3分で分かる「残月記」のあらすじ&ネタバレ考察・感想まとめ【本屋大賞候補作】

月に関する三つの幻想的な物語を収録した小説「残月記」。2022年本屋大賞の候補作にも選ばれた本作のあらすじを紹介します。また作品の魅力について一部ネタバレを含みつつ考察。筆者の感想や読者の評価も合わせてまとめました。

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小田雅久仁の小説「残月記」とは

書名 残月記
作者 小田雅久仁
出版社 双葉社
発売日 2021年11月18日
ページ数 384ページ

2013年に刊行された前作「本にだって雄と雌があります」が第3回Twitter文学賞国内編の第1位を獲得するなど、本好きから高く評価されていた小田雅久仁さん。9年の期間を経て発表された待望の小説が「残月記」です。

「月」をモチーフした幻想的な物語を三作収録。中でも表題作の「残月記」では、「月昂」という架空の感染症を扱っていますが、コロナ禍の現在を彷彿とさせる趣があり、タイムリーな小説になっています。

幻想小説の枠に囚われず、純文学的な味わいがあったり、歴史小説、恋愛小説のような側面がある作品。2022年の本屋大賞の候補作にも選ばれ、今注目を集めています。

※「残月記」は以下に当てはまる人におすすめ!
・「月」がテーマの物語に興味がある人
・幻想的な雰囲気の小説が好きな人
・コロナ禍を連想させる物語を読みたい人
・本屋大賞の候補作となった話題の本をチェックしたい人

3分で分かる「残月記」のあらすじ

「残月記」は「月」をテーマにした三つの物語からなる小説です。それぞれの物語のあらすじを簡単にまとめました。表題作「残月記」だけ少し長めに紹介します。

そして月が振り返る

大学教授の大槻高史は妻、息子、娘と四人である日、ディナーに出かけた。トイレから戻ってくると、家族全員が月を見上げたまま静止しており、まるで時が止まったようだった。しばらくして皆が動き出したが、妻は不審げに高史に問いかけてきた。「どなたですか?」と。

高史は同姓同名の人物と入れ替わってしまったようだ。今夜見た、不思議な月の仕業なのか?そして高史がとった、驚くべき行動とは…。

月景石

幼い頃、澄香は桂子叔母さんから不思議な石をもらった。「月の風景の石」だと教えてもらったこの石は「月景石」と名付けられた。澄香は叔母さんからこの石を枕の下に置いて眠ると、月に行けると聞いていた。

ただし澄香の場合はものすごく悪い夢を見るらしいとも言われていた。大人になった澄香は久々に月景石を見つけ、好奇心から枕の下に置いて寝てみた。それはもう一つの世界の始まりだった…。

残月記

世界で爆発的な広がりを見せた「月昂」という感染症は、月が欠ける時期に死ぬ確率が高い病気だ。一方で満月になると芸術的な感性が研ぎ澄まされたり、性欲が著しく高まったりする特徴があった。

月昂を発症した宇野冬芽は社会から隔離され、専用の療養所に収容された。武道が得意な冬芽は、当時独裁的な政治を主導していた下條が主宰するトーナメントへの出場を薦められる。

トーナメントは月昂者同士が戦いあう闇の催しであり、勝者には生き延びるための薬と性的サービスをしてくれる女性が与えられた。無類の強さを誇る冬芽はそこで同じ月昂者の女性・ルカと会う。そして徐々に二人の間に愛が芽生えていく。

隔離社会で独裁政治をする下條、月昂者を操り政治利用を企む者たちに翻弄される冬芽はどのようにして生き延びるのか?トーナメントでしか会えないルカとの恋の行方は?

「残月記」のネタバレ解説&考察まとめ

ここからは「残月記」の内容をより深掘りしていきます。

読者の想像を膨らませてくれる幻想小説

「月」をモチーフにした幻想譚は昔から多くありますね。奄美大島の「月と太陽の伝説」の話しかり、月には様々な言い伝えや神話が受け継がれています。遠くにあるのに毎晩顔を出して近くに感じることもできる「月」はそれだけ不思議な存在で、見るものの想像をかきたててくれるのでしょう。

奄美大島の「月と太陽の伝説」から生まれたドラマ「天国と地獄」を詳しくまとめた記事もチェックしてみる

ただし、「残月記」に出てくる「月」をモチーフにした話は、幻想小説ですがどこかリアル。設定そのものは現実離れしているのですが、地の文が純文学的で現実に実際にあり得そうな描写で展開されます。今、月を振り返りそうだったら本当に小説世界のような出来事が起きそうな気持ちにさせられます。

「そして月が振り返る」では、同姓同名の他人に家族を乗っ取られるような形になりますが、そこから主人公のとる行動にかなりリアリティーがあります。少しネタバレとなるので、以下に書きます。

ネタバレしていいからさらに詳しい考察を知りたい方はこちらをクリック!

一旦、状況を飲み込んだフリをした主人公は、自分の本来の家に忍び込みます。他人だと思われて訝しがられている主人公は、屋根裏部屋から自分の家族の様子を盗み見るのです。自分の偽者と妻がセックスしているのを覗くシーンや、妻と向き合って自分の存在を証明しようとするシーンなどは迫力がありました。

「そして月が振り返る」と「月景石」にかんしては、物語が始まりそうなところで敢えて終わらせている印象があります。その続きは読者の想像に委ねているようです。自分だけのオリジナルのストーリーを思い浮かべてみるのも良いですね。

コロナ禍の今、読んでほしい作品世界

「残月記」で描かれる感染症の「月昂」が広がる世界は、今のコロナ禍を暗示しているようです。作者の小田雅久仁は新型コロナウイルスが流行り出す前から、この着想を持って作品を書き始めたということですが、奇しくもタイムリーな作品となっていきました。

新型コロナウイルス陽性になり、ホテルや病院などで隔離された経験がある方はどこか他人事と思えずに作品を読んだのではないでしょうか。「残月記」ほど社会から隔離されませんが、同じよう「疎外感」を抱いた人は多いはず。

もし会社や周囲に迷惑がかかると思って自分が発症したのを隠したいと思ったことがある方なら、なおさら共感しやすいでしょう。「残月記」の冒頭で主人公は自分が発症したと自覚しているにもかかわらず、潜伏して過ごそうとします。

この記事を書いている2022年3月時点では、コロナは収束に向かっている感がありますが、まだ油断できない状況です。これからの身の振り方を考える上でも「残月記」を読む意味は大きいでしょう。

ただの幻想小説ではなく、歴史小説や恋愛小説としても楽しめる

「残月記」は幻想小説の部類で括られますが、実際は歴史小説や恋愛小説としても読める作品だと言えます。

【歴史小説】
→人類が疫病に対して隔離してきた時代背景や、独裁政治の歴史をよく調べた上で書かれている

【恋愛小説】
→冬芽とルカの純愛が儚い。トーナメントでしか会えないという限られた状況が、二人の絆を強くしている

【アクション小説】
→トーナメントで戦うシーンが鮮烈に描かれている。時に命を落とすほどの激しい闘いに引き込まれる

幻想小説はそこまで読まないし苦手という方でも楽しめる内容です。様々なジャンルをクロスオーバーしている自由な作風で、幻想小説の新境地を開拓していると言えます。

「残月記」の感想、評価レビューまとめ

ここからは筆者が「残月記」を読んだ感想や、読者がSNSやレビューサイトに投稿している評価をまとめました。

【筆者の感想】自分の人生の選択を振り返ってみた

「そして月が振り返る」は自分がどこかで選択を間違えていたらこんな人生もあったのかも…と、過去の重大な局面を振り返るきっかけになりました。あの時受験に失敗していたら。あの時違う部活動を選んでいたら。あの時妻と出会う場所へ行かなければ…。一つ一つの選択があったから今があると思うと、今の人生に感謝したくなりました。

「月景石」は、夢か現実か分からないような不思議な気分にさせられました。作者のインタビュー記事によると、敢えてそのようにしているとのこと。夢か現実か、二つの世界を結ぶ「石」の存在が強く印象に残りました。

表題作の「残月記」はタイトルから分かるように「山月記」からも着想を得ていると思われる小説。当初予想していた展開をいい意味で裏切られ、最後まで引き込まれました。中盤はアクションシーンが中心ですが、そこからラストにかけてルカと交わっていく場面の方が個人的には好みでした。

【読者の評価レビュー】想像できない異世界もの

続いて読者がTwitterにあげた投稿や、Amazonレビューサイトにあげた評価をまとめました。概ね高評価でした。

終盤、話は予想外の方向に舵(かじ)を切り、感動的なラストへと突き進んでいきます。暴風雨の後に、凄いほど美しい景色が広がっていた‥‥みたいな読み心地。
引用:Amazon

冒頭の10数ページまでは、なかなかクオリティーの高い純文学だなと思いながら読み進めていたところ、20ページ目で突然世界が切り替わるスイッチが入り、ぞぞっと鳥肌が立ちました。
引用:Amazon

読み始めは、純文学的エンターテイメント。あるときから、がらりとファンタジーに変わる。で、そのままものすごく濃厚なファンタジーとなって、最後までめりめりと月の世界へと引きずり込まれ、読み終えてみると、ずしんと胸の奥に重く熱いものがのこされる。
引用:Amazon

まとめ:「残月記」は現代版「山月記」だった!

いかがでしたか?「残月記」の特徴を以下にまとめました。

・月をモチーフにした幻想小説
・純文学、歴史小説、恋愛小説、アクション小説としての味わいもある
・コロナ禍の現在、読んでほしい小説

以上です。月を見るたびに想像を膨らませてくれる小説です。この作品を読めば、月がまた違った見え方になるかもしれません。

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