3分で分かる「彼岸花が咲く島」(李琴峰)のあらすじ&ネタバレ解説・感想まとめ【第165回芥川賞受賞作】

架空の島に流れ着いた少女が、島の歴史や掟に翻弄されつつも、強く生きようとする小説「彼岸花が咲く島」。台湾生まれで現在は日本で活躍する小説家・李琴峰さんによる著作で、第165回芥川賞を受賞しました。今回はこの小説のあらすじを紹介。ネタバレ部分は隠しコマンドで書いているので、知りたい方だけ知れるような構成にしています。また作品の内容解説や感想もまとめていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

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李琴峰の小説「彼岸花が咲く島」とは

書名 彼岸花が咲く島
作者 李琴峰
出版社 文藝春秋
発売日 2021年6月25日
ページ数 192ページ

台湾籍で現在は主に日本語で作家活動を行う、小説家・李琴峰さん。日本語も中国語も堪能な作家ならではの、言語に対する鋭い感覚が特徴的です。今回紹介する「彼岸花が咲く島」には「ニホン語」と「女語」が混在しており、彼女の言語感覚がまた一段と光ります。

「彼岸花が咲く島」は架空の島を舞台にした小説です。ノロと呼ばれる女性たちが島を統治している設定で、このノロは沖縄のユタをどことなく彷彿とさせます。島独自の掟や歴史は現代社会を強く風刺している側面もあり、ただのSF的な物語ではなく重要なメッセージを含んだ小説だと捉えられるでしょう。

※「彼岸花が咲く島」は以下に当てはまる人におすすめ!
・沖縄のユタなど、南の島で受け継がれるスピリチュアルな話が好きな人
・言語を学ぶ楽しさを味わいたい人
・男性が支配してきた歴史に疑問を感じている人

3分で分かる「彼岸花が咲く島」のあらすじ※ネタバレ部分は隠してます※

砂浜に少女が倒れていた。少女の周りには赤一面の彼岸花が咲いている。少女を最初に見つけたのは、彼岸花を採りに来た游娜(ヨナ)だった。彼女は少女に「ノロ?」と聞いた。ノロとは、游娜が住む島の歴史を伝承する女性のことだ。

少女は島外のどこかから流れ着いており、過去の記憶が曖昧だ。少女は游娜により「宇実(ウミ)」と名付けられた。宇実は游娜や周りの島民と接する内に、島の実態を知っていく。

・島はノロと呼ばれる女性たちが統治している
・ノロの中でも大ノロの命令は絶対である
・島では「ニホン語」と「女語」が使われている
・「女語」は女性しか学べない

特に、家族の概念が特異である。
・父親という概念がない
・子どもが生まれたら2歳まで島全員で育てる
・2歳を超えたら希望者がオヤとなり、その後の面倒をみる

游娜の友人の少年・拓慈(タツ)は女語に興味があり、ノロになりたいと思っている。しかし島のオキテではノロは女性しかなれないため、拓慈は不満を抱いている。拓慈はこっそり游娜を頼って、女語を勉強している。

ある日、宇実は大ノロと対峙する。宇実が島の外部の人間だと知った大ノロは、宇実に島から出ていくよう命じる。しかし周囲の説得があり、宇実が言語を習得しノロになることを条件に島にいてもいいと許す。

※※以降はネタバレを含みます!ネタバレしていいからラストまで詳しく知りたい方はこちらをクリック!

外部の人間なのにノロになることを命じられた宇実に、ノロになれない運命の拓慈は怒りを示す。仲違いしかけるが、宇実と游娜がノロになった後に、島の歴史を教えることなどを約束し和解する。

宇実と游娜の二人は苦心しながらも言語を学んでいく楽しさに気づきつつ、徐々に習得していく。そして見事にノロになるための試験を突破する。

ノロになった宇実と游娜の二人は、なぜノロは女性しかなれないのか、そこには男性が支配してきた黒い歴史が理由にあることを聞かされる。重い歴史や男性による支配の怖さを知った二人は、拓慈に真実を話すのをためらう。

宇実は大ノロに渾身の力で刺青を入れてもらい、大ノロが力尽きる前に本音で向き合って話をしたことで、ノロとして生きる決意をする。宇実と游娜の二人は真実を拓慈に打ち明けることを決め、三年後の平穏な未来を想像するのであった。

「彼岸花が咲く島」のネタバレ解説

「彼岸花が咲く島」は架空の話ですが、現代社会を意識して描かれており、作者の強いメッセージが潜んでいます。そのあたりの主張が何なのかを考えつつ、よりこの小説の魅力を深掘りしていきましょう。ネタバレ部分はまた隠しコマンドとしています。

ノロの制度や島の歴史は現代社会を風刺している?

ノロの制度で最も特徴的なのは、女性しかなれないという点でしょう。少年である拓慈は自分がノロになれる可能性は無いと嘆き、宇実と游娜の二人は拓慈がノロになれるように画策しますが、苦心します。

※※以降はネタバレを含みます!ネタバレしていいから詳しく知りたい方はこちらをクリック!

島の歴史についても、男性が支配してきたことによる衰退や無惨な虐殺の実態があると分かりました。すなわち、これらの事象は男性が力任せに政治を引っ張ってきたことへの警鐘となっていることが分かります。

作者の李琴峰さんはこれまでにマイノリティーについて描いた作品を多く発表しています。「星月夜」では女性同士の恋愛が一つのテーマでした。性差別がいまだに残る現代において、これまでの性に対する固定観念を取り除き、新たな視点で語る必然性を語っています。

ところどころ意味が分かりにくい言葉はどう理解すべき?

島で使われる言葉には「女語」と「ニホン語」が出てきます。「ニホン語」はいわゆる日本語と違って、中国語(?)が入り混じったような作品独特の言葉です。中国語に精通していないとよく分かりづらい表現もあります。

さらに游娜はまだ言語能力に乏しく、ところどころ何を話しているか分かりにくい箇所が出てきます。意味が分からず読者はモヤモヤした気持ちになるかもしれません。

しかし言語を習得する際には、言葉が全て分からずにもどかしい気分になったことは皆さんあるでしょう。この小説はその時の気持ちを追体験できると思って、読み進めるのが良いかもしれません。全て分からなくても分かる箇所や文脈から推測して、徐々に全貌が判明していく過程を楽しみながらページをめくってみてください。

SNSに寄せられた「彼岸花が咲く島」の感想まとめ

Twitterに投稿された「彼岸花が咲く島」の感想をまとめました。

芥川賞の受賞予想も含めて、読んでいる方もいますね。

現実離れしてそうなノロの制度ですが、たしかに意外と合理的だと思える節もあります。

続編が出たら読みたいですね!

まとめ:「彼岸花が咲く島」は震災の記憶にまつわる肖像画のような小説だった!

いかがでしたか?「彼岸花が咲く島」の特徴を以下にまとめました。

・第165回芥川賞を受賞した、文学的評価が高い作品
・架空の島を舞台にした、島の歴史や少女の成長を楽しめる小説
・言語を学ぶ楽しさや魅力が伝わる作品
・女性が活躍する物語

以上です。気になる方はぜひ読んでみてください。

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