今回は『生殖記』のあらすじや感想を紹介します。タイトルの意味、語り手の謎(誰目線の話?)、ラストシーンのネタバレ考察(解説)、映画化やドラマ化の可能性などについても言及します。ネタバレ部分は隠しているので、ぜひ安心して最後まで読んでみてください。
【2025年本屋大賞候補作】朝井リョウの小説『生殖記』とは
書名 | 生殖記 |
作者 | 朝井リョウ |
出版社 | 小学館 |
発売日 | 2024年10月2日 |
ページ数 | 290ページ |
朝井リョウさんはこれまで多くのヒット作を発表してきた作家です。『桐島、部活やめるってよ』『何者』『正欲』などは映画化もされ、話題となりました。さらに、本作『生殖記』は2025年本屋大賞の候補作に選出されています。
『生殖記』は、家電メーカーに務める尚成というオス個体に宿る◯◯目線で語られる物語です。語り手が特徴的なほか、多様性に独自の視点で切り込んだ問題作として話題を集めています。
※『生殖記』は以下に当てはまる人におすすめ!
・多様性について考えを深めたい人
・独自の世界観がありつつ、読みやすい作品に挑戦したい人
・2025年本屋大賞の候補となった話題作をチェックしたい人
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3分で分かる『生殖記』のあらすじ【※ネタバレなし※】
家電メーカーの総務部総務課に勤務している達家尚成は、休日の日曜に同僚の柳大輔と家電量販店に来ていた。体組成計を買うために訪れてはみたものの、尚成には希望するものがなく、どこか気の抜けた態度だ。この二つのオスの個体は真逆の性格である。
これは尚成という名のオスの個体に宿った◯◯目線の物語だ。尚成はある幼児期の経験から、今のような性格に流れ着いた。そんな尚成にはこれからどんな未来が待っているのだろうか……。
『生殖記』のネタバレ解説&考察まとめ
ここからは『生殖記』の魅力を深掘りするために、タイトルの意味、作品の魅力、ラストシーンのネタバレ考察などを行います。
タイトル「生殖記」の意味とは
「生殖記」は語り手が特徴的な作品です。これまでどんな文学作品でも出てこなかった◯◯目線で、物語は進んでいきます。出版社としても作者としてもその正体はネタバレ厳禁となっているため、ここで明かすのは避けましょう。
ただ、その正体はわりと序盤で明らかになります。最初の数ページを読めばよいので、臆せずぜひ手に取ってみてください。また、この語り手の語り口調はかなり軽妙で、ユーモラスな雰囲気も感じられるので、ハードルは低くすらすらと読み進めることができるでしょう。
『生殖記』のラストシーンをネタバレ考察(解説)
『生殖記』のラストシーンについて考察(解説)した内容を載せます。ネタバレとなるので、作品を最後まで読んだ人だけチェックするようにしてください。
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【ラストまでのおおまかなあらすじ】
尚成は同性愛者(同性愛個体)だが、周囲には女性が好きなふりをして、流されるままに生きてきた。自分にはっきりとした意志はなく、発信することもほとんどない。
ただ、終盤で会社の後輩・多和田颯が実は同性愛者だと明かし、同性愛を認めるためのNPOを立ち上げることを告げられる。そこで自身のスタンスを揺るがされそうになる尚成だが、結局最後まで主体性を見出すことはなかった。そこには彼独自の幸福の感じ方があったからだ。
気づいたらかなりの時間が過ぎてしまっていた、という感覚をひたすら繋いでいくことが、今の尚成にとっては幸福そのものなのです。
引用:『生殖記』本文より
さらに、語り手(=生殖器における生殖本能)がこれだけ話せている現状は、実は自身の存在が必要なくなっているのが影響しているのではないかと推測するのだった。
【考察】
種の拡大、成長、発展ばかりが叫ばれる現代において、多様性の在り方を主張する作者・朝井リョウさんの言葉が本作には集約されていました。前回も本屋大賞候補作となった『正欲』にも見られたように、多様性をどう扱うかが、大きなテーマとなっているようです。
『生殖記』は映画化・ドラマ化困難?語り手の特徴をどう描くか?
これまで多くの朝井リョウ作品が映画化されているように、『生殖記』の実写化を求める声もあるでしょう。しかし、独自の世界観を展開する本作を映像化するのはなかなか容易ではありません。
ただし、だからこそ映像化しがいのある作品だともいえます。映画監督の腕の見せどころではないでしょうか。さらに、最近は人以外のものが登場する世界を描く前例ともいえる映画「はたらく細胞」がヒットしたので、本作の映画化も踏み込みやすいのかもしれません。
『生殖記』の感想やレビューまとめ
ここからはSNSやレビューサイトに寄せられた『生殖記』の感想をまとめました。
『生殖記/朝井リョウ』
あらすじ📕
30代会社員の達家尚成は
幼少期の出来事がきっかけで
人や社会と深く関わらない生活をしています。そんな尚成の人生を
〝○○〟という語り手が語っていく。感想📕(ちょっとネタバレ含みます⇩)
朝井リョウさんの作品は… pic.twitter.com/VHptlyJe8a
— K.@読書垢 (@kou0_kou1_kou2) February 24, 2025
生殖記/朝井リョウ #読了
なんとな~く世に浸透してきている多様性やマイノリティについて、本質を深く深く追いかける方だと改めて感じた。多様性を認める、みんな違ってみんないい、そんな表面上の言葉、朝井リョウさんには通じませんね。ヘビー。とても良かった。
#読書好きな人と繋がりたい pic.twitter.com/haz3KpPcJe
— きなこ (@osayunomoune) February 11, 2025
あー面白かった!
語り手のテンションがちょうどよく軽い読み味で、私にとっては〝しっくり〟くる小説でした。同性愛者でなくともマイノリティ意識があったり、社会を成長させたい意欲がない人には共感できる部分があるかもしれません
引用:Amazon
生殖記/朝井リョウ #読了
正欲が衝撃だったので、入院中も手が出せないでいた本
が、とてもユーモラスで読みやすく、しかも心にストンときて満足ヒトのオス個体である尚成の毎日が描かれるのだが、語り手を〇〇にしたのが凄い
たとえ少数派でなくても周囲に「しっくり」馴染めないことはあるよね pic.twitter.com/1LsKLJCgYU— コトラ (@aruku_arukuyo) February 26, 2025
まとめ:『生殖記』は語り手が特徴的な問題作だった
いかがでしたか?『生殖記』の特徴を以下にまとめました。
・2025年本屋大賞候補作
・語り手が特徴的でネタバレ厳禁な問題作
・朝井リョウさんが追求してきた、多様性への捉え方が際立つ作品
以上です。まだチェックしていない方は、ぜひ読んでみてください!
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