今回は『多類婚姻譚』(著:凪良ゆう)のあらすじや感想を紹介。さらにタイトルの読み方や意味、登場人物、ラストシーンのネタバレ考察(解説)、読者の口コミレビュー評価などをまとめました。
【第175回直木賞候補作】凪良ゆうの小説『多類婚姻譚』とは
| 書名 | 多類婚姻譚 |
| 作者 | 凪良ゆう |
| 出版社 | 講談社 |
| 発売日 | 2026年5月27日 |
| ページ数 | 320ページ |
作者の凪良ゆうさんは、『流浪の月』と『汝、星のごとく』で本屋大賞を二度受賞した人気作家です。今作『多類婚姻譚』(読み方は「たるいこんいんたん」)は、直木賞の候補作に選出されており、『汝、星のごとく』以来二度目の候補となりました。
【サイン本入荷】
凪良ゆうさん『多類婚姻譚』講談社のサイン本が入荷致しました。
数に限りがありますのでお早めにご来店お願いします。お電話でのサイン本の取り置き・配送はお受けいたしかねますのでご了承くださいませ。 pic.twitter.com/7DyK4ilzID— ジュンク堂書店池袋本店 文芸文庫担当 (@junkuike_bunbun) May 27, 2026
『多類婚姻譚』は、結婚をテーマにした短編集。五章それぞれに異なるカップルが登場し、お互いのことを理解できずに苦しんだり、結婚までの道のりに不安になったりと、「現代の結婚」が抱える課題を巧みに表現しています。
※『多類婚姻譚』は以下に当てはまる人におすすめ!
・結婚について深く考えたい人
・本屋大賞受賞作など、凪良ゆうさんの作品が好きな人
・第175回直木賞の候補となった話題作をチェックしたい人
・『多類婚姻譚』を購入したい人はこちらから
3分で分かる『多類婚姻譚』のあらすじ【※ネタバレなし※】
『多類婚姻譚』は五つの章からなる短編集です。それぞれの短編について、軽くあらすじを紹介しましょう。
Thank you for your understanding
小暮華は会社で課長に昇進するなど、仕事は順調だ。しかし、家族からは結婚はまだかとせっつかれる。意を決して、同棲中の恋人・樹とともに実家へと帰省するのだが、実は家族にはちゃんと言えない大きな秘密があった。
Beautiful Dreamer
派遣社員として働く野々村花織は、結婚を夢見て上京してきた。付き合っている彼氏がいるが、このままでいいのか不安になる。九州にいる実家の親からは花織のことを心配する連絡が来ていて……。
小鳥たち
離婚して実家へと戻った佐々木一葉は、父が経営する本屋を継いでブックカフェにした。そこに偶然、初恋の人だった越智がやってくる。越智は家族と別居していて休職中だという。一方、元夫からは慰謝料について催促する連絡が来て……。
Position Talk
佐々木律は、会社の同僚の朱里と入籍を控えている。ある日、風邪で休んでいるところへ、幼馴染のシングルマザー・野本陽菜が息子とともに部屋を訪れた。やましい関係ではなかったが、それがバレたことでだんだんと二人の仲が壊れ始めて……。
C’est la vie
『Relier』オーナーシェフの坂元伸一郎と不倫している花江祥子は、麻布店のメインシェフだ。仕事も恋も魂を分け合った二人だが、レストランの中の権力闘争に巻き込まれたところからだんだんと関係性に変化が訪れていく。
『多類婚姻譚』の主な登場人物まとめ
『多類婚姻譚』の主な登場人物について、章ごとに紹介します。また、全体で共通して登場する大手食品会社で働く人物たちについては、部署ごとに改めてまとめてみました。
Thank you for your understanding
・小暮華:主人公。大手食品会社の課長に昇進したばかり。恋人の樹と同棲している。
・華の母親:専業主婦で二人の子を育てた。
・嵐:華の弟。家庭を築いている。
・高遠樹:華と同棲中の恋人。人間関係が原因で前職を辞めて、現在は休職中。
Beautiful Dreamer
・野々村花織:主人公。インスタで『都内27歳おひとりさま女子の日常』を運用中。
・絵美:同僚の派遣社員。人生と給料のほとんどを推しに注ぎ込んでいる。
・中嶋恵斗:花織の恋人。世田谷の庭付き一軒家で実家暮らしをしている。
・伊藤加奈:恵斗の大学時代の友人。来年、結婚式を挙げる予定。商社勤め。
・小山田大地:恵斗の大学時代の友人で、加奈と結婚予定の恋人。
小鳥たち
・佐々木一葉:主人公。四十四歳。家業の本屋を継いで、ブックカフェにした。
・マサハル:一葉の元夫。十六年間の結婚生活の末に離婚した。
・越智:一葉の中学時代の初恋相手。妻や子と別居している。
・一葉の父:今年で七十歳になる。ずいぶん前に妻を亡くした。
・佐々木律:一葉の弟。大手食品会社で働く。
Position Talk
・佐々木律:主人公。何かを言う前につい保険をかけてしまう。
・朱里:律の恋人。三十三歳。交際してすぐに部署異動となる。
・野本陽菜:律の幼馴染。五歳の息子を育てるシングルマザー。
C’est la vie
・花江祥子:主人公。『Relier』麻布店のメインシェフ。四十七歳。不倫している。
・坂元伸一郎:祥子の不倫相手。『Relier』のオーナーシェフ。四十二歳。
・瑠璃:坂元の妻。三十九歳。夫の不倫には気づいていそうだが…。
・桜井搖:祥子の友人。育休中。不倫している祥子たちを蔑んでいる。
・神崎:フードライター。
・日永:『Relier』本店のスー・シェフ。まじめな性格。
・丸山渚:『Relier』で昇進を狙う貪欲なシェフ。
大手食品会社に所属している人物
【健康食品部】
・小暮華(こぐれはな):課長に昇進。三十八歳
・桜井搖(さくらいよう):産休&育休中
・野々村花織(ののむらかおり):派遣社員。二十七歳
・絵美(えみ):派遣社員。二十九歳
【宣伝部】
・佐々木律(ささきりつ):内海と交際
・中嶋恵斗(なかじまけいと):二十九歳。花織と交際
・木下(きのした):高身長の美人
【広報部】
・鴻上(こうがみ):ハラスメントを告発され、自宅待機
・内海(うつみ):上司のハラスメントを告発
・朱里(あかり):三十三歳。最近異動となった
【品質管理部】
・越智(おち):休職中
【法務部】
・谷口(たにぐち):二十九歳
【販売部】
・桐島(きりしま)
【部署不明(開発室)】
・玲一(れいいち)
『多類婚姻譚』のネタバレ解説&考察まとめ
ここからは『多類婚姻譚』の魅力を深掘りするために、タイトルの読み方と意味、ラストシーンのネタバレ考察(解説)、映画化やドラマ化の可能性についての言及などをまとめました。
タイトル「多類婚姻譚」の読み方と意味とは?
タイトル「多類婚姻譚」の読み方は、「たるいこんいんたん」です。似た名前の小説として本谷有希子さんの『異類婚姻譚』がありますが、全く別の作品となります。
婚姻譚とあるように、結婚がテーマの小説です。ただし、結婚を控えているカップル、寧ろ離婚してしまったカップル、不倫しているカップルなど、幅広いジャンルのカップルが各章で登場します。そのため冒頭に「多類」とついているのでしょう。様々なカップルが思わぬ方向に進んでいくところが、物語の大きな読みどころです。
『多類婚姻譚』のラストシーンをネタバレ考察(解説)!
『多類婚姻譚』は五つの短編から成る小説です。それぞれのラストシーンについて、考察(解説)していきましょう。ネタバレとなるので、最後まで読んだ人だけ、下記をクリックしてみてください。
ネタバレしていいからラストシーンの考察(解説)を知りたい方はこちらをクリック!
「Thank you for your understanding」
【結末までのあらすじ】華が連れてきた恋人の樹は女性であり、両親やその場にいた弟は動揺を隠せない。翌日、母親が華たちのもとを訪れる。恋愛は自由だと一定の理解を示したうえで、「自分たちが特別である」という認識を改めるべきだと忠告する。
【考察(解説)】マイノリティだから特別扱いしてほしいという姿勢が、傲慢に感じられたという指摘は、意外な角度からの視点だと思いつつ、母としては当然のような姿勢でもあり、納得感がありました。
「Beautiful Dreamer」
【結末までのあらすじ】結局彼氏は別の女性社員と仲が親密になり、花織との交際は終わりを迎える。父から心配する電話がかかってきて、自分が東京に来て何もできていないことを不甲斐なく思いつつも、そんな自分を気にも留めない東京の雰囲気が好きだと感じる。
【考察(解説)】花織の気持ちにかなり共感する女性が多いのではないでしょうか。問題は解決した訳ではないですが、同じ悩みを抱いている女性が多いと思えることは一つの救いになるのかもしれません。
「小鳥たち」
【結末までのあらすじ】佐々木一葉と越智の距離が近づくが、越智には別居する家族がおり、一線は超えない独自の関係性を築いた。一方で、元夫からの言い訳は聞かずに慰謝料を受け取る義務を頑として主張した。また、ブックカフェは一葉に必要な居場所になった。
【考察(解説)】「Beautiful Dreamer」で孤独な者をあくまで孤独な存在として受け入れる場所として東京を描いたのと対照的に、地方都市のブックカフェは多くの孤独な人を受け入れる心温かな「止まり木」のようなスポットとして描いていました。
「Position Talk」
【結末までのあらすじ】朱里は自分が部署異動の憂き目にあったことや、律がハラスメントを起こしたと告発された男性上司の肩を持ったことで、激怒した。結局、二人は破局し、結婚を控えていたという理由で、律は朱里に慰謝料を払った。
【考察(解説)】付き合っていた女性側が異動されたり、ハラスメントを起こさないように気を付けていた男性上司が訴えられて自宅待機を命じられたりと、会社内のポジションや性別などで不条理な扱いを受ける者たちの虚しさがよく表現されていました。
「C’est la vie」
【結末までのあらすじ】昇進に貪欲な女性・渚が坂元に近づき(肉体関係があったかまでは不明)、三店舗目を任されるようになった。それを機に反感を抱いた者たちが辞め、祥子も坂元と話し合った後に辞めてしまった。祥子は気持ちを改め、新店舗をオープンした。
【考察(解説)】新店舗「C’est la vie」の意味は、「人生はままならない」。ここまで出てきたカップルたちの不遇な状況を表現しているようでした。また最後に坂元の妻も、若い男が不倫していたことが分かるという、ゾッとするような展開も印象に残りました。
『多類婚姻譚』は映画化・ドラマ化される? キャストを考察してみた
これまで凪良ゆうさんの作品は、本屋大賞を受賞した『流浪の月』と『汝、星のごとく』がそれぞれ映画化されています。『汝、星のごとく』は2026年に公開予定です。
今作『多類婚姻譚』も、実写化の期待が高まります。ただし、本作は短編集なので、どういった展開になるか予測がつきにくい状況です。
・各章の物語をドラマにして全五話のドラマを放送する(NHKドラマ?)
・一つの章をピックアップして映画・スペシャルドラマ化
・いくつかの章を組み合わせて映画・スペシャルドラマ化
後者の場合は誰をメインに据えるかですが、「Position Talk」の主人公で、ほか二つの章にも出る佐々木律が主役にふさわしいかもしれません。
ただ映像化して驚きがあるのは、「Thank you for your understanding」の方なので、こちらの主人公の華を選ぶのもよいでしょう。
また、最後の章「C’est la vie」は、他四編と違ってミシュラン星付きレストランが主な舞台で、料理の描写も含めるとこちらも映像で見たい内容です。
ちなみに、『流浪の月』と『汝、星のごとく』はどちらも横浜流星さんと広瀬すずさんが重要な役で出演します。もし、この二人を出演させると仮定する場合、横浜流星さんが佐々木律役、広瀬すずは朱里役か野々村花織役あたりが適任だといえるでしょう。
『多類婚姻譚』を読んでみた感想
ここからは『多類婚姻譚』を読んでみた感想を書いていきます。また読者のレビューも合わせてまとめました。
【筆者の感想】現代のカップルが抱える課題を如実に表現している
結婚をテーマにした小説ですが、順風満帆な結婚生活をしている者たちはほとんど出てきません。まだ独身のカップルも、将来やパートナーに不安や不満を抱いていて、そのあたりが現代人が抱える課題を如実に表現していると感じました。
個人的に好きだったのは「C’est la vie」。ミシュランの星付きレストランで、スー・シェフとして認められるためになりふり構わず突き進む者、力があるのにうまく能力をアピールできない者など、小さな世界の人間模様がリアルで、最後の意外な展開も印象的でした。
本作は直木賞の候補作に選出されていますが、前回候補になった『汝、星のごとく』よりも作品の幅や深い洞察力が活きているため、評価されるでしょう。ただし、今作は一作明らかに突出した作品があるため、受賞とまでは至らないのではないかと予想します。
受賞予想:△(大穴)
(全候補作を読み終えた段階でもう一度予想してみます)
【みんなの感想や評価】読んでいて感情を揺さぶられる!
続いて読者がSNSやレビューサイトに投稿した感想や口コミをいくつか紹介します。
凪良ゆう『多類婚姻譚』 #読了
あまりに待ちわび過ぎて楽しみにしていたから、ゆっくり大事に読もうと思っていたのに、面白過ぎて一気読み
読んでいて感情が揺さぶられて仕方なかった
腹も立つし哀しくもなる
でも頑張って生きてるよねって肯定してもらえる凪良ゆうの小説はいつも救いがある pic.twitter.com/5EBpTvqnJv
— SummerTotty (@totttytottty) May 30, 2026
多類婚姻譚 凪良ゆう #読了
見たくない方を無理やり向かされるような
読み進めるほど語彙力がなくなっていく感じ
文章なのに映像が浮かぶようでした
ヒリヒリ
でも自分勝手になれてしまう相手といられるのは素敵なことだと思う
今までの作品にも共通する価値観のような最後のニ文がすごく好きでした pic.twitter.com/e8HP6uJ9sy— ミー (@me_reading_) June 2, 2026
読んでいてとても心が苦しかったです。昔の自分を外から眺めてるような気持ちになりました。とても素晴らしい作品です!
引用:Amazon
凪良ゆうさん「多類婚姻譚」読了
異類婚姻譚って言葉がモチーフなのかな
ネット評では、現代の愛の形や結婚の難しさを描いた短編小説集とも(帯参照)
主語を大きくする気はないけど、今が過渡期なら、多様性やら搾取やら、うまく熟れた世の中になって欲しいわ
私は、自分のお花畑から出たくない😁 pic.twitter.com/nX9pSsUzXu— ぶどうの雫 (@budounoshizuku) June 28, 2026
まとめ:『多類婚姻譚』は現代の結婚をテーマにした短編集だった
いかがでしたか? 『多類婚姻譚』の特徴を以下にまとめました。
・第175回直木賞候補作(受賞予想は△:大穴)
・現代の結婚をテーマにした短編集
・現代のカップルが抱える悩みを如実に表現している
以上です。まだチェックしていない方は、ぜひ読んでみてください!
・『多類婚姻譚』を購入したい人はこちらから


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