3分で分かる『骨灰』のあらすじ&ネタバレ解説・感想まとめ【第169回直木賞候補作】

第169回直木賞候補作に選ばれた冲方丁さんの『骨灰』(読み方は「こっぱい」)。今回は本書のあらすじと感想を紹介したのちに、タイトルの意味、作品の魅力、ラストシーンのネタバレ考察などを行います。圧巻のホラー小説、ぜひチェックしてみてください。

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【第169回直木賞候補作】冲方丁の小説『骨灰』とは

書名 骨灰
作者 冲方丁
出版社 KADOKAWA
発売日 2022年12月9日
ページ数 400ページ

『骨灰』の主人公は、大手デベロッパー広報担当の松永光弘。地下の建設現場を調査する際に、ひどく乾燥し焼けた灰の臭いが漂う祭祀場を発見し、巨大な穴の近くで鎖につながれた男を逃がしたことで、その後災難に巻き込まれるという都市型ホラー小説です。

作者の冲方丁(うぶかたとう)さんは、これまでに本屋大賞を受賞した『天地明察』や、映画化された『十二人の死にたい子どもたち』などを発表。この二作品は直木賞候補作にも選出されており、今回紹介する『骨灰』で三度目の直木賞候補入りとなりました。

※『骨灰』は以下に当てはまる人におすすめ!
・『天地明察』などこれまでの冲方丁作品が好きだった人
・新感覚のホラー小説を読みたい人
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3分で分かる『骨灰』のあらすじ【※ネタバレなし※】

松永光弘は、渋谷駅の再開発事業などを担う会社で、投資家向けの広報を行う部署に所属している。ある日、上司の竹中から「東棟」と呼ばれる高層ビルの建設現場を調査するよう支持され、現場の地下深くへ調査に向かっていた。

調査の目的は、SNSに書かれた工事現場の噂の真偽を確かめるためだ。東棟の地下で「施工ミス連発」「有害なものが出てる」「火が出た」「人骨が出た」などと不穏な情報が発信されていた。地下に入った光弘は、異様な雰囲気を感じる。

じめじめしているはずの地下にあるまじき、目も喉も痛むほど乾いた空気に、うんざりさせられた。
(中略)
ー骨を焼くような臭い。
理屈抜きで不快になる空気から、一分でいいから逃れたかった。
引用:『骨灰』本文より

SNSに投稿された画像を探しに、調査を進めていく中で、光弘は亡くなった父の姿を思い出す。工務店の経営者だった父。棺の中で正装して永眠する父。光弘はなぜそんな父のことを思い浮かべたか分からず、そのまま先を急ぐ。

やがて光弘は、地下の最深部にある、祭祀場のような場所にたどり着く。火葬場を連想させる、人が骨まで灰になる臭い。そして、何かを焼いた灰で壁一面に記された「鎭」の文字。さらに巨大な穴の中に、鎖でつながれた男がいるのを発見する。

男の鎖を解き、地上に戻った光弘。しかしそれをきっかけとして、光弘に数々の不運が襲う。行方をくらました男はどこに行ったのか?身重の妻と小さな娘を持つ光弘の家庭はどうなるのか……。

『骨灰』のネタバレ解説&考察まとめ

ここからは『骨灰』の魅力を深掘りするために、タイトルの意味、作品の魅力、ラストシーンのネタバレ考察などを行います。

タイトル「骨灰」(読み方は「こっぱい」)の意味とは

タイトルの「骨灰」は表紙に「KOPPAI」`と記されているように、「こっぱい」と読みます。作中では「骨灰」について以下のように説明されている箇所が出てきます。

光弘が耳にした「骨灰」という言葉。それは、度重なる火災や戦火で、多くの遺体が広がったかつての東京という場所を象徴するものだという。
引用:直木賞候補作家インタビュー「東京の土の中に潜む禍いの真相」――『骨灰』(冲方丁) 第169回直木賞候補作『骨灰』 | インタビュー・対談 – 本の話

このタイトルは、本作の持つ世界観をよく象徴していて、昔から建設には人柱という生贄が必要だったという話や、ことあるごとに灰がまとわりついてくるシーンなどにも関係しています。

中盤からのまさかの展開に目が離せない!

先のあらすじを紹介した章では、主人公の光弘が建設現場の地下を探索する冒頭シーンを中心に紹介しました。そこで男を逃がしたことで、中盤から展開が大きく変わっていきます。多少のネタバレとなるので、少しだけならネタバレしてもいいという人だけ以下をクリックしてみてください。

ネタバレしていいから中盤からの展開を知りたい方はこちらをクリック!

中盤からは光弘が、何かに取り憑かれたようになります。亡くなったはずの父が登場し、光弘はそんな父の亡霊と普通に会話を交わすのです。物語はそんな光弘の視点で語られるので、信頼できない語り手のような形で、何が真実で何が虚構か分かりにくくなります。

そんな中でも、地下へ連れて行ったホームレスの男がいきなり別人となったり、穴の近くで何人もの人影が積み重なった光景がぼんやり見えたりと、状況が読者には想像できるようになっています。そのあたりの描写がとてもうまいなと感心しました。

ラストシーンのネタバレ考察|主人公は祟りから逃れられるのか?

中盤の大きな展開を経て、物語はラストシーンへ突入します。ここからは結末場面について考察してみましょう。

ネタバレしていいからラストシーンの考察を知りたい方はこちらをクリック!

さらわれた娘を探し求め、地下へとたどり着いた光弘。そこには玉井工務店の荒木奏太がいました。荒木に危害を加えられるものの、なんとか娘とともに脱出した光弘。最終的に荒木と原義一(冒頭の穴の中にいた男)が埋められ、人柱となるのでした。

[考察]
骨灰が化けていた偽物の父を信じ込み、そんな父に誤った方向へ誘導されていた光弘。父の亡霊が「頑張れ」と何度もささやくシーンが不気味でした。しかし、正気に戻った光弘が荒木と対峙する場面で、絶体絶命のピンチに陥った際にもまた「頑張れ」の声が聞こえてきます。

最後は本物の父が「生きろ」と言ってくれたのでしょう。父という存在が悪者で終わらず、最終的に味方となってくれたのは良いラストでした。

『骨灰』を読んでみた感想

ここからは『骨灰』を読んでみた感想を書いていきます。この記事を書いているのは、まだ直木賞の受賞作発表前なので、受賞予想も合わせて行います。また、読者のレビューもまとめました。

【筆者の感想】見えないところで恐怖がのしかかってくる

作者・冲方丁さんのインタビューで、本作はコロナ禍で多くの人が不安になっている中、不安への耐性をつける意義もあると述べていました。

不安への免疫としてのホラーという意識が強くなりました。不安に耐えるために、物語の中であえて読者に恐怖を体験してもらおう
引用:直木賞候補作家インタビュー「東京の土の中に潜む禍いの真相」――『骨灰』(冲方丁) 第169回直木賞候補作『骨灰』 | インタビュー・対談 – 本の話

コロナも目に見えぬ恐ろしさが人々を不安にさせましたが、本作も同様に見えないところでのしかかってくる恐怖がたまりませんでした。電子レンジが高温になり灰だらけになるシーンはやたらリアルで、家の中に入り込んでくる恐ろしさもウイルスが侵入してくる怖さと共通しています。

そんな『骨灰』は、第169回直木賞候補作に選ばれていますが、受賞の可能性は高いと思います。ほかの候補作と比べると、『木挽町のあだ討ち』が飛びぬけていいのでこちらの受賞は間違いなさそうで、おそらく二作受賞があれば『骨灰』も選ばれるのではないでしょうか。

それほど日常に恐怖が入り込んでくる書き方がすばらしく、都市開発の影の部分をうまく抽出していると思います。難点があるとすれば終盤のアクションシーンでしょうか。それまでは目に見えない恐怖をうまく描いていたのに、ここだけ直接的な暴力が出てきて、それが少し陳腐だと捉える選考委員もいるかもしれません。

ただ全体的に完成度は高く、受賞の可能性は十分あるでしょう。『木挽町のあだ討ち』を本命としたいので、『骨灰』は直木賞受賞予想の対抗としておきます。

【みんなの感想や評価】実際にありそうで怖い

続いてSNSやレビューサイトに読者が投稿した感想をいくつか紹介します。

主人公がどんどん巻き込まれていくのが怖い。消えない足跡が怖い。
とにかく怖いのに読むのがやめられない。
渋谷に行くたび、足下に何が埋まってるのか考えちゃいます。
引用:Amazon

まとめ:『骨灰』は見えない恐怖に支配される都市型ホラー小説だった

いかがでしたか?『骨灰』の特徴を以下にまとめました。

・第169回直木賞候補作
・建設現場の祭祀場をモチーフにした、実在しそうな世界観が怖い
・見えない恐怖が忍び込んでくる描き方がうまい

以上です。まだチェックしていない方は、ぜひ読んでみてください!

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