今回は「トラジェクトリー」のあらすじや感想を紹介。グレゴリー・ケズナジャットさんによる芥川賞候補作である本作のタイトルの意味や、ラストシーンのネタバレ考察(解説)をふまえ、芥川賞受賞予想も合わせて行います。ぜひ最後まで読んでみてください。
【第173回芥川賞候補作】グレゴリー・ケズナジャットの小説「トラジェクトリー」とは
| 書名 | トラジェクトリー |
| 作者 | グレゴリー・ケズナジャット |
| 出版社 | 文藝春秋 |
| 発売日 | 2025年7月17日 |
| ページ数 | 176ページ |
| 初出 | 『文學界』2025年6月号 |
作者のグレゴリー・ケズナジャットさんは、アメリカ出身の作家です。2021年に『鴨川ランナー』で第2回京都文学賞を受賞して、デビューを果たしました。「開墾地」が第168回芥川賞の候補となり、本作「トラジェクトリー」で自身2度目の候補となっています。
「トラジェクトリー」は、アメリカで育ち、英語教員として日本へ来たブランドンが主人公。自己成長しない日々を送る中、高齢の生徒・カワムラとアポロ十一号が月面へ行くまでの記録を辿るなどしていく中で、考え方に変化が訪れるという物語です。
※「トラジェクトリー」は以下に当てはまる人におすすめ!
・グローバル化とは何かということについて深く考えたい人
・自分の人生に何かしらの意義を見つけたい人
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3分で分かる「トラジェクトリー」のあらすじ【※ネタバレなし※】
テネシー州で育ち、日本へ逃げるようにしてやってきたブランドン。英語教員を務めるが、自己成長しない日々にやや疑問を抱きつつも、毎日を過ごしている。時間潰しが目的の暇な社会人の相手をしなければいけないケースも多く、周囲の教員にも似たような雰囲気が漂っていて、意欲を無くす者、他の国へ行こうとする者などが出てきていた。
ブランドンが受け持つ生徒のカワムラも、同じく目標を持たずにレッスンを受けに来ている者の一人だ。それでいてカワムラは仕切りたがりな性格であり、自分の興味がある分野でないとなかなか取りかかろうとしない。
そんなカワムラが興味を示したのが、アポロ十一号についてだった。月面に着陸したアポロ十一号が地球を離れて、月へ行くまでの四日間、三人の飛行士たちはどのように過ごしていったのか。記録を読み上げていくなかで、ブランドンの心がだんだんと変容していき……。
「トラジェクトリー」の主な登場人物まとめ
「トラジェクトリー」に登場する主な人物をまとめました。
【ブリッジ英会話学校名古屋東校の教員やスタッフ】
・ブランドン:本作の主人公。テネシー州で育ち、日本へ来て英語教員3年目を迎えていた
・レベッカ:教員。就職したての頃は明るかったが、今は気だるげな態度をとる
・スチュワート:教員。次はタイで働きたいと思っている
・ユカ:受付のスタッフ。ロンドンで一時期暮らしていた
・ダイスケ・クボ:学校のマネージャー。ブランドンを採用し、時折鼓舞する
【ブリッジ英会話学校名古屋東校の生徒】
・カワムラ:高齢で仕切りたがりの生徒。アポロ十一号の記録に興味を示す
・アライ:勤勉な態度の生徒
・カジワラ:勤勉な態度の女性生徒
【その他の人物】
・トレヴァー:ブランドンの高校の同級生。軍の道へ進んだ
・トーマス:レベッカの前任者
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「トラジェクトリー」のネタバレ解説&考察まとめ
ここからは「トラジェクトリー」の魅力を深掘りするために、タイトルの意味、作品の魅力、ラストシーンのネタバレ考察などを行います。
タイトル「トラジェクトリー」の意味とは?
タイトルの「トラジェクトリー」は、英語だと「trajectory」と書き、和訳すると「物体や現象の軌跡や経路」となります。直接的にはこの「トラジェクトリー」とは、物語中に何度も出てくるアポロ十一号が地球から月まで至った経路のことを指し示しているといえるでしょう。
また、主人公のブランドンが、アメリカから日本へ渡ってきて、今の教員としてうだつが上がらない日々を送っていることを指しているとも考えられます。後半でブランドンの高校の同級生であるトレヴァーも登場しますが、彼の半生を振り返ることで、ブランドンの考えにも変化が訪れます。
そういった、自分がこれまで辿ってきた人生についても、「トラジェクトリー」というタイトルが表現している部分があるのではないでしょうか。
ラストシーンのネタバレ考察(解説)
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【結末の簡単なあらすじ】
カワムラとは連絡がとれなくなってしまい、日々が経ったのちに、ブランドンも教員を辞めていた。大阪へ引っ越して十年が経ち、Qアノンの議事堂襲撃が起き、世界を感染症の脅威が襲った。ブランドンにとって、アメリカの存在はより遠くに感じるようになった。
ブランドンは久々にカワムラの日記を振り返ってみた。すると、その日記の中で今までとは感じてこなかった一面が見えてきた。
【考察(解説)】
自己のアイデンティティーと、グローバル化という言葉に踊らされた規模も実態も実は分かりにくい社会との対比が鮮やかだった。
中盤で出てきた自分のものを隠す排水溝の一画にあるスペース。月面へと向かう宇宙船の中。どちらも窮屈に見える空間だが、一際温かい空間であるという共通点が感じられる。
主人公のブランドンはカワムラとの対話をはじめ、日々を過ごしていく中で、日本語を学びたいという意欲が芽生え、自分だけのスペースをどこかに見つけられたのかもしれない。そう考えると、ラストシーンは一際明るく感じられるのではないだろうか。
「トラジェクトリー」を読んでみた感想
ここからは「トラジェクトリー」を読んでみた感想を書いていきます。また読者のレビューも合わせてまとめました。
【筆者の感想】出てくる人物がどれも個性的で考え方の違いもおもしろい
短い作品ですが、出てくる人物のキャラがどれも際立っていて、印象に残りました。カワムラがいなくなったことで、カジワラさんという女性の生徒のことが分かっていく場面も良かったです。
また、マネージャーのダイスケのドライな考え方も嫌いじゃないなと思いました。企業のトップに立つ人は、社会を冷静に分析することや、自分なりの信念を持っていることが大事だと思いますし、そんな特徴がダイスケにはよく表れていました。
外国人が堂々と英語を話して、通じてないの?みたいな雰囲気で日本人に外圧をかけるのが良いという考え方を示した時には、思わず笑いつつ、どこか納得してしまうこともありました。
さて、本作は芥川賞候補作に選出されているので、受賞予想も合わせてしておきましょう。本作は考察(解説)にも書いたような魅力が感じられて、個人的にはとても好きな作品でした。
ただ、ラストの評価が分かれると思っていて、ラストでカワムラの日記を読み返すときに気付いた部分をしっかり書くべきではないか、まだ本作は続きがあるのではないか、といった点で評価しない選考委員も出てくるかもしれません。
受賞してほしいですが、果たしてどうでしょうか。
受賞予想:◯(対抗)
(全候補作を読み終えた段階でもう一度予想してみます)
【みんなの感想や評価】自分の居場所について考えさせられる
続いて、読者がSNSやレビューサイトに投稿した感想や評価を紹介します。
人生は、目的や目標を問われてばかりで、目標がなかったり、前へ進んでいなければ、停滞しているように感じられる。けれど、アポロ11号が着陸前に月を何周も周回したように、人生はずっと軌跡を描き続けている。目的地はない。だだ点と点を結んで延びるトラジェクトリー。 pic.twitter.com/4e7TM4vvbC
— とも@読書垢 (@tomobook_panda) July 7, 2025
グレゴリー・ケズナジャット「トラジェクトリー」#読了
名古屋の英語学習塾に勤めるブランドンはカワムラという生徒が個人レッスンの際に持ってくるアポロ11号の記録を読む。異国に慣れた生活において彼は自らがやるべきことを見つける遠征中にいることを意識するが…。虚しい世界に変わる軌道の先に。 pic.twitter.com/H9K3aTaAHW— つかっちゃん@純文学ユーチューバー(同人誌「つかっちゃんの現代純文学1000冊」通販中) (@book_tsukatsu) July 2, 2025
カワムラさんの日記、船内を人間性で満たしたアポロ11号の船員たち、居場所を求めて辿り着いた場所もいずれはなくなっていくこと、人生の歩みを表したタイトル”トラジェクトリー”。読後、胸に迫る切なさがあった。#トラジェクトリー#読了 pic.twitter.com/UR7SY3DvU0
— 𝘤𝘩𝘪𝘪 𓏲𓎨 (@msm__38) July 1, 2025
トラジェクトリー/グレゴリー・ケズナジャット #読了
芥川賞候補作。
居場所ができるとか根付くとか、そういうものはどうしたら得られる感覚なのか。
言葉がわかって周りとの関係性ができるとか家族ができるとかなのか。やりがいがあって積み重ねが実感できる仕事があるとかなのか。 pic.twitter.com/Zs48dWcARY— さや@本読み (@passepartouuuut) June 28, 2025
まとめ:「トラジェクトリー」はグローバル化と自己の対比が鮮やかな小説だった
いかがでしたか?「トラジェクトリー」の特徴を以下にまとめました。
・第173回芥川賞候補作(受賞予想は )
・実態が分かりづらいグローバル化と自己のアイデンティティーの対比が鮮やか
・登場人物が個性的で考え方の違いがおもしろい
・自分の居場所やこれまでの半生について考えさせられる
以上です。まだチェックしていない方は、ぜひ読んでみてください!
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