周囲で話題になっているけど、まだ見てなかった「俺の家の話」。能やプロレスって馴染みが薄いし、本当におもしろいの?そう思っている方向けに、今回は「俺の家の話」がおもしろいと思える理由を9つ紹介。視聴者の感想やドラマ通の意見を交えてお送りします。
能やプロレスをテーマにしたホームドラマ「俺の家の話」とは
「俺の家の話」は2021年1月〜3月に放送されたTBSドラマ。以下の特徴があります。
・主演を務める長瀬智也の引退作品
・「能」や「プロレス」がテーマのホームドラマ
・クドカンワールド炸裂の感動×爆笑の世界観
主演を務める長瀬智也の引退作品
長瀬智也さんはこれまで「池袋ウエストゲートパーク」、「タイガー&ドラゴン」、「うぬぼれ刑事」など、宮藤官九郎脚本のドラマに数多く登場してきました。どれも長瀬さんのワイルドな魅力が活かされ、名作だと話題に。そんな長瀬さんはもともと2021年3月末でジャニーズ事務所退所を発表しており、今作が事実上の引退作となりました。
「能」や「プロレス」がテーマのホームドラマ
「俺の家の話」でクドカンがテーマとして選んだのは、「能」と「プロレス」。長瀬さんが演じる主人公の観山寿一は、能で人間国宝となった観山寿三郎の長男。「一度も褒めてくれなかった」と厳しい指導を嫌がり、一度プロレスの道へと進んだ寿一。親の介護のために実家へと帰り、能楽師として人生を歩み直す物語になっています。
クドカンワールド炸裂の感動×爆笑の世界観
親の介護という現代らしい難しいテーマに挑みながら、クドカンらしい新しい家族の形がドラマで表現されています。また随所に小ネタを挟んだ構成で、1分に一度は笑わされます。感動と爆笑が両方押し寄せるクドカンワールドが、今作でも見事に炸裂しています。
「俺の家の話」がおもしろい!ドラマ通がハマる理由9つ
「俺の家の話」がなぜおもしろいのか、ドラマ通の筆者がハマった理由を9つ紹介します。ドラマファンの感想ツイートを交えながら解説していきますね。
世間に馴染みが薄い能文化の魅力を面白く伝えてくれるから
能文化に興味がある方は正直少ないでしょう。しかし今作では演目の意味を解説したり、能のおもしろさを語りながら進みます。特に工夫されているのは、ドラマ内の物語と、能の演目を掛け合わせながら話が進んでいく点です。
例えば第四話で放送された「小袖曽我」。兄弟が舞う話ですが、寿一はかつて子どもの時に寿限無と一緒に舞っていたことを思い出します。この回で実は寿限無と寿一が血の繋がった兄弟だと明かされるのですが、その内容と見事にリンクしています。
メインテーマとなる題材と、物語をリンクさせてドラマを作るのはクドカンの十八番。落語をテーマにしたドラマ「タイガー&ドラゴン」でも、噺とストーリーをリンクさせていました。まさかこんなところで繋がってくるとは!と、常に感心させられます。
飽きずに俺の家の話見てるんですが、高砂の踊りの意味と元嫁の再婚話がかかってんじゃん、ってな事に気付いたら何か凄いのよ今回
長瀬智也の退所祝いで気合い入れた、とかじゃなくタイガー&ドラゴンのブラッシュアップなんじゃないかなと思ってます#俺の家の話— ビリー・ザ・K (@EYagMF7QnRGgQ41) February 2, 2021
俺の家の話。今日は「小袖曽我」と「道成寺」。観山家の親子・兄弟・男女の関係が複雑に絡まっていてスゴイことになってきた!
— カジル (@kajiru_mof) February 12, 2021
介護という重いテーマをPOPに昇華させ、新たな家族像を呈示しているから
寿一は寿三郎の介護を引き受けますが、なかなか一筋縄にはいきません。高齢化社会の現在、介護は避けては通れない社会的なテーマ。クドカンはこの命題に真っ向から対峙しています。
第一話の、親子だからこそ妙なプライドが働いて、介護に真正面から取り組めないこと。第三話の、「介護にはまさかが無い」という発言。など介護する上で出てくる問題や、乗り越えるための格言が多く出てきます。
普通は暗そうになるところを観山家では、明るく乗り越えようとします。たまに弱音を吐き出してみたり、「介護はイベント」だと楽しもうとしてみたり。寿三郎は認知症でもだんだんと苦しむことになりますが、周囲の家族がどうケアしていくかも、ドラマの見所です。
「25年ぶりに実家に帰った長男が家族と過ごした一年」の内容があまりにも濃すぎて、深すぎて…「俺の家の話」とは言いつつも介護や家族間の仲に関してはどの家にも通じそうな場面や状況が沢山あって、他人事には思えなかった。「俺の家の話」だけどどこの家にでもありえる話なんだと思う #俺の家の話
— そ (@__sososo10) March 26, 2021
「俺の家の話」で親が危篤から持ち直した瞬間に立ち会った子どもたちが、「泣きながらも頭の片隅で、介護から解放されるってホッとしてる自分がいるのが許せなかった」と本音を語って、「時々言っちゃいけないことも吐き出して介護頑張っていこう」と励まし合うシーンを描いたの、本当にすごいと思う
— 工藤 瑞穂 / soar編集長 (@mimimizuho) March 26, 2021
長瀬智也の引退作品として素晴らしい出来栄えだから
もともと長瀬智也さんは2021年3月末をもってジャニーズ事務所を退所すると発表していました。「俺の家の話」はちょうど2021年1〜3月での放送だったため、結果的に今作が俳優・長瀬智也としての引退作品となりました。
長瀬智也さんの魅力はやはり男らしさ!今回の主人公・寿一も、親父の介護を引き受けるところに男らしさを感じます。第五話で家族旅行が厳しくなってきた時に、寿一はなんとしてでも行こうと家族に問いかけます。感動のシーンです。
またさらに、寿一はただ強いだけでなく何でも受け入れる優しさも感じられます。自身のプロレス引退試合で後輩が出しゃばった時には、全く否定しません。家族が間違った方向に行きそうな時も、いったん理解しようと努めるのです。
また最終回を見終えると、クドカンが長瀬智也さんのためにはなむけのようなメッセージを用意してくれているかのように感じます。ラストの場面では引退してもいつでも戻っておいでという、温かな意味合いが込められているようです。
ドラマ『俺の家の話』で、俳優・長瀬智也の素晴らしさを改めて噛み締めちゃうよなあ。これで芸能界引退なんてホントもったいない。まあ彼なら裏方としてもスゴイ存在になるとは思うけど。
— 片岡K (@kataoka_k) March 26, 2021
「俺の家の話」、ブリザード寿の引退試合に始まり、スーパー世阿弥マシーンの引退試合で終わる。長州力の「引退してもまた戻ってくればいいんだから。」の台詞は間違いなく長瀬智也自身に向けられたメッセージ。「必ず戻ってきて」とは言わない。「戻りたくなったらまたやればいい」。
— BATI (バティ) (@BATI_NIGHTCAP) March 19, 2021
西田敏行など、各出演者の迫真の演技に引き込まれるから
各出演者の演技が素晴らしいのですが、特に秀逸なのが西田敏行さん。風呂場のシーンでは裸の姿を披露するなど、全てを出し切った演技を見せます。人間国宝としての気品がありながら、一人の老いた男としての人間像をよく表現しています。
だんだんと認知症を患っていく様がとてもリアルです。特に認知症チェックのために野菜の名前を言うテストの場面は、だんだんとうろたえた表情になる西田敏行さんの演技に目が離せません!
本当の家族ではないのに能の修行を寡黙に続けていたが、出自を知り自我を初めて出す寿限無役の桐谷健太さんも、心情の切り替わりが見事。寿一ときょうだい役の江口のりこさん、永山絢斗さんも個性的な役柄で、いい味出しています。
#俺の家の話 第8話は能「隅田川」が出てきましたね
隅田川の、死んだ息子の名は梅若丸。寿三郎が隅田川の謡を忘れ、梅干しをつかめなくなったのは、暗に梅若丸をつかめないこと、お能をつかんでいられなくなったこと…を示唆しているようでした。
少しずつぼけていく西田さんの演技がすごかったです…— スペースオフィス (@ofispace) March 18, 2021
俺の家の話
もしかしたら、凄いドラマを見れているのかもしれないという気持ちになるほど感動します。
介護、認知症、親権など重いテーマなのに絶妙なユーモアと迫力の演技で毎回目が離せません!🤣🤣🤣— 斎木ゆう@ネオキャリア新卒採用コンサルタント (@LSYT11) March 5, 2021
クドカン×長瀬の過去作品のネタが随所に散りばめられているから
今回を機に長瀬智也さんが芸能界から離れるため、過去のクドカン脚本×長瀬智也出演作品の内容が小ネタとして散りばめらています。
・池袋西口公園でダンスする大州の元へ向かうシーン
→「池袋ウエストゲートパーク」でキングが現れるシーン
・親に反抗的になった寿限無がデスメタルにハマるシーン
→「TOO YOUNG TO DIE」で扱うテーマ「デスメタル」
など、他にも重なる場面がいくつか出てきます。
また出演者も過去の作品に登場した人が多く登場します。阿部サダヲ、佐藤隆太、矢沢心、塚本高史、ムロツヨシなど豪華キャストが続々とゲスト出演するのです。どんな役どころで出てくるかは、ドラマを見る上での楽しみにしておきましょう。
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