今回は『地雷グリコ』のあらすじや感想を紹介。数々の文学賞を受賞し、直木賞候補作にもなった本作の評価、タイトルの意味、ラストシーンや伏線のネタバレ考察、続編や映画化、ドラマ化の可能性などをまとめてみました。
【第171回直木賞候補作】青崎有吾の小説『地雷グリコ』とは
| 書名 | 地雷グリコ |
| 作者 | 青崎有吾 |
| 出版社 | KADOKAWA |
| 発売日 | 2023年11月27日 |
| ページ数 | 352ページ |
『地雷グリコ』は、高校生の射守矢真兎が頭脳ゲームで戦う物語。各ゲームはよくある遊びにオリジナルのルールが追加されており、いかに問題の本質や抜け道に気づき、心理戦にも勝ち得るかが鍵になってきます。先の読めない展開や青春物語が魅力の一冊です。
新刊『地雷グリコ』、書影公開。
川名潤さんにデザインしていただきました。射守矢真兎(いもりや まと)。女子高生。西東京在住。風貌はギャル。
勝負事に、やたらと強い。
11/27発売予定です。https://t.co/WqK7ONfEsz pic.twitter.com/tiJyOfQjt8
— 青崎有吾 (@AosakiYugo) November 2, 2023
本作は「第24回本格ミステリ大賞」「第77回日本推理作家協会賞」「第37回山本周五郎賞」をトリプル受賞。さらに第171回直木賞の候補作にも選出されました。
※『地雷グリコ』は以下に当てはまる人におすすめ!
・「カイジ」や「ライアーゲーム」が好きな人
・グリコ遊びをよくやっていた人
・第171回直木賞の候補となった話題作をチェックしたい人
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3分で分かる『地雷グリコ』のあらすじ【※ネタバレなし※】
都立頬白高校では、文化祭の頬白祭で屋上を使う権利を得るために、代々「愚煙試合」と呼ばれるゲームが行われていた。生徒会の椚と決勝で戦うことになったのは、一年の女子生徒・射守矢真兎。短めのスカートを履き、飄々とした雰囲気の少女だ。
真兎は、その見た目とは反して頭脳明晰かつ心理戦にも優れており、ユニークなゲームを攻略していく。そのなかで愚煙試合の真の目的が分かり、やがて戦いの場は校外へ。そこには中学時代の同級生だった因縁の相手・雨季田絵空がいて……。
『地雷グリコ』の主な登場人物まとめ
『地雷グリコ』の主な登場人物についてまとめました。Xにイラスト付きの投稿もあがっていたので、合わせて紹介します。
〇都立頬白高校
・射守矢真兎(いもりやまと):一年四組。頭が切れる女子生徒
・鉱田(こうだ):真兎と同じ中学出身。ゲームの介添人
・椚迅人(くぬぎはやと):三年生。生徒会役員
・江角進一(えすみしんいち):三年生。生徒会役員
・塗辺(ぬりべ):頬白祭実行委員。ラクロス部に所属
・佐分利錵子(さぶりにえこ):生徒会長の女子生徒
・中束(なかつか):かるた部部長
〇星越高校
・雨季田絵空(うきたえそら):真兎と中学時代の同級生
・新妻晴夫(にいづまはるお)
・巣藤(すどう)
・桶川(おけがわ)
〇その他
・旗野(はたの):かるたカフェHATANOの店主
・竹宮(たけみや):真兎と中学時代の同級生
地雷グリコを読んだよ pic.twitter.com/oJC57FeBMa
— すーこ (@sususu_mstr) June 17, 2024
『地雷グリコ』のネタバレ解説&考察まとめ
ここからは『地雷グリコ』の魅力を深掘りするために、タイトルの意味、作品の魅力、ラストシーンのネタバレ考察などを行います。
タイトル「地雷グリコ」の意味とは?
タイトルだけを見て、地雷というフレーズから「戦争もの」をイメージした人ももしかしたらいるかもしれません。しかし、地雷はあくまでゲーム上の仕掛け。誰もが幼少時代に一度はしたことがあるであろう「グリコ遊び」をモチーフにしたゲームからきています。
あらすじのところでも紹介したように、本作では多くの人に親しみがある遊びに、独自のルールを追加したゲームがテーマとなっています。このゲームを味わう醍醐味を次の章で詳しく紹介していきましょう。
頭脳戦と心理戦が同時に展開されるゲームの攻防が面白い!
本作では、グリコ、じゃんけん、ポーカーなどの遊びに、独自のルールを追加したゲームをもとに、高校生たちが戦う場面が中心に描かれています。どのゲームも、頭脳戦に加え、心理的な読み合いが要求される戦いで、先が読めない展開が見どころです。
作者の青崎有吾さんがインタビューの中で好きな作品として『賭博黙示録カイジ』を挙げており、本作にもこの作品と共通した世界観があります。さらに、インタビューの中では、本作のおすすめの読み方として、以下のようなことも語っています。
「自分だったらどうするか」を考えながら読んだほうが楽しめるかもしれませんね。
引用:第260回: 青崎有吾さんその7「話題作『地雷グリコ』と今後の予定」 – 作家の読書道 | WEB本の雑誌
特に表題作でもある「地雷グリコ」は、友人と一緒に試してみたくなりますね。
『地雷グリコ』のラストシーンをネタバレ考察!大逆転の行方は?
『地雷グリコ』は連作短編でもあります。最終章(「エピローグ」を除く)となった「フォールーム・ポーカー」のラストシーンについて考察してみましょう。ネタバレとなるので、作品を最後まで読んだ人だけ以下をクリックしてチェックしてみてください。
ネタバレしていいからラストシーンの考察を知りたい方はこちらをクリック!
【あらすじ】
いよいよ、中学時代の同級生である因縁の相手・雨季田絵空との直接対決を迎えます。ゲームは「フォールーム・ポーカー」。トランプをスート(柄)ごとに4部屋に配置し、そこから選んだカード3枚で行うポーカーゲームです。
カードの配置の法則性を見抜き、記憶力と心理戦が必要になってくるゲーム。途中で放火をし妨害するというとんでもない仕掛けをしてきた絵空が中盤優位に立ちます。
【ゲームの行方】
最後は扇風機に煽られて落ちていたカードで最強の組み合わせを選んだ絵空が勝利を確信するも、それは真兎が仕組んだ罠。全く同じメーカーのカードを用意し、まんまと絵空にそのカードを取らせ、結果的に真兎が勝利を手にしたのでした。
【絵空と真兎に隠された秘密とは】
絵空は中学時代に、学校のテストの平均点を大幅に下げるという企みに成功し、その結果、星越高校の推薦合格を手にしていました。成績優秀者に偽のテストを配ることで平均点が下がったのです。
ただし、その一方で、普段通りにテストを受けた者が相対的に成績が良くなりました。その影響を受けてしまったのが、鉱田です。ダンスで志望校を狙っていましたが、絵空の仕掛けによりライバルが優位に立ってしまう事態となり、鉱田は志望校を諦めました。
そのことを黙っておいた真兎も含めて、二人は鉱田に謝ります。鉱田は二人のことを許し、今は二人を強力な味方として、いざとなったら助けてもらおうと思うのでした。
【考察】
全体的にゲームの穴をついたトラップを仕掛けて、大逆転勝利をするという流れがあり、フォールーム・ポーカーでも同様に最後に大きな仕掛けが待っていました。これを凄い仕掛けだと褒める人もいるでしょうが、一方でなんかずるいと思ってしまう人もいるでしょう。
最後の鉱田が示したスタンスは、強力な二人を手札に持っているということで、一歩上手な印象も受けました。この二人を味方にできたら、最強の高校生活が歩めそうですよね!
『地雷グリコ』は続編がある?「エピローグ」で新たな展開が!
『地雷グリコ』は「エピローグ」で新たな展開を見せており、続編の可能性を期待させます。こちらもラストシーンの内容にちょっと触れるので、以下に書いていきます。
ネタバレしていいから続編の可能性を知りたい方はこちらをクリック!
ラストシーンの大きな変化として、真兎が星越高校に転校してきます。奨学金制度がうまくまわっていない現状を受けて、外部から転校してきた真兎に上位所持者を倒してもらい、制度自体をぶっ壊してほしいという狙いがあったからです。
最後は、三年生の新庄寺という学生と戦おうとするシーンで幕を閉じます。純粋にこの対決もどうなるか気になりますし、他の上位所持者とどういう戦いをするかも知りたいですね。このあたりの戦いを描いた作品が続編として出る可能性は大いにあります。期待して待ちたいですね。
『地雷グリコ』は映像化される?ドラマ化や映画化、アニメ化の可能性は?
『地雷グリコ』は、身近な遊びを応用したゲームをテーマとしており、多くの人の関心を持たれやすい作品だといえます。そういった意味で、映像化もされやすいのではないかと考えます。
一番可能性として高いのは、ドラマや映画というよりは、アニメ化ではないでしょうか。登場人物のキャラクター名も、学園という設定も、かなりアニメに適した世界観です。まずはアニメ化され、そこから映画化されるルートが考えられます。
『地雷グリコ』を読んでみた感想
ここからは『地雷グリコ』を読んでみた感想を書いていきます。また読者のレビューも合わせてまとめました。
【筆者の感想】勝ち確な戦い方や、ゲームの抜け道を探したくなる
いくつかのゲームが物語のなかで展開されますが、筆者が一番興味を持ったのは、冒頭の「地雷グリコ」でした。これって、連続する三段で地雷を仕掛けて、グーでしか勝ち進めないような流れにしておけば、最強な気もしますけど、どうなんでしょう。
こういった新しいゲームって、勝ち確な戦い方や、ゲームの抜け道を探すのも、おもしろいですね。本作では、どちらかというと後者のゲームの穴を見つけ出して、勝利に結びつけたようなものが多かったのですが、それだとちょっとずるいなと正直思ってしまいました。
また、青春ものと結びつけたのも、爽やかな印象でよかったですね。命を懸けるとドキドキした臨場感が増しますが、倫理的にはこういった瑞々しい雰囲気の作品の方が落ち着いて読めて好きでした。
さて、本作は直木賞の候補作にも選出されています。これまでの感想で述べたような、頭脳戦や心理戦をうまく書けている展開は評価されそうですが、一方で直木賞に求められる人間物語の部分でいうと薄いので、受賞作にはあまり向いていないのかなと思いました。
受賞予想:ー(なし)
(全候補作を読み終えた段階でもう一度予想してみます)
【みんなの感想や評価】最後の一撃を与える気持ちよさがたまらない
続いて、読者がSNSやレビューサイトに投稿した感想をいくつか紹介します。
青崎有吾『地雷グリコ』読了
独自のルールが定められた五つのゲームを巡って繰り広げられる緻密な頭脳戦。相手の思考をトレースし誘導し、ルールハックから盤外戦術まであらゆる手段を用いて勝利を掴む。ゲームごとの定石を見抜き、相手を出し抜き最後の一撃を与える瞬間の気持ちよさがたまらない。 pic.twitter.com/ewW4ETaBcG
— ケイネすけ (@Kaynethkay) February 17, 2024
青崎有吾『地雷グリコ』#読了
女子高生の射守矢真兎が5つのオリジナルゲームに挑む話。罠を仕掛けるグリコ、神経衰弱を足した坊主めくり、独自手の使えるジャンケン、入札できるだるまさんが転んだ、違う部屋にあるカードを使うポーカー。そして元友達の雨季田絵空が現れ…。盤外戦術が基本だよな〜! pic.twitter.com/MTW5kRwIeG— つかっちゃん読書垢@純文学ユーチューバー(文学フリマ東京39で出店予定!) (@book_tsukatsu) June 17, 2024
青崎有吾『地雷グリコ』読了。
JK×ギャンブル×異常遊戯!読み慣れた味と未知の快感!面白さがマジで天井知らず
ギャンブル漫画への敬愛がめちゃくちゃ伝わってくるし、その上で完全に新しい道を開拓してる
ってか射守矢真兎良すぎ🤚
コミカライズまだですか?番外編でもいいです pic.twitter.com/muZqsxmQf6— おでん屋 (@oden_ya_) July 5, 2024
青崎有吾『地雷グリコ』読了。5編の作品を収録した短編集。ジャンケンなどの既存のゲームに特殊なルールを追加したもので相手と対決していくという方式。2023年どころか今まで読んだ短編集の中でも抜群に面白かった1冊。素晴らしい推理小説短編集でした! pic.twitter.com/eNruOmroV5
— tak@本好き (@tak26848947) December 24, 2023
青崎有吾「地雷グリコ」#読了。グリコやジャンケンのような誰もが知ってる子供の遊びに追加ルールを足すことで高度な心理戦となり裏の裏の裏を読みあい主人公は運任せではなく勝つべくして勝つ展開を作っていく。ギャンブル小説だが、かといって重苦しさはなく軽快に話は進む。めちゃくちゃ面白かった pic.twitter.com/DzI9aLyqj3
— たかぴー⁺(テイラー) (@hoop9000) July 14, 2024
まとめ:『地雷グリコ』は頭脳ゲームをモチーフにした青春小説だった
いかがでしたか?『地雷グリコ』の特徴を以下にまとめました。
・第171回直木賞候補作(受賞予想はー:なし)
・グリコやじゃんけんなど親しみのあるゲームの応用版で、考える楽しさがある
・頭脳ゲームに心理戦も加わり、さらに青春小説としての魅力もある
以上です。まだチェックしていない方は、ぜひ読んでみてください!
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