3分で分かる「バリ山行」のあらすじ&ネタバレ解説・感想まとめ【第171回芥川賞受賞作】

今回は「バリ山行」のあらすじや感想を紹介。タイトルの意味や、ラストシーンのネタバレ考察、作品の魅力などをまとめました。第171回芥川賞受賞作。ぜひ最後まで読んでみてください。

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【第171回芥川賞受賞作】松永K三蔵の小説「バリ山行」とは

書名 バリ山行
作者 松永K三蔵
出版社 講談社
発売日 2024年7月29日
ページ数 160ページ
初出 『群像』2024年3月号

「バリ山行」は、転職先の会社で人付き合いを重視する波多が、職場の同僚で自分なりの流儀を突き通す妻鹿さんと、山行に同行する物語。道なき道を進む迫力や臨場感と、人員整理が行われる厳しい職場との対比が素晴らしい小説となっています。

作者の松永K三蔵さんは、茨城県出身の小説家。2021年に「カメオ」が第64回群像新人文学賞優秀作となり、デビューしました。今作で、第171回芥川賞を受賞し、単行本化も決定しました。

※「バリ山行」は以下に当てはまる人におすすめ!
・危険な登山に興味がある人
・職場で思うようにいかず悩んでいる人
・第171回芥川賞を受賞した話題作をチェックしたい人

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3分で分かる「バリ山行」のあらすじ【※ネタバレなし※】

私(波多)は、かつて職場付き合いを大事にしてこなかったために失職した経緯があり、転職先の会社では登山部に入部することにした。

そんな登山部の山行に妻鹿さんが参加すると聞いて驚く。妻鹿さんは周囲とやや隔たりがある人物だったが、実は毎週末のように山へ行っているらしい。それも普通の登山とは違い、道なき道を進む「バリ山行」を好んでいるとのことだった。

私が務めている会社は建物の外装修繕が主な業務で、上司の命令で大手の下請けに専念するようになった。だが、一方で妻鹿さんはこれまで通り、以前から付き合いのある顧客とのやりとりを続けていた。

やがて訪れる、会社の大きな転機。そして、私は妻鹿さんの山行に同行することを決意し……。

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「バリ山行」のネタバレ解説&考察まとめ

ここからは「バリ山行」の魅力を深掘りするために、タイトルの意味、作品の魅力、ラストシーンのネタバレ考察などを行います。

タイトル「バリ山行」の意味とは?

タイトルの「バリ山行」の読み方は「ばりさんこう」です。このフレーズについて、説明が描かれた文章が作品内に出てくるので、引用してみましょう。

バリエーションルート。バリルート。そんな言い方もするという。通常の登山道でない道を行く。破線ルートと呼ばれる熟練者向きの難易度の高いルートや廃道。そういう道やそこを行くことを指すという。
引用:「バリ山行」本文より

職場の同僚の妻鹿さんがはまっており、やがて主人公の私(波多)も同行することになります。またこの山行自体が、職場での厳しさと対比するように描かれているのにもぜひ着目してみてください。

【作品の魅力】山行の臨場感が凄まじい描写に圧倒される!

本作の大きな魅力が、バリ山行をしているシーンでの迫力や臨場感です。道なき道を行くときのスリルがこちらにも伝わってきて、読書しながらまるで自分自身も藪の中を突き進んでいるような感覚に陥ります。

バリ山行の途中、妻鹿さんは波多にこう言うのです。

「な、本物だろ? 波多くん」
本物? 私がその意味を掴みきれずにいると、「この怖さは本物だろ? 本物の危機だよ」と続けて言った。その声に異様な響きを感じて見上げると、逆光の中で黒い影になった妻鹿さんが薄く笑みを浮かべているようだった。
引用:「バリ山行」本文より

山に取りつかれているような妻鹿さんの言動にも注目です。純文学としては珍しい山岳小説だともいえ、その臨場感をぜひ感じながら、読み進めていってみてください。

【ラストシーンのネタバレ考察】私や妻鹿さんの運命とは?

ここではラストシーンについて考察してみましょう。ネタバレとなるので、作品を最後まで読んだ人だけ以下チェックしてみてください。

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【ラストシーンのあらすじ】
バリ山行の途中で、波多は本音を妻鹿さんにぶつけます

・危険すぎて、山で死んだら意味ないこと
・山だけじゃなく、もっと家族や、職場での現実に向き合ったがいいこと

といったことを勢いに任せて言い放ちます。

その後、体調不良に襲われ、しばらく会社を休んでいた波多ですが、その間に妻鹿さんが社長と直談判した末に退職していたと知ります。アプリの記録も消され、連絡する手段がありませんでしたが、山へ入ったときに妻鹿さんが今でも山行している跡を見つける場面で物語は終わります。

【考察】
ラストの場面では、最後まで自分の道を突き進んでいき、今でも自分のやりたいことを続ける妻鹿さんの姿に、波多は理解を示しているように思えます。

妻鹿さんと同行した山行では、本音をぶつけるなどして、ぎくしゃくした終わり方となっていましたが、そんな中でも妻鹿さんの行動に感じるものがあったのでしょう。実際に結末では波多自体も山行の楽しさを見出しているようです。

こういった行為を現実逃避とみるか、それとも現実を知るために必要な行為だとみるか。どう捉えるかは読者次第だと思います。いずれにせよ、山行のリアルな描写と、現実の厳しさをうまく対比させているところに、本作の大きな魅力があるでしょう。

「バリ山行」を読んでみた感想

ここからは「バリ山行」を読んでみた感想を書いていきます。また読者のレビューも合わせてまとめました。

【筆者の感想】作家本人の好きを活かした迫力ある描写

作者の松永K三蔵さんのSNSを見ていると、実際にご本人も山行が好きみたいですね。以下のような投稿を見つけました。

やはり好きなことを題材にしているだけあって、山行のシーンは迫力がありました。いや、まだ行くんですか!と突っ込みたくなるくらい、とことんこだわりがあり、そんな妻鹿さんの人物像は突き抜けていて痛快でしたね。

また、山にある藪の中と、会社における煩雑な状況がうまく対比されていました。さらに、山中で主人公の波多が現実を見ろと妻鹿さんに声を上げるシーンは痛切で、とても印象に残りました。

【みんなの感想や評価】本物の危機や心情の変化がおもしろい

続いて読者がSNSやレビューサイトに投稿した感想や口コミを紹介します。

まとめ:「バリ山行」は自然と現実の厳しさをリンクさせた純文学山岳小説だった

いかがでしたか?「バリ山行」の特徴を以下にまとめました。

・第171回芥川賞受賞作
・危険な登山をするシーンの迫力が凄まじい!
・会社での厳しい現実と山行をうまくリンクさせている

以上です。まだチェックしていない方は、ぜひ読んでみてください!

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