3分で分かる「同志少女よ、敵を撃て」のあらすじ&ネタバレ解説・感想まとめ【本屋大賞受賞作】

2022年本屋大賞を受賞した、小説「同志少女よ、敵を撃て」(著:逢坂冬馬)。旧ソ連に実在した女性狙撃手を基にして描かれた物語です。今回はこの小説のあらすじを紹介した後に、作品の魅力を一部ネタバレありで解説。最後に筆者の感想や文学界での評価をまとめています。

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逢坂冬馬の小説「同志少女よ、敵を撃て」とは

書名 同志少女よ、敵を撃て
作者 逢坂冬馬
出版社 早川書房
発売日 2021年11月17日 (Kindle版)
ページ数 493ページ (Kindle版)

第11回アガサ・クリスティー賞を受賞し、第166回直木賞の候補そして<strong>2022年本屋大賞を受賞</strong>と、話題の小説「同志少女よ、敵を撃て」。これがデビュー作とは思えないほど完成された作品で、高い評価を受けています。

ロシア(旧ソ連)に実在したリュドミラ・パブリチェンコの生涯を基にして、書き上げた戦争小説。独ソ戦の緊迫した戦場の描き方や、女性ならではの戦場での立ち振る舞い、そしてラストにおける怒涛の展開が魅力的です。

本作が本屋大賞候補入りした後に、奇遇にもロシアがウクライナ侵攻した時と重なり、現代を生きる上でも重要な意味を持った小説だと言えます。

※「同志少女よ、敵を撃て」は以下に当てはまる人におすすめ!
・ロシアのウクライナ侵攻に強い関心があり、文学的側面からこの件を考えたい人
・女性が戦場で活躍する物語を読みたい人
・本屋大賞受賞&直木賞候補になった話題の作品を読みたい人

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3分で分かる「同志少女よ、敵を撃て」のあらすじ【※ネタバレなし※】

ソ連のイワノフスカヤ村で猟師の母のもとに生まれた少女・セラフィマ。ある日、村をドイツ軍が襲い、村民を皆殺しにする。母はイェーガーという狙撃手に撃たれて死に、自分も死を覚悟していたところ、赤軍の女性兵士であるイリーナに命を助けられる

イリーナはセラフィマに「戦いたいか、死にたいか」を問うた後に、母親の遺体を燃やした。悲しみを超えて強烈な怒りを覚えたセラフィマは、母を殺したイェーガーを殺し、さらにイリーナも殺すと心に決める。そうしてセラフィマは女性狙撃手となる道を選んだ。

イリーナのもと、狙撃訓練学校で実務教育を受けたセラフィマは同僚とともに女性狙撃手として成長していく。初めて人を撃った衝撃とともに心境の変化を経て、自分が戦う意味を見つめ直す。過激化していく独ソ戦の戦場で、セラフィマはある者に銃を向けた…。

「同志少女よ、敵を撃て」のネタバレ解説・考察まとめ

ここからは「同志少女よ、敵を撃て」の魅力を知ってもらうために、より作品の内容について深掘りしていきます。ラストの場面など一部ネタバレとなる箇所については隠していますので、作品を読んだ方だけクリックするようにしてください。

「同志少女よ、敵を撃て」は実話を基にした、女性狙撃手が主人公の戦争小説

「同志少女よ、敵を撃て」に出てくる女性狙撃手の話は実話をもとにしています。リュドミラ・パブリチェンコというスナイパーが実在し、彼女は第二次世界大戦においてなんと300人以上のナチス兵を倒したという逸話があります。

同じく女性狙撃手にスポットをあてた本として、『戦争は女の顔をしていない』(著:スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ)があります。この作品は2015年にノーベル文学賞を受賞し、コミック化されて話題になりました。

「同志少女よ、敵を撃て」作者の逢坂冬馬さんは、『戦争は女の顔をしていない』やリュドミラ・パブリチェンコの回顧録を読み込み、よく取材して本作を書き上げたと語っています。こういった背景があるからこそ、リアルで重みのある戦争小説が完成したと言えるでしょう。

タイトル「同志少女よ、敵を撃て」の意味|「敵」とは誰のこと?

タイトル「同志少女よ、敵を撃て」に出てくる、「敵」とは誰なのか?この問いこそが本作の命題となっています。先のあらすじにて紹介した通り、物語冒頭ではその敵とは以下のように示されます。

【物語冒頭におけるセラフィマにとっての「敵」とは】
・故郷の村を襲ったドイツ軍
・母を撃った兵士・イェーガー
・母の遺体を燃やした女性兵士・イリーナ

ただしセラフィマは女性狙撃手としての腕を磨くために、一旦はイリーナのもとで訓練を受けます。そしていつかイリーナに復讐することを誓って、スナイパーとして成長していくのです。

しかしやがて戦場へと赴き、物語が進むと彼女の中で「敵」の対象に変化が訪れていきます。ここからはネタバレとなり、作品の肝心な部分に触れるので、物語を最後まで読んだ方だけ以下の内容をチェックしてください。

ネタバレしていいから本当の「敵」が誰か知りたい方はこちらをクリック!

やがてセラフィマはイリーナが母の遺体を燃やした本当の理由を知ります。伝染病対策のためであり、イリーナに悪意は無かったのです。そこでセラフィマにとっての敵とは、ドイツ軍及び母を撃ったイェーガーが対象となります。

しかしここで新たな「敵」が生まれます。それはセラフィマの幼なじみであり、同じソ連軍として戦うことになったミハイルです。ミハイルは本来味方であるはずなのに、なぜ「敵」となってしまったのか?そこには彼のある裏切り行為が関係していました。

ミハイルはドイツ女性に乱暴を働いていたのです。女性のために戦うセラフィマにとって、それは許されざる行為でした(しかもミハイルは女性への乱暴など誓ってしないと約束していたにもかかわらず)。ミハイルが女性を暴行する現場を目撃したセラフィマは、彼の頭を撃つのでした。

こうして単純に見ると最終的にはミハイルが「敵」になったと結論づけることができるでしょう。しかしなぜミハイルがそうした存在へと変化したのかと考えると、もっと大きなスケール感で考える必要があるのかもしれません。

すると戦争という構図自体がもたらす抗いようのない大きな「敵」の存在が見えてきます。果たして本当の「敵」とは何なのか?これを考えること自体が、物語を読む上での大きな意義だと考えられます。

逢坂冬馬さんがインタビューで語った「同志少女よ、敵を撃て」を書いた意義とは?

2022年始めにロシアがウクライナ侵攻をし、「同志少女よ、敵を撃て」はなんともタイムリーな小説となりました。もちろん作者の逢坂冬馬さんはこういったことが起きるのを予感していた訳ではないでしょうが。逢坂さんはこの小説を書いたきっかけについてインタビューで以下のように答えていました。

どうしようもない現実の中で、戦わざるを得なかった女性たち。彼女たちをまた別の角度から立体的に照らし出すことができれば、きっと現代日本にも問いかけるべき小説になり得ると思いました
引用:本の話

必ずしも戦争だけがテーマの小説ではなく、現代日本を生きる上でも重要な意味を持つ小説だと作者は訴えています。

セラフィマの視点で物語を進め、読者の方に彼女と一緒に“生き抜こう”としてもらうことで、人間がいかに環境によって規定されていくのかを感じてもらえればと思いました
引用:本の話

今を生きる環境をよく見定めて、格好とした信念で生きる姿勢を作者は主張しているように思えます。世界がどのような方向に行くにしても、自分の信じたものを貫いて生きていきたいですね。

「同志少女よ、敵を撃て」を読んでみた感想

ここからは本記事の筆者が「同志少女よ、敵を撃て」を読んだ上での感想を綴ります。またアガサ・クリスティー賞や直木賞の選考会で出た評価をまとめ、さらに読者の方々の感想も紹介していきます。

ロシアのウクライナ侵攻と重なり、改めて戦争について考えさせられる

個人的に戦争小説はやや苦手なジャンルですが、最後までどんどん読み進められました。戦場での緊迫感が伝わり、特に終盤で主人公が敵に捕まっていかにその状況を打開するかという場面には引き込まれました。

女性狙撃手が主人公の小説で、女性の活躍が見られるのも現代的なテーマに即していると思いました。小説では戦場が舞台でしたが、現代においても男性社会の中でどう行動していくかのヒントになるのではないでしょうか。

コロナ禍で世界が混乱しやっと落ち着いてきたかと思った束の間、ロシアのウクライナ侵攻で世界が揺れています。民間人が犠牲になり、各国がロシアへの制裁を表明。今後、どうなっていくか見通しがつきません。

「同志少女よ、敵を撃て」で描かれる戦場の緊迫感は、あくまでフィクションの中での話にして欲しいところ。そういう意味では多くの方がこの本を手に取ることで、改めて戦争の凄惨さが伝わればよいなと感じます。

各文学賞における「同志少女よ、敵を撃て」の評価とは

「同志少女よ、敵を撃て」はアガサ・クリスティー賞選考会で全員が満点をつけ、文句なしの受賞となりました。各選考委員の選評で重要な部分をいくつか抜粋して紹介します。

復讐心に始まった物語は、隊員同士のシスターフッドも描きつつ壮大な展開を見せる。胸アツ。
引用:Amazon

シスターフッドとは女性同士のバディもので描かれる絆のようなもの。今作は特に主人公セラフィマと訓練学校の師であるイリーナとの交流やお互いの心境の変化が丁寧に描かれていました。

アクションの緊度、迫力、構成のうまさは只事ではない。
とても新人の作品とは思えない完成度に感服。──北上次郎(書評家)
引用:Amazon

新人離れした作品ですね。

なお第166回直木賞ですが、選考会では最終的に決選投票までいったので、本当にあと一歩のところでの落選でした。今回は非常にレベルの高い回と言われていたので、もし他の回で候補入りしていたら受賞の可能性があったでしょう。

直木賞選考会では「リアリティーに欠ける」、「海外の戦争をなぜ扱う必要があるのか」といった指摘がありました。ただほとんどの選考委員が新人離れした作者の力量を認めており、特に選考委員の三浦しをんさんは本作を強く推していました。

読者の「同志少女よ、敵を撃て」感想まとめ

最後に読者がSNSや読書サイトにあげた感想をいくつかまとめました。

今まさに読まれるべき小説です。

今回の記事では紹介できなかった女性狙撃手たちも、丁寧に描かれています。

たしかにアニメ化がイメージしやすい作品でしたね。

ライトノベルのように、気軽に作品へ感情移入できる。且つ、シナリオ・描写のディティールがそれをはるかに凌駕しているため、読むだけで第二次世界大戦時のソ連の空気を肺いっぱいに吸い込める。
引用:読書メーター

重苦しい雰囲気で硬い感じかと思いきや、平易な文章で書いてあるため、とても読みやすいです。

まとめ:「同志少女よ、敵を撃て」は今、読んでほしい戦争小説だった

いかがでしたか?「同志少女よ、敵を撃て」の特徴を以下にまとめました。

・第166回直木賞候補&2022年本屋大賞受賞作
・実在した女性狙撃手の話を基にした戦争小説
・新人離れした、高い完成度の作品
・今、このご時世に読んでほしい小説

以上です。戦争について改めて考えさせられる小説です。ぜひ手にとってみてください。

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