3分で分かる『家族』のあらすじ&ネタバレ解説・感想まとめ【第174回直木賞候補作】

今回は『家族』(著:葉真中顕)のあらすじや感想などを紹介します。タイトルの意味や、実話「尼崎連続変死事件」をモデルとしている点の言及、ラストシーンのネタバレ解説(考察)、読者の口コミレビューなどもまとめました。

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【第174回直木賞候補作】葉真中顕の小説『家族』とは

書名 家族
作者 葉真中顕
出版社 文藝春秋
発売日 2025年10月24日
ページ数 320ページ

作者の葉真中顕さんは、児童文学作家としてデビューした異色の経歴を持つミステリー作家です。「ロスト・ケア」で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、2019年には『凍てつく太陽』で第21回大藪春彦賞を受賞しました。

『家族』は、「尼崎連続変死事件」をモデルとしたサスペンス小説です。事件に巻き込まれた者の視点を中心に、疑似家族を作って周囲をマインドコントロールして「躾」と何人もの死者を出した事件の真相に迫っていきます。

※『家族』は以下に当てはまる人におすすめ!
・「尼崎連続変死事件」に関心があった人
・読書で背筋が凍るような恐ろしい体験をしたい人
・第174回直木賞の候補となった話題作をチェックしたい人

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3分で分かる『家族』のあらすじ【※ネタバレなし※】

裸の女性が交番に駆け込んだことで表面化した、ある事件。以前は「民事不介入」とされ扱われなかった事件は、実は十三人もの死者を出した凶悪事件だった。

事件の首謀者は、八王子で暮らす夜戸瑠璃子「ピンクババア」と称され周囲の住人から特異な目で見られていた高齢女性だったが、まさかそんな凶悪犯罪をしているとは思われていなかった。

そんな瑠璃子に人生を大きく狂わせられた一人の人間が、朝倉宗太だ。パチスロで借金を抱えていた宗太は、ダーヤマこと長峰柊太に助けてもらう。やがて2人の前に瑠璃子が現れて、宗太は八王子にあるマンションの一室で生活するようになるのだ。

自分たちの周囲の人間を巻き込み、「家族」と称していた瑠璃子。自分たちに背いた者や使い物にならない者は躾として暴力を振るわされていた。

なぜ瑠璃子の周りでそれほどの死者が出たのか。疑似家族の恐ろしい結びつきや、弱い立場にある者の心理描写などを丁寧に描いていく……。

『家族』の主な登場人物まとめ

『家族』には様々な登場人物が出てくるため、読み進めていく中でやや混乱するかもしれません。

主な登場人物については、各家族の家系図のような形式で、本作の最後に掲載されているので、そちらをチェックするとよいでしょう。見てもそれほどネタバレとはならないため、ご安心を。

『家族』のネタバレ解説&考察まとめ

ここからは『家族』の魅力を深掘りするために、タイトルの意味、作品の魅力、ラストシーンのネタバレ考察などを行います。

タイトル「家族」の意味とは?

本作を読んでいない人からすると、「家族」というタイトルからは、「いろいろあったけど、家族で仲良くなって苦難を乗り越えていったね」というハッピーエンドを伴う小説だとイメージする人も多いのではないでしょうか。

しかし、本作は真逆と言ってもいいほどの、暗くて残忍な世界観の小説です。家族は「本物の家族」ではなく、首謀者・瑠璃子の周囲に集まった「疑似家族」を指しています。彼らがどのようにして家族の結びつきを強くし、逆にそれ以外の者がどうやって排斥されるのか。

そのあたりが本作の大きな読みどころの一つです。

『家族』は実話をもとにしている!モデルは「尼崎連続変死事件」

『家族』は実話をもとにしており、モデルは2011年に起きた「尼崎連続変死事件」だと言われています。当時は連日のようにワイドショーで取り上げられ、本事件を扱ったノンフィクション本も登場しました。

本作は小説という形で、当時の事件の犯人目線ではなく、事件に巻き込まれた周囲の人物目線での物語となっています。赤の他人がどのようにして、偽の家族の絆を強くしていってしまうのかという点に注目です。

『家族』のラストシーンをネタバレ考察(解説)

ここでは『家族』のラストシーンについて考察(解説)した内容を記します。ネタバレとなるので、最後まで作品を読んだ人だけチェックしてみてください。

ネタバレしていいからラストシーンの考察(解説)を読みたい方はこちらをクリック!

【ラストシーンまでの簡単なあらすじ】
最後は事件が表面化するに至った経緯が明らかになり、終わります。交番に逃げ込んだ美乃から事件が明るみにでるのですが、その直前の美乃が逃げ出そうとするシーンです。

美乃から宗太は、澄香の幻の姿を明かされます。澄香が亡くなる前に、宗太が二人で逃避行した際の場面の続きが仄めかされるのです。そこで宗太は泣いて、反省し出します。宗太から逃げるように促され、美乃は生きるために必死に逃げ出したのでした。

【考察】
本作の終わり方について、作家の芦沢央が作者の葉真中顕さんとの対談のなかでこう評しています。

小説のラストを、時系列上の最後のシーンにするのではなく、生への肯定感が際立つシーンに据えたのが意外だし、いいなと思いました。
引用:【対談】作家同士でしかできない、小説の話 芦沢央×葉真中顕|WEB別冊文藝春秋

全体的に苦しいシーンが多い本作のなかで、最後にほのかな救いが感じられる点が魅力となっていますね。

『家族』を読んでみた感想

ここからは『家族』を読んでみた感想を書いていきます。また読者のレビューも合わせてまとめました。

【筆者の感想】被害者に焦点をあてているのが凄い

実際にあった事件をモチーフとしていますが、多くの人が気になるであろう犯人ではなく、被害者側に焦点をあてて、どうやってマインドコントロールされていったかという話を軸に書いている点に感心しました。

反面教師として教訓にしようと思うこともできますが、実際に同じような状況に陥った時に自分も正気でいられるだろうかと不安にさせられる点も凄いです。また、民事不介入であり警察が関与していなかった点や、単なる名物おばさんとしか認知されていなかったという社会状況も書かれていて、事件への洞察力が鋭いなと感じました。

本作は第174回直木賞の候補作となっているので、受賞予想も併せて行っていきましょう。結論からいうと、かなり水準が高く、受賞作が出なかった前回のラインナップのなかにあっても頭一つ抜けているので、受賞する可能性は大いにあると思います。

時系列をばらばらにしながら、事件の全体像をあぶり出していく手法も巧みですし、評価すべきポイントが多い作品です。まだ全候補作を読み終えていないので確定はできませんが、受賞作として申し分ない作品ではないでしょうか。

受賞予想:◎(本命)
(全候補作を読み終えた段階でもう一度予想してみます)

【みんなの感想や評価】強烈で読み応えがある

続いて読者がSNSやレビューサイトに投稿した感想や口コミをいくつか紹介します。

人間そのものの恐ろしさを作品から受け取りました。支配構造が固定化すると、人は自らの保身のために家族に暴力を振るうことすら受け入れてしまう。被害者が加害者へと変わる過程が丁寧に描かれています。
引用:Amazon

まとめ:『家族』は疑似家族をマインドコントロールさせられる小説だった

いかがでしたか?『家族』の特徴を以下にまとめました。

・第174回直木賞候補作(受賞予想はー:なし)
・「尼崎連続変死事件」をモデルとしている
・疑似家族をマインドコントロールする様が恐ろしい

以上です。まだチェックしていない方は、ぜひ読んでみてください!

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