第169回芥川賞を予想!「エレクトリック」が大本命

第169回芥川賞の選考会が2023年7月19日に行われ、同日受賞作が発表されます。今回は事前に発表された候補作を全て読み、どの作品が受賞しそうか予想します。各作品のあらすじと講評を述べた上で予想しているので、受賞作発表前にぜひチェックしてみてください。

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そもそも芥川賞とはどんな文学賞?

芥川賞は日本を代表する文学賞の一つ。年に2回(1月と7月)選考会が行われています。対象となるのは、新人作家の純文学作品。日本文学振興会が主催しています。これまでの主な受賞者は石原慎太郎、村上龍、松本清張、小川洋子、川上弘美などです。

受賞作品は話題になりやすく、お笑い芸人の又吉直樹さんが「火花」で受賞した際は大きな話題となりました。また第164回芥川賞作となった宇佐見りんさんの「推し、燃ゆ」が、好きなアイドルを推している者の心情を表していると高く評価され、2021年で最も売れた小説となりました。

「推し、燃ゆ」のあらすじをチェックしてみる

最新回の第168回芥川賞は井戸川射子さんの「この世の喜びよ」と佐藤厚志さんの「荒地の家族」がダブル受賞。詩人としても活躍する井戸川さんや現役の書店員でもある佐藤さんの受賞は話題となりました。

「この世の喜びよ」のあらすじをチェックしてみる

「荒地の家族」のあらすじをチェックしてみる

第169回芥川賞受賞予想|

第169回芥川賞の候補となったのは、以下の五作品です。(並びは作家名の順)

作品名 作家名 掲載誌 候補回数
我が手の太陽 石田夏穂 群像5月号 2回目
ハンチバック 市川沙央 文學界5月号
##NAME## 児玉雨子 文藝夏号
エレクトリック 千葉雅也 新潮2月号 3回目
それは誠 乗代雄介 文學界6月号 4回目

乗代雄介さんは今回で4度目の候補。これまでの候補作はそれぞれ『群像』『群像』『新潮』掲載作品で、今回初めて『文學界』掲載作が候補入り。芥川賞を主催する団体が所属する文藝春秋社が発行している文芸誌の掲載とあって、受賞の期待は高まります。

乗代さんに続いて3度目の候補となったのが、千葉雅也さん。哲学者としても知られる千葉さんの作品は私小説ともいえそうな自身の経歴をふまえた小説が多いのが特徴。今回は宇都宮市に住む高校生が主人公の物語です。

石田夏穂さんは2度目の候補。1度目の候補となった際は、すばる文学賞の佳作から芥川賞候補入りしたことで話題になりました。

初候補は2人。1人目の市川沙央さんは今年の文學界新人賞受賞者。重度障害当事者の作家であり、NHKでも特集を組まれるなど、異色の作家として注目を集めています。

もう1人は児玉雨子さん。ハロプロの楽曲の作詞家としても知られる作家で、作品はジュニアアイドルの闇の部分をテーマにした意欲作となっています。

各候補作のあらすじと講評

ここからは芥川賞候補になった各作品のあらすじを紹介します。また各作品の講評も合わせて行います。

「我が手の太陽」石田夏穂(『群像』5月号)

【あらすじ】
ベテラン溶接工の伊東は、これまでエース級の活躍をしてきたが、ここ最近は仕事の欠陥率や不合格(フェール)を指摘され、スランプに陥る。ずっと下に見ていた工事現場での仕事を受け入れられず、傲慢な自尊心が膨れ上がっていく。

「我が手の太陽」のあらすじを詳しくチェックしする

【講評】
一種のお仕事小説として読めるが、溶接工の仕事ならではの特徴や難しさを端的に表した表現が見事。また、ベテラン職人がプライドの高さゆえに苦悩するさまもよく伝わってきた。専門用語が多くやや読みづらいのと、こういったテーマはそこまで目新しくないと評価されてしまいそうな点が難点か。

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「ハンチバック」市川沙央(『文學界』5月号)

【あらすじ】
背骨が湾曲した重度障害者の釈華は、SNSに「生まれ変わったら高級娼婦になりたい」と投稿している。ある日、自分のアカウントがグループホームの男性職員に特定され、そこから思わぬ事態へと発展する。

「ハンチバック」のあらすじを詳しくチェックしする

【講評】
重度障害者の当事者が綴る小説は、その病と向き合い続けた本人にしか書けない世界観がある。凄まじい性描写や切実な表現は、文學界新人賞でも各選考委員から激賞された。やはり問題となるのは、その選考会でも指摘されたラストシーンか。脇が甘いとみなされ、評価は下がるかもしれない。

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「##NAME##」児玉雨子(『文藝』夏号)

【あらすじ】
元ジュニアアイドルの雪那は、夢小説の名前の部分に特定の誰かを当てはめずにそのまま読み進めるのが好きだ。ある日、好きな夢小説の作者が児童ポルノ禁止法違反で逮捕されたと知り、自身のアイドル時代のできごとや心境を振り返る。

「##NAME##」のあらすじを詳しくチェックしする

【講評】
児童ポルノというデリケートなテーマを扱い、真っ向から向き合っている。元アイドルという立場で描き、安易に生まれ変わりを示唆するわけでないラストも秀逸だ。ただこのラストについては「無理やり感があり、壮大なテーマのわりに小さく収めてしまった」と否定的な意見も生まれるかもしれない。

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「エレクトリック」千葉雅也(『新潮』2月号)

【あらすじ】
雷都と呼ばれる宇都宮で達也は高校生活を送っている。インターネットの黎明期だった1995年、同性愛に興味を抱いた達也はゲイサイトを見つけ……。家のスタジオでアンプの補修をする父とともに過ごした、青春ストーリー。

「エレクトリック」のあらすじを詳しくチェックしする

【講評】
インターネット黎明の混迷の時代を、思春期特有の混沌とした高校生の心理描写と合わせて描く。父のスタジオという特異な舞台設定も効いているし、一つ一つの要素がエレクトリックという主題にうまく絡んで昇華させている。何かが始まる前を描いただけで物足りないという意見も出るかもしれないが、作品としての評価は高くなりそうだ。

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乗代雄介「それは誠」(『文學界』6月号)

【あらすじ】
高校二年生の佐田誠は、修学旅行で単独行動をしておじさんの家を訪れる計画を立てる。一緒の班になった3人の男子(特待生の蔵並、吃音を持つ松、サッカー部の大日向)もついてくることになり……。

「それは誠」のあらすじを詳しくチェックしする

【講評】
ストーリーテリングや思春期の高校生の心情とマッチした風景描写がすばらしい。青春ストーリーの王道とも呼べる小説で、ラストシーンは不覚にも感動させられた。ただこのうまさは純文学というよりエンタメ作品として評価されそうだ。将来的に直木賞を受賞する可能性の方が高いかもしれない。

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受賞予想:大本命は千葉雅也さんの「エレクトリック」

全作品の講評をふまえ、今回の芥川賞の受賞を予想をすると、本命は千葉雅也さんの「エレクトリック」。過去の候補作と比べても成長を感じられ、受賞に最も近いといえそうです。対抗は石田夏穂さん「我が手の太陽」。大穴が児玉雨子さん「##NAME##」で考えます。

◎(本命):千葉雅也「エレクトリック」
◯(対抗):石田夏穂「我が手の太陽」
△(大穴):児玉雨子「##NAME##」

受賞作発表は7月19日。また発表後に記事を更新いたします!

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