3分で分かる『カフェーの帰り道』のあらすじ&ネタバレ解説・感想まとめ【第174回直木賞候補作】

今回は『カフェーの帰り道』(著:嶋津輝)のあらすじや感想を紹介。タイトルの意味や、作者のインタビューから読みとれる作品の主題。ラストシーンのネタバレ考察(解説)なども合わせて行います。ぜひ最後まで読んでみてください。

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【第174回直木賞候補作】嶋津輝の小説『カフェーの帰り道』とは

書名 カフェーの帰り道
作者 嶋津輝
出版社 東京創元社
発売日 2025年11月12日
ページ数 224ページ

作者の嶋津輝さんは、2016年に「姉といもうと」でオール讀物新人賞を受賞して作家デビュー。2023年に発表した『欅がけの二人』で第170回直木賞候補に選出され、本作『カフェーの帰り道』で二度目の直木賞候補となりました。

『カフェーの帰り道』は、上野の片隅にある「カフェー西行」を舞台に、そこで働く個性的な女給たちを巡る物語です。戦前から戦時中、そして戦後にかけて、社会情勢や戦争の影響を受けながらも懸命に生きる女性の姿を描いています。

※『カフェーの帰り道』は以下に当てはまる人におすすめ!
・100年前の東京を舞台にした物語を読みたい人
・女性が活躍する物語を読みたい人
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3分で分かる『カフェーの帰り道』のあらすじ【※ネタバレなし※】

上野の活気のない一角にある「カフェー西行」では、入口のドアに「女給募集 十九歳」の貼り紙がある。店主兼コックの菊田は、個性的な女給たちを受け入れており、様々な物語が巻き起こるのだ。

稲子は、夫が女給と浮気していると疑い、カフェー西行を訪れる。しかし、そこにいた女給が竹久夢二の絵に似ているきれいな女性で、惹かれた稲子はすっかり客となる。

また、古参の女給・美登里は小さい頃から嘘をついて人を驚かせるのが好きな性分だったが、新入りの女給が、19歳と偽り、さらに華族と自称したことで、気になってしまう。

小説修業をしていたが、なかなかうまくいかずに半ば諦めていたセイ。しかし、理髪師の客との出会いから、考えがだんだんと変わっていく。

物語は戦前から戦時中、戦後にかけて、「カフェー西行」、「喫茶西行」、「純喫茶西行」と名前を変えて営業を続ける店において、様々な人間模様を描いていく。

『カフェーの帰り道』の主な登場人物まとめ

『カフェーの帰り道』の主な登場人物についてまとめました。

・菊田:カフェー西行の店主兼コック。おおらかな性格で様々な女給を受け入れる
美登里:最も古株の女給。小さい頃から嘘つきだが、面倒見も良い
セイ:高等女学校出の女給。小説修業がうまくいってない
タイ子:濃い化粧が竹久夢二の絵に似ていると話題の女給
・園子:明らかに年上だが、19歳で華族と自称する新米の女給
・幾子:戦後に純喫茶西行で採用されたウェイトレス
・稲子:夫が女給と浮気をしていると疑い、カフェー西行を訪れる

『カフェーの帰り道』のネタバレ解説&考察まとめ

ここからは『カフェーの帰り道』の魅力を深掘りするために、タイトルの意味、作者のインタビューから読みとれる作品の魅力、ラストシーンのネタバレ考察などを行います。

タイトル「カフェーの帰り道」の意味とは?

タイトルの「カフェー」は、物語の主な舞台となっている「カフェー西行」を示しています。ここで働く個性的な女給たちを巡る物語です。

タイトル後半の「帰り道」とは、カフェーで働く女給たちの私生活での諸々について描かれているという捉え方ができるでしょう。

作者のインタビューから垣間見える作品の主題とは

作者の嶋津輝インタビューさんは、インタビューのなかで、本作を描くモチベーションについて以下のように語っています。

市井の、きらびやかではないところで生きる人を描きたい。女給をテーマにしたのは編集者の提案で、私は銀座などの大きいカフェーではなく、場末のさえない店で働く人たちに興味がわきました
引用:今が成長期 小説に身をささげる 2度目の直木賞候補作 『カフェーの帰り道』 <聞きたい。>嶋津輝さん(小説家) – 産経ニュース

一人ひとりの個性豊かな人間が、社会情勢や戦争の苦しさに翻弄されながらも逞しく生きる姿に、多くの人が感動を与えられるでしょう。

『カフェーの帰り道』のラストシーンをネタバレ考察!

『カフェーの帰り道』のラストシーンについて考察(解説)した内容を記します。ネタバレとなるので、最後まで読んだ人だけ以下をクリックしてチェックしてみてください。

ネタバレしていいからラストシーンの考察を知りたい方はこちらをクリック!

【ラストシーンまでの簡単なあらすじ】
『カフェーの帰り道』の最後に収録されている章は、「幾子のお土産」。戦後しばらくして店名は「純喫茶西行」となりました。美登里が菊田と結婚しており、セイも常連客として元気な姿を見せています。

幾子の母は、戦地で病死した息子のことをずっと悲しんでおり、なかなか立ち直れません。そんななか、幾子はたばこ屋を始めたタイコからたばこをお土産としてもらいます。母親にたばこを渡すと、息子がかつて吸っていたたばこだと懐かしみ、立ち直るきっかけを掴むのでした。

【考察】
最後はこれまで出てきた女給たちがそれぞれ成長した姿が描かれており、厳しい時代を乗り越えてきた強さが垣間見えます。場末のさえない店だからこそ、人々の距離が近く、絆も強いところが感じられました。

『カフェーの帰り道』を読んでみた感想

ここからは『カフェーの帰り道』を読んでみた感想を書いていきます。また読者のレビューも合わせてまとめました。

【筆者の感想】「出戻りセイ」に感動

カフェの女給たちを巡る話ですが、店名がうろ覚えで間違っているのをごまかしていたり、嘘をつく女給たちを採用したりと、良い意味でのゆるさがよかったです。この菊田という店主のおおらかな一面があったからこそ、戦前から戦後にかけてお店が生き延びることができたのかもしれません。

冒頭の章では、浮気を疑った女性がカフェに入ると、女給のことが気に入って客になってしまう点が意外性があって好きでした。また、「出戻りセイ」という短編で、理髪師の客とセイが交流を深め、セイが自信を身につけていく展開には胸を打たれました。

さて、本作は『第174回直木賞候補作』となっていますが、果たして受賞するのか予想してみましょう。以前直木賞候補となった『襷がけの二人』が非常に良く、選考会で最終投票にまでいったほど高水準だったのに比べると、今作はやや物足りないかもしれません。

ただ、前作と合わせ技で受賞の可能性も考えられます。そのあたりは他の候補作との兼ね合いにもなるでしょう。今のところは受賞の可能性はそれほど高くないと考えますが、全候補作を読み終えた段階で、また改めて予想してみます。

受賞予想:△(大穴)
(全候補作を読み終えた段階でもう一度予想してみます)

【みんなの感想や評価】優しい描写に安堵

続いて読者がSNSやレビューサイトに投稿した感想や口コミをいくつか紹介します。

タイ子に美登里(みどり)、セイ。揺れ動く歴史の中で、自分らしく、健気に生き抜いていく彼女たち女給のたくましさ、可愛らしさが胸に沁みて、ぐっと来ちゃいました。さらに、三人の人生が川の流れのように交錯する様子がまた魅力的に描かれていて、あちこちでほろりとしちゃいました。
引用:Amazon

まとめ:『カフェーの帰り道』は上野のカフェーで働く女給たちを巡る物語だった

いかがでしたか?『カフェーの帰り道』の特徴を以下にまとめました。

・第174回直木賞候補作(受賞予想は△:大穴)
・上野の片隅にある「カフェー西行」の女給たちを巡る物語
・社会情勢や戦争の影響を受けながらも強く生きる女性の姿に感動する

以上です。まだチェックしていない方は、ぜひ読んでみてください!

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