな中、満を持して最新作が『オール讀物 2022年7月号』に掲載されました!

タイトルは「ラジオ体操第2」。今回も伊良部一郎の破天荒な言動は健在。むしろかなりパワーアップして、伊良部先生が戻ってきました!

最新作「ラジオ体操第2」のあらすじとは【※ネタバレなし※】

オフィス機器メーカーに勤務する福本克巳(ふくもとかつみ)は、子供の頃から温厚で喧嘩などしたことがなかった。大人になった今も、煽り運転をされようが近くの公園で深夜に若者が騒ごうが、怒らない。ただし頭の中では復讐の妄想ばかりしていた。

数ヶ月前から怒りたくても怒れない状況に遭遇した時、過呼吸発作に見舞われていた。あまりに酷いので、克巳は病院へ行くことにした。向かったのは伊良部総合病院の地下にある、「神経科」と書かれた部屋。扉を開けると、「いらっしゃーい」と声を発してにんまりと微笑んだ医者が待っていた。

伊良部は克巳の症状を聞くと、「アンガーマネジメントが出来ていない」と言う。とりあえず練習が必要だからと通院を勧めてくる。さらにミニのワンピースの白衣を着たマユミという看護師が来て、注射を打たれた。

先ほどの医者は興奮気味に注射を打つところを凝視してくる。さらに注射が終わると噛んでいたガムを口から取り出して、額に押し当ててきた。克巳は終始あっけにとられている。

うまく怒れない克巳は、伊良部との出会いで変化できるのか?診療のために伊良部がとった、ぶっとんだ行動とは?さらにパワーアップした伊良部先生と患者のかけ合いは爆笑必至!

「ラジオ体操第2」の感想と考察【※一部ネタバレあり※】

「ラジオ体操第2」のあらすじを紹介してきましたが、やはり伊良部先生のとんでもない言動は相変わらずですね。ここからは作品を読んだ筆者の感想をまとめ、さらにこれまでの「伊良部シリーズ」との繋がりを考察しました。

【筆者の感想】今のトレンドをうまく取り入れたおもしろさ

これまで「伊良部先生シリーズ」は全て読んでいるのですが、伊良部先生の荒療治がいつもおもしろく、笑える場面が多いです。今回も患者をおちょくって、医療費を高く請求しようとするなど、笑いました。

『町長選挙』のときは、当時話題になっていた人をモデルにしてうまく物語として取り込んでいるなと感じました。今回はおそらく実在の人物をモデルにしてはいない(いたとしても有名人ではない)のですが、その代わりというか、最近流行っていることを物語の要素として入れていると感心しました。

例えば、煽り運転。ニュースを見ていると、よく話題になるトピックですね。また「撮り鉄」が物語では悪いように書かれているのですが、小説に出てきたとしてもこれまであまりそういう風な印象では書かれてこなかったと思うので、斬新でした。

全体的におもしろかったですし、なかなか怒りたくても怒れないというのは日本人のほぼ全員に言える特徴なので、共感できる人は多いでしょう。

欲を言えば、個人的にはもっと感動もしたかったなと。今までの作品をふりかえると、『イン・ザ・プール』の「フレンズ」にしろ、『空中ブランコ』の「女流作家」にしろ、感動を覚えた作品では看護師のマユミが活躍したもの(普段は冷たそうな性格のマユミが、人間らしい一面を見せる)が共通しているので、次作ではそういう作品を読みたいなと感じました。

【考察】タイトルの「ラジオ体操第2」の意味とは

タイトルの「ラジオ体操第2」は、物語の結末を読めば意味が分かります。ここではネタバレになるので詳細は伏せますが、痛快な終わり方をするというのだけ書いておきましょう。(「伊良部先生シリーズ」はどれもハッピーエンドなので、読者はだいたい想像がつくはずです)

「ラジオ体操第2」という、一番じゃなくて二番を持ってきているのが、またいいなと思いました。どんな体操だったか、頭の中で思い出しながら読みましたが、一番に比べてわりとアクロバティックな動きがあったかと。主人公が規則正しく踊るシーンを思い浮かべると、また笑いがこみ上げてきました。

物語の終盤に小説内に物語の主題に通じる箇所があったので、一部引用します。ネタバレとなるので、大丈夫な方だけ以下をクリックして読んでください。

ネタバレしていいからタイトルの意味や小説の主題を知りたい方はこちらをクリック!

克巳は迷惑行為をする撮り鉄に対して、「ラジオ体操第2」を流して反抗します。晴れやかな気分になった克巳はまた伊良部のもとを訪れた際に、以下の考えに至ります。

操られるようにラジオ体操第2を演じたのは、若い無法者たちと異なる価値観で対抗しようとしたのかもしれない。
引用:『オール讀物』2022年7月号45ページより

ラジオ体操第2を選んだのは、規則正しく生きてきた克巳ならではの行動だったのでしょう。

『空中ブランコ』との繋がり|あのキャラが再登場!

作中でアンガーマネジメントがうまくいかない克巳のために、伊良部が紹介した人物がいます。それが『空中ブランコ』にかつて登場したあの人だったんです。

ネタバレしていいから『空中ブランコ』との繋がりを知りたい方はこちらをクリック!

伊良部は行動療法をする上で「怒るのがうまい人」ということで、インストラクターを紹介すると言います。その人物は元ヤクザの猪野(いの)。『空中ブランコ』の「ハリネズミ」という短編に出てきた人物であり、彼も伊良部の診察により先端恐怖症を克服した過去があります。

猪野は克巳の目の前で、迷惑をかけていた者に対して怒鳴り散らします。最初は元ヤクザと自分の境遇の違いを理由に自分には真似できないと困惑しますが、結果的にこの経験が終盤の克巳の行動へと繋がっていくのです。

このようにレギュラーメンバー以外では、今まで登場したキャラが再度出てくることは無かったと思います。次作以降でもこれまでのキャラがまた登場してくるのでしょうか。過去の小説を読み返して、また最新作を待ちたい気分になりますね。

まとめ:伊良部先生シリーズの続編にまた期待したい!

十数年ぶりに「伊良部先生シリーズ」の最新作を読みましたが、あいかわらずおもしろくてあっという間に読んでしまいました。今作のように過去に出演したキャラクターが再登場すると、ファンとしてはたまらないですね!

また近々続編を出してくれると思うので、その時まで待ちましょう

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