今回は「叫び」(著:畠山丑雄)のあらすじや感想を紹介。タイトルの意味や、ラストシーンのネタバレ考察(解説)なども併せて行います。また、筆者の感想を芥川賞予想込みで書いたうえで、読者の評価やレビューもいくつかまとめました。
【第174回芥川賞候補作】畠山丑雄の小説「叫び」とは
| 書名 | 叫び |
| 作者 | 畠山丑雄 |
| 出版社 | 新潮社 |
| 発売日 | 2026年1月14日 |
| ページ数 | 144ページ |
| 初出 | 『新潮』2025年12月号 |
作者の畠山丑雄さんは、京都大学文学部在学中に「地の底の記憶」で第52回文藝賞を受賞し、作家デビュー。2025年には『改元』で第38回三島由紀夫賞の候補となり、今回紹介する「叫び」で第174回芥川龍之介賞の候補に選ばれました。
『叫び』が第174回芥川賞の候補に選ばれました。大変光栄です。ありがとうございます! 単行本は新潮社より1月14日に発売です。 pic.twitter.com/slMGebPhiC
— 畠山丑雄🐮『叫び』174回芥川賞候補作2026年1月単行本化 (@hatakeyamaushio) December 11, 2025
「叫び」は、大阪府茨木市で働く公務員の男性・早野が主人公。荒んだ生活を送っているなかで「先生」と呼ぶ男と出会い、銅鐸づくりやその土地の歴史を学んでいきます。現代と過去の二つの万博をモチーフとして、現実と幻想が入り混じった文体で構築された物語です。
※「叫び」は以下に当てはまる人におすすめ!
・大阪万博に行った人や興味があった人
・現実と幻想が入り混じった不思議な世界観の小説を読みたい人
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3分で分かる「叫び」のあらすじ【※ネタバレなし※】
デートを重ねていた女性と同棲するために、大阪府茨木市に引っ越してきた、公務員の早野ひかる。しかし早々に失恋してしまい、荒れた生活を模倣して、それなりに荒んだ生活を送っていた。
そんな折、鐘の音に導かれ、生活保護を受けている老齢の男と出会う。それから早野は男を「先生」と呼び、銅鐸づくりを習うようになった。さらに、先生はこの土地の歴史も勉強するように言う。それは早野が「聖」になるために必要なことだった…。
早野は歴史を調べていくなかで、アマチュア天文家だった川又青年の存在を知った。同時に、川沿いには、阿片(アヘン)の原材料となる罌粟(ケシ)畑が広がっていたことも分かった。川又青年はその才能を見込まれ、罌粟の売り先である満州へと渡ったのだった。
また、早野は銅鐸鋳造体験会で知り合った女性・長田しおりさんと、川又青年の話などをきっかけに仲良くなる。逆に早野は、しおりさんから、どうしようもない父の話を聞かされながら、交流を深めていくのだった。
物語は、現在の大阪万博と、川又青年がいた頃の千九百四十年万博の、二つの万博の時代をクロスオーバーさせながら、展開していく。そして、ラストでは現実と幻想が入り混じったような世界が描かれる……。
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「叫び」のネタバレ解説&考察まとめ
ここからは「叫び」の魅力を深掘りするために、タイトルの意味、ラストシーンのネタバレ考察などを行います。
タイトル「叫び」の意味とは
本作の中では、「叫び」に関する記述がいくつか見られ、それぞれに様々な意味が考えられます。例として、二ヶ所引用しましょう。
漏れ出した叫びに晒されるかどうかは、叫びが響きとなって生涯を貫くかは、どこまでいっても偶然でしかない。
引用:「叫び」本文より
震えはやがて一筋の恍惚の叫びとなって天に立ち昇る。
引用:「叫び」本文より
いずれも物語後半の重要なシーンで書かれたものです。ネタバレになるので詳しくは書きませんが、こういった結論に至るまでの過程をじっくりと読み進めてみるとよいでしょう。
ラストシーンのネタバレ考察(解説)
ここではラストシーンについて考察した内容を記します。ややネタバレとなるので、最後まで作品を読んだ人だけ以下をクリックしてチェックしてみてください。
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【ラストシーンまでのおおまかなあらすじ】
大阪万博がある現代のシーンで、早野は川又青年の幻想を見るようになる。川又青年は当時陛下のために罌粟畑を育てていたが、陛下から労いの言葉は無かったようだ。早野は川又青年のために、陛下に直接伝えたいと思っていた。
【考察】
結末部分で、早野が天皇・皇后両陛下の行幸啓を妨害しようとした疑いで逮捕されたと明かされる。この記述により、どこまでが真実で、どこからが幻想か、曖昧な終わり方となっていた。
ラストの早野の行動は、女にふられてしょうもない人生を送っていた彼が、人のために行動したくなった証ともとれる。銅鐸の響きも、戦後の日本に忘れ去られていたものを、現代へと警鐘するための道具として、うまく機能しているといえるのではないだろうか。
「叫び」を読んでみた感想
ここからは「叫び」を読んでみた感想を書いていきます。また読者のレビューも合わせてまとめました。
【筆者の感想】大阪万博という時事的なテーマをうまく取り入れた小説
2025年に開催されたばかりの大阪万博を早くも取り入れており、その素早さにまず感心しました。ただ大阪万博にまつわる事柄を入れ込んだだけでなく、デートでパビリオンを訪れる様子も描いていて、実際に何度も取材したのではないかと思われます。
二つの万博をモチーフとして、戦後の日本と現代の日本、陛下のために行動した川又青年と毎日をしょうもなく生きている早野という、対比が効いていて、読みやすかったです。
さて、本作は第174回芥川賞の候補作に選出されていますが、果たして受賞するのでしょうか。少し予想してみましょう。前述した通り、うまく対比ができている点は評価されそうです。
ただ、現代を生きる早野の人物像がやや表面的すぎて、それは過去と比較するために意図的な書かれ方ともとれますが、もっとしょうもなくていいんじゃないか、と注文をつけたくもなります。また、ユーモアを狙った書き方も散見されますが、ユーモアに厳しい山田詠美選考委員からは厳しい目で見られるかもしれません。
受賞予想:ー(なし)
(全候補作を読み終えた段階でもう一度予想してみます)
【みんなの感想や評価】狂気か正気か
続いて読者がSNSに投稿した感想やレビューを紹介します。
畠山丑雄さん『叫び』読了。
最初めっちゃおもろくて、これ『オモロイ純文学』そのものやんなって思ってたのに、だんだんだんだん狂気を孕んできて、いやでもこれ狂気なんか?正気やんな?ってなんかもう「イヤー!」てなりました(誉めてます)。
概念としての父殺しみたいなものもありそう? pic.twitter.com/9tiigiNMAU— ニョび太 (@0sVqpOF75ouzcd7) December 28, 2025
叫び/畠山丑雄
おもしろこわくてすごかった。
ちなみに続けて歴史脱出アンソロジーの雨禁獄を読んだ。「おれっ朕」からの「墨染の涙」のアップダウン。こっちも面白いのです。 pic.twitter.com/RBda0aoJwK— 藤野ふじの (@fujiponsai) January 1, 2026
畠山丑雄「叫び」読了
過去と今とが次第に曖昧になって混じり合って、過去の人物の想いなのか勝手な妄想なのか。— Sonya🦔🍓 (@rengyo) January 2, 2026
畠山丑雄さん「叫び」読了。様々な読み方のできる作品だと思う。僕は国家や天皇、そして歴史にまで父性を見、父性に狂わされたフギの子としての「叫び」を感じた。と同時に笑いや性も盛り込まれており、複層的に楽しんで読める。面白かった! pic.twitter.com/wO01w56sKD
— 大原鉄平🚲『八月のセノーテ』発売中 (@teppeioharabcb) December 27, 2025
まとめ:「叫び」は大阪万博をモチーフとした幻想が入り混じった小説だった
いかがでしたか?「叫び」の特徴を以下にまとめました。
・第174回芥川賞候補作(受賞予想は無し)
・二つの万博の時代をクロスオーバーさせて、現実と幻想が入り混じった書き方が秀逸
・二項対立の対比のさせ方も素晴らしい
以上です。まだチェックしていない方は、ぜひ読んでみてください!
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