今回は小説『熟柿』(著:佐藤正午)について、あらすじや感想を紹介します。そのうえで、タイトルの読み方や意味、登場人物の紹介、ラストシーンのネタバレ考察(解説)、読者の口コミレビューなどもまとめました。
【2026年本屋大賞候補作】佐藤正午の小説『熟柿』とは
| 書名 | 熟柿 |
| 作者 | 佐藤正午 |
| 出版社 | KADOKAWA |
| 発売日 | 2025年3月27日 |
| ページ数 | 368ページ |
作者の佐藤正午さんは、2017年に『月の満ち欠け』で直木賞を受賞するなど、これまで多くの文学賞を受賞してきた作家。『月の満ち欠け』や『鳩の撃退法』などは映画化されるなど、人気実写作品の原作の書き手としても知られています。
佐藤正午『熟柿』(KADOKAWA)の新聞広告に「本の雑誌が選ぶ2025年度上半期ベスト10 第1位」の文字が!みなさんぜひ、このすごい小説を読んでみてください! pic.twitter.com/rZHdpaoJbv
— 本の雑誌 (@Hon_no_Zasshi) August 1, 2025
『熟柿』は、轢き逃げ事件を起こし、服役中に子どもを産んだ女性・かおりが主人公。子どもを思いながらも離れて暮らすかおりの、日々の葛藤を描いています。第20回「中央公論文芸賞」受賞作および「本の雑誌が選ぶ2025年度上半期 ベスト10」1位獲得作品です。
※『熟柿』は以下に当てはまる人におすすめ!
・人生を踏み外してしまったという気持ちに共感できる人
・子どもを思う親の切実な気持ちを知りたい人
・2026年本屋大賞の候補となった話題作をチェックしたい人
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3分で分かる『熟柿』のあらすじ【※ネタバレなし※】
親戚の葬儀からの帰り、かおりは運転中に友人からの悩みの電話を受けている際に、老婆を轢いてしまう。助手席にいる警察官の夫は、酔いつぶれて眠ってしまっているようだ。かおりはそのままその場を立ち去ってしまうが、後に老婆が亡くなり、かおりは逮捕されてしまう。
服役中に産んだ息子・拓は、元夫が引き取り面倒を見ている。元夫から糾弾され、家族との距離ができたかおりは、出所後も別々に暮らしていたが、どうしても会いたくなってしまい、拓がいる幼稚園へ侵入する。しかし、不審者扱いされ、連行されてしまった。
かおりはその後も離れて生活するも、時折息子と会いたい気持ちが募っていく。罪を犯した母と子が会うのは良くないのだろうか。不遇に耐えながら日々を送るかおりは、やがて過去の出来事のある秘密を知って……。
『熟柿』の主な登場人物まとめ
・わたし=田中かおり(旧姓・市木):本作の主人公。轢き逃げで逮捕され、服役中に子どもを産む
・田中拓:かおりの息子。かおりの服役中に産まれ、父のもとで育っていく
・田中かおりの元夫:警察官だったが、轢き逃げ事故の後に辞職する
・鶴子:かおりの古くからの友人。不倫相手がいる
・慶太:かおりの親戚。時折かおりと連絡をとる
・久住呂咲:田中拓と幼稚園の頃からの幼馴染
・久住呂百合:咲の母。かおりのことを気にかける
『熟柿』のネタバレ解説&考察まとめ
ここからは『熟柿』の魅力を深掘りしていきます。作者のインタビューなどを交えながら、タイトルの意味、作品の魅力、ラストシーンのネタバレ考察などを行います。
タイトル「熟柿」の読み方・意味とは?
タイトルの「熟柿」の読み方は「じゅくし」です。漢字そのままに熟した柿の実を表すのに加えて、好機が来るまで気長に待つという意味もあります。
本作は、罪を犯した主人公のかおりが、息子に会えるまでの時間をじっくりと待つ経過を描いています。本作のタイトルがぴったりくるような世界観です。
また、本作の初出は、文芸誌の『野性時代』ですが、初めて連載が掲載されたのは2016年のこと。それから年に一度のペースで続きが書かれていき、単行本化までは実に十年近くの月日を要しました。その点もタイトルに表れているようで、作者自身がインタビューでこう語っています。
小説の内容としても、書いている側の気持ちも、原稿を待っている側も同時に表している。読めるかどうか不安なタイトルにするつもりはなかったけど、これ以外にあり得なかった
引用:佐藤正午さん 長編小説「熟柿」刊行 8年かけ味わい増した物語 : 読売新聞
『熟柿』の魅力:息子と会えない重苦しい日々の中のかおりの心情をたどる
かおりは、轢き逃げを犯した贖罪の気持ちから、息子と会わずに日々を過ごしていきます。作品冒頭では、轢き逃げに至る当日の行動が描かれており、なぜ事故を起こして動転してしまったのかが分かります。決して他人事とは思えないような書き方に恐怖を覚える人もいるかもしれません。
また、出所後のかおりの生活が、物語の大半を締めますが、かなり重苦しい展開が待っています。そのなかで、なぜ息子と母は会ってはいけないのか、本当に会わずにいるのが正解なのかといった点を念頭に置きながら作品を読み進めると、より深い読み方ができるでしょう。
さらに、ラストにはある真実が判明します。物語の見え方が変わるような驚きの仕掛けですが、この点は深く入り込み過ぎると、ネタバレになるので、次の章で書いていきましょう。
『熟柿』のラストシーンをネタバレ考察(解説)
ここからは『熟柿』のラストシーンについて考察した内容を記します。ネタバレとなるので、作品を最後まで読んだ人だけ以下をクリックしてみてください。
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【ラストシーンまでの大まかなあらすじ】
事故から二十年近くが経ち、久々に夫と再会した。そこで、当時の夫は事故の際に寝ていた訳ではなく、実は意識があったのだと知る。元夫は自己保身のために行動していたのだと思い至る。
その後、久住呂母娘のアシストもあり、息子と会うことができたかおり。感動の対面というよりかはほろ苦いような出会い方であったが、最後には息子からの電話に出ると約束して別れた。また、かおりは周囲で自分を支えてくれている人間と堂々と向き合おうと決意した場面で、物語は幕を閉じた。
【考察】
超感動の対面というほど大げさではなく、ぎこちない距離のまま進展するくらいのトーンが、逆にリアリティーがあり、感動を誘いました。また、ラストの着地も温かいもので、息苦しい展開に一つの救いが書かれているようでした。
また、今後、かおりと拓の関係がどうなっていくか、また自分だけ言い逃れた元夫に何かしらの粛清はないのか、と続編も期待したくなった人もいるかもしれません。
『熟柿』は映画化・ドラマ化される?
これまで佐藤正午さんの著作は、『鳩の撃退法』や『月の満ち欠け』など映画化されている作品も多くあります。寡作の作家のわりに、実写化されている作品が多いので、本作の映画化にも期待したくなりますね。
執筆時点ではまだ映画化やドラマ化の情報はありませんが、今後もし実写化されたら誰が演じることになるのか、キャストを予想してみました。
・田中かおり:井上真央
・田中拓:子役→黒川想矢
・田中かおりの元夫:中島歩
・鶴子:桜井ユキ
・久住呂咲:大島美優
・久住呂百合:木南晴夏
いかがでしょうか。皆さんもぜひ予想してみてください。
『熟柿』の感想やレビューまとめ
ここからはSNSやレビューサイトに寄せられた『熟柿』の感想をまとめました。
『熟柿』 #読了
これ以上なく、感情を揺さぶられた。
極限まで装飾を削ぎ落とした文章は、主人公と読み手の私を限りなく近付けさせ、それによって、血が出るほどに胸を掻き乱された。
痛いほど切なくて、悲しくて、寂しくて…
それでも、機が熟したその先に見えた小さな光に薄く小さな息を吐いた。 pic.twitter.com/ecLORXjUrZ— 青空レモン@読書 (@lemon_cider_637) February 9, 2026
一人一人にそれぞれ違う人生がある。決して派手ではなくても、お金がなくても、周りからは不幸と思われる生き方であっても、愛する人がいればその人にとっては輝いた生き方なんだと思った。
引用:Amazon
熟柿 📖 佐藤正午
シンプルな装丁、柿色が美しい。恥ずかしながらタイトルが正しく読めなかった。読み進めて意味を知り、噛み締めた。罪を犯して、大きく変わってしまった人生。犯した罪は消えない。その中でも良い縁に恵まれ、垣間見える未来。幸せになって欲しいと願わずにはいられなかった。#読了 pic.twitter.com/MBAdpG0OOo
— かろ@読書📖 (@t8_book) February 8, 2026
佐藤正午『熟柿』#読了
どれだけ繊細ヤクザぶっても、
この皮膚は鈍感か、
もっと鈍感にしかなれないタイパもコスパも結果論で、
だから動きながら機を待つ、
長期戦でいくほかない pic.twitter.com/OsM0GXiron— ふっかー@読書垢 (@FUKKA_Revive) February 7, 2026
まとめ:『熟柿』は母が息子を思う気持ちに溢れた小説だった
いかがでしたか?『熟柿』の特徴を以下にまとめました。
・2026年本屋大賞候補作
・罪を犯した母が息子と会えずに過ごす葛藤の日々を描く
・ラストにはある真実も判明
以上です。まだチェックしていない方は、ぜひ読んでみてください!
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