今回は「へび」(著:坂崎かおる)のあらすじや感想を紹介。タイトルの意味や、ラストシーンのネタバレ考察(解説)などを行ったうえで、筆者の芥川賞予想込みの感想や、読者の口コミ評価などをまとめました。
【第174回芥川賞候補作】坂崎かおるの小説「へび」とは
| 書名 | へび |
| 作者 | 坂崎かおる |
| 初出 | 『文學界』2025年10月号 |
作者の坂崎かおるさんは、1984年生まれの小説家。2024年には「海岸通り」で第171回芥川龍之介賞候補となり、2025年には『箱庭クロニクル』で第46回吉川英治文学新人賞を受賞しています。
第174回芥川龍之介賞の候補作は、以下の5作です。
久栖博季 「貝殻航路」(文學界12月号)
坂崎かおる「へび」(文學界10月号)
坂本湾「BOXBOXBOXBOX」(文藝冬季号)
鳥山まこと「時の家」(群像8月号)
畠山丑雄「叫び」(新潮12月号)#芥川賞— 日本文学振興会 (@shinko_kai) December 10, 2025
『文學界』2025年10月号に掲載された「へび」は、へびのぬいぐるみである「僕」が語り手となり、発達障害の息子を育てる父の姿を描いた短編です。同作で、第174回芥川賞の候補作に選出されています。
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3分で分かる「へび」のあらすじ【※ネタバレなし※】
ヘビのぬいぐるみである「僕」は、あなたの姿を優しく見つめる。あなたの息子の夏秋は、発達障害を抱えて通級に通う小学五年生だ。ひょんなきっかけで少年野球チームに入ったところから、徐々に変化し始める。一方、あなたの妻の那津は、突如人形になってしまった。
夏秋は夏休みの終わりに行われた合宿先でいなくなったり、父との関係に悩んでいると先生に相談したりといった、起伏のある日々を送る。そんななか奮闘するあなたの姿を、僕は優しく語るのだった。
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「へび」のネタバレ解説&考察まとめ
ここからは「へび」の魅力を深掘りするために、タイトルの意味、ラストシーンのネタバレ考察などを行います。
タイトル「へび」の意味とは
本作は語り手が、ヘビのぬいぐるみである「僕」というのが大きな特徴です。タイトルの「へび」は語り手自身を指していると捉えることができるでしょう。
さらに、もう一歩踏み込んで、このへびという存在が、物語にどんな影響を与えているかを考えるのも、本作を読み解くヒントになりそうです。
たとえば「僕」は、多少破れても付属の液体をつけると元通りになる「自己修復機能」を持っています。すなわち、「何度でもやり直せる」というテーマが、「あなた」と家族との関係にも当てはまるのではないでしょうか。
そういった視点で本作を読むと、また違った捉え方ができるといえます。
ラストシーンのネタバレ考察(解説)
ここでは、ラストシーンを踏まえて、本作について考察した内容を記します。ややネタバレとなるので、大丈夫な人だけ以下をクリックして読んでみてください。
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【結末部分のネタバレ】
野球チームでお世話になっていた飯田橋先生が警察に捕まった。飯田橋先生の息子のショウは、チームメイトの夏秋とともに家出を決行した。夏秋がいなくなったと知ったあなたは、人形になっていたはずの妻・那津から問い詰められる。
ラストは、夏秋とショウが2人とも大人になって当時を回想するシーンだ。2人の家出は結局2日足らずで終わったが、その時の経験が今の財産になっているようだ。2人で支え合った日々を讃え合い、お互いの絆を感じさせる場面で終わる。
【ラストシーンの考察】
最後は以下のような背中の描写で終わる。
反対側の階段をのぼっていく翔を、見えなくなるまで見る。彼の大きな背中は少しゆらゆらとしながら、やがてホームに消えていく。僕は腕を上げ、掌を広げ、その背中に触る仕草をする。それは熱を持っている。熱を持っている。
引用:『へび』本文より
この背中についての描写は、本文冒頭に呼応しています。冒頭の一文は
あなたはその背中を覚えている。
引用:『へび』本文より
さらに、しばらくしてこういった記述があります。
治りの悪い、かさぶたができてははがれる、生の、変容の象徴として。そして、そのイメージには背中があった。人が背中を見せるとき、それは遠ざかるときだ。去るときだ。
引用:『へび』本文より
つまり、序盤のこういった記述から、ラストの着地に至るまでに、息子の立派な成長があり、何度も修復を繰り返していった親子の格闘の跡が見て取れるといっていいでしょう。
「へび」を読んでみた感想
ここからは「へび」を読んでみた感想を書いていきます。また読者のレビューも合わせてまとめました。
【筆者の感想】坂崎かおるさんの技術が光る作品
作者の坂崎かおるさんは、『箱庭クロニクル』で第46回吉川英治文学新人賞を受賞していますが、同作はテーマや趣向がバラバラの短編小説が収められており、作品としての幅を感じさせました。
本作「へび」でも、細かな描写や、リズム感のある書き方など、随所に工夫が光る作品です。確かなテクニックを感じさせる点は、最近の若手作家の中でも一つ頭が抜けているといえます。
本作は第174回芥川賞の候補作に選出されていますが、このようなテクニックは高く評価されるでしょう。一方で、へびをモチーフとしている点が、作中にどれほど活きているかは評価が分かれそうです。特に同じ「へび」をモチーフとした短編小説「蛇を踏む」で芥川賞を受賞している川上弘美さんが選考委員として本作をどう評価するかにも注目したいですね。
受賞予想:△(大穴)
(全候補作を読み終えた段階でもう一度予想してみます)
【みんなの感想や評価】
続いて読者がレビューサイトやSNSに投稿した感想や口コミ評価をまとめました。
芥川賞候補 坂崎かおる『へび』
「あなた」って誰? 「人形」とは?
浮びあがる疑問を追ううちに、いつのまにか独自ルールが支配する作品の「箱庭」の中へ。映画や漫画でも物語は受けとれます。
しかし、文字の連なりに目を通すことでしか味わえない文学の物語世界がここにあります。… pic.twitter.com/7vd24HAtTG— 平川哲生 Tetsuo Hirakawa (@bokuen) December 14, 2025
芥川賞候補作、坂崎かおる『へび』、ASDの共感性、自他境界の曖昧さ、白黒思考、擬態など『嵐』のような人生を巧みな技法によって読者に強制的に味合わせる構成になっている気がする。いわゆる『発達障害あるある』のストーリーラインは副次的な要素でしかない気がする
— Natsumi Jumonji (@NatsumiJumonji) December 19, 2025
芥川賞候補作、坂崎かおるさんの『へび』読了。
発達障害の育児マイルストーンのような内容。
グレーゾーンの子の親らが現実を受け止め、子の反応は悪意ではなく脳由来と理解し、接し方が改善されることを願ってやまない。
「スバルのランクル」とやらはOEMで存在するの?
解決方法はエンブレム交換? pic.twitter.com/ckFAcYvfL8— おおえ (@oh_yeah_van_lee) December 15, 2025
坂崎かおる【へび】
何も見えていない、見ようとしない父の空っぽさがずっと苦しくて、それはきっと夏秋にとっても同じだったのだろうと幾つもの感情を想像させられた。自分だけの世界を必死に作り上げていた夏秋を思うと、子供の見える世界と大人が作ってきた世界、どちらが現実なのか考えてしまう🐍 pic.twitter.com/NKogOl9kNv— tiina (@tiina37839395) December 15, 2025
まとめ:「へび」は独特の語り手により子育てに奮闘する父の姿を描いた小説だった
いかがでしたか?「へび」の特徴を以下にまとめました。
・第174回芥川賞候補作(受賞予想は△【大穴】)
・へびのぬいぐるみを語り手に据えたユニークな作品
・親子のやりとりや、随所に技術の光る書き方などが魅力
以上です。まだチェックしていない方は、ぜひ読んでみてください!
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