今回は「鳥の夢の場合」のあらすじや感想を紹介します。群像新人文学賞を受賞し、第173回芥川賞の候補作にも選出された、駒田隼也さんのデビュー作。タイトルの意味やラストシーンのネタバレ考察(解説)、芥川賞の受賞予想なども合わせてまとめました。
【第173回芥川賞候補作】 駒田隼也の小説「鳥の夢の場合」とは
書名 | 鳥の夢の場合 |
作者 | 駒田隼也 |
出版社 | 講談社 |
発売日 | 2025年7月16日(予定) |
ページ数 | 160ページ |
初出 | 『群像』2025年6月号 |
「鳥の夢の場合」は、2025年に発表された第68回群像新人文学賞の受賞作。選考委員のなかでは、特に町田康さんが強く推したようです。本作は第173回芥川賞の候補作にも選ばれました。
【第68回群像新人文学賞発表】最終選考(選考委員:朝吹真理子/島田雅彦/藤野可織/古川日出男/町田康各氏)の結果、当選作に綾木朱美さん「アザミ」、駒田隼也さん「鳥の夢の場合」が選ばれました。受賞の言葉、選評とあわせてぜひお読みください!#群像6月号 pic.twitter.com/rpHF6hQ3nN
— 群像 (@gunzou_henshubu) May 7, 2025
本作は、シェアハウスで同居する蓮見から「おれ、死んでもうた。やから殺してくれへん?」と依頼された初瀬が、蓮見と会話を交わしながら意思を決めていく話が軸となっています。生と死、夢と現実、過去と現在などが入り混じった不思議な文体が特徴です。
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・不思議な文体で新しい世界観の小説を読みたい人
・現実と夢との境界について深く考えたことがある人
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3分で分かる「鳥の夢の場合」のあらすじ【※ネタバレなし※】
シェアハウスで一緒に住んでいた成音と禄助が結婚して出ていき、蓮見と初瀬の2人で暮らしていた。蓮見は環境音と機械音を合わせた作業用の音楽を制作しているが、ある日、自分の心臓から何も聞こえず、自分は死んだのだと思う。そして、同居する初瀬にこう言った。
おれ、死んでもうた。やから殺してくれへん?
引用:「鳥の夢の場合」本文より
その日の朝から、五十五日間、初瀬は蓮見と会話を交わし続けた。蓮見の頼みを聞いた初瀬はどうやって意思を決めるのか? 物語は夢と現実、過去と現在が入り混じりながら、進んでいく……。
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「鳥の夢の場合」のネタバレ解説&考察まとめ
ここからは「鳥の夢の場合」の魅力を深掘りするために、タイトルの意味、作品の魅力、ラストシーンのネタバレ考察などを行います。
タイトル「鳥の夢の場合」の意味とは?
タイトルの意味をそのまま捉えると、鳥の視点で現実と妄想が入りながら、物語を展開していると考えられます。シェアハウスにいる文鳥の視点というのが一番しっくり来そうですが、もしかしたら作中に出てくる鳥全体(野鳥や渡り鳥など)の視点と考えると、文体や視点の変化もイメージしやすいかもしれません。
このあたりは群像新人文学賞の選評で選考委員の町田康さんが指摘しています。そちらも合わせて読むと作品への理解が深まるのではないでしょうか。
ラストシーンのネタバレ考察
ラストシーンについて、考察した内容を記します。結末部分のネタバレとなるので、最後まで読んだ人だけ以下をクリックしてみてください。
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【ラストシーンの要約】
シェアハウスを警官が訪れ、蓮見が死んでいたことについて初瀬に聴取をする。初瀬は蓮見を殺したと話すが、警官はそれには無理があると言い、取り合わなかった。
警察署を後にした、初瀬は蓮見の分身的存在ともいえる葉澄に会いに北海道へ向かった。しかし、空港で葉澄と名乗る男と遭遇する。初瀬は蓮見が死んだことを、葉澄に話した。
【考察】
さまざまな捉え方ができるラストシーンですが、上記要約した箇所のあとに、鳥インフルエンザがはやり、全ての鳥が死に絶える描写が出てきます。その状況がシェアハウスに誰もいなくなった状態と照らしあわされているようです。
鳥の死後もまた渡り鳥が飛来することや、家にまた誰かが訪れるということ、それ自体が生と死の淡い境界を浮かび上がらせているような捉え方ができるかもしれません。いろんな読み方ができる作品ですが、皆さんはどのように読まれましたか?
「鳥の夢の場合」を読んでみた感想
ここからは「鳥の夢の場合」を読んでみた感想を書いていきます。また読者のレビューも合わせてまとめました。
【筆者の感想】関西弁の会話や笑えるシーンも光る
文体の揺らぎや、現実と夢が混じり合ったような世界観が本作最大の特徴かと思いますが、その一方で関西弁の生きた会話や、くすりと笑えるようなシーンも魅力的でした。このようなシーンがあるからこそ、全体が読みやすくなった気がします。
また、選評で気になったのは、朝吹真理子さんが文体に山下澄人さんの影響が強く出ていると言いきっていたこと。たしかに言われるとそんな気もするが、よく断言できるなと、ある意味感心しました。
さて、本作は第173回芥川賞の候補作に選ばれていますが、果たして受賞できるのでしょうか? 焦点は本作の世界観がどれだけ選考委員に合うかどうかでしょうか。
何人かはうまくはまって高く評価する人もいるかもしれませんが、芥川賞は1人1点、0.5点、0点の持ち点があって、合計点が審査基準になってくるので、そう考えると全体的には高い点数は集まりにくいのかなと感じます。
受賞予想:ー(なし)
(全候補作を読み終えた段階でもう一度予想してみます)
【みんなの感想や評価】あるかもしれない説得力
続いて、読者がSNSに投稿した感想やレビューをいくつか紹介しましょう。
群像6月、駒田隼也さん「鳥の夢の場合」。「ない」を経由したうえでの「ある」をまなざす世界は、徐々に人間が知覚する表層的な世界の因果すらを書き換えていく。それを人間を個人ではなく要素として捉える「鳥の夢」のような視点を通すことで、あるかもしれない説得力をうんでいた。…
— あわいゆき (@snow_now_s) May 9, 2025
『鳥の夢の場合』(群像6月号)
駒田隼也さんタイトルどおりの読後感。物語の世界を俯瞰しながら浮遊した。一方、視点や人称、時間や場面が揺れ動き、没頭して読まないとついていけなかった。でもこの著者の作品にもっと触れてみたい。読みながらたぶん受賞作になると感じた。#芥川賞 候補作#読了 pic.twitter.com/mVUt8YrXQu
— 山崎はじめ (@goemoncinnamon) June 23, 2025
駒田隼也【鳥の夢の場合】
過去の記憶と夢と現実‥そして生死の境界が揺れて溶けていく。そのため人称と視点が変わることを自然に受け入れられる。怒りの感情についても共感。自分の感情さえもしっかりと〝認知〟出来ない身体の曖昧さに混乱する。身体のバグとしか思えない。SFに近い想像力が働く〜🕊️ pic.twitter.com/Bu845fqO9P— tiina (@tiina37839395) June 14, 2025
鳥の夢の場合/駒田隼也 #読了
私自身気を抜くといつの間にか思考が抽象の世界へと滑り込み、時間や空間の感覚が薄れていくことがある。その不思議な感覚が、この本では見事に言語化されていて、いつも自分も鳥になって夢を見ていたんだというような気がしてとても救われた。 pic.twitter.com/MnPgt6cMMU— りま@読書 (@rima_reading) June 26, 2025
まとめ:「鳥の夢の場合」は夢と現実の境が曖昧な小説だった
いかがでしたか?「鳥の夢の場合」の特徴を以下にまとめました。
・第173回芥川賞候補作(受賞予想は )
・夢と現実の世界が入り混じった作品
・視点を鳥として捉えることで作品の見え方が変わる
以上です。まだチェックしていない方は、ぜひ読んでみてください!
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