今回は「たえまない光の足し算」のあらすじや感想を紹介します。本作は、気鋭の若手小説家・日比野コレコさんによる第173回芥川賞候補作。タイトルの意味や、ラストシーンのネタバレ考察(解説)、芥川賞の受賞予想などをまとめました。
【第173回芥川賞候補作】日比野コレコの小説「たえまない光の足し算」とは
書名 | たえまない光の足し算 |
作者 | 日比野コレコ |
出版社 | 文藝春秋 |
発売日 | 2025年7月17日(予定) |
ページ数 | 不明 |
初出 | 『文學界』2025年6月号 |
作者の日比野コレコさんは、2022年に「ビューティフルからビューティフルへ」で第59回文藝賞を受賞(安堂ホセさんの「ジャクソンひとり」とW受賞)。同作は単行本化され、2023年には2作目の単行本となる『モモ100%』も発表されました。
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「たえまない光の足し算」は、「かいぶつ」と呼ばれる時計台で「とび商」として生計を立てている少年少女の話です。異食の道化師である薗(その)が主人公で、抱擁師のハグや軟派師の弘愛と出会うことで、人生が大きく変化していきます。
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・気鋭の若手の小説を読みたい人
・トー横キッズなど、若者の居場所や生活状況について関心がある人
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3分で分かる「たえまない光の足し算」のあらすじ【※ネタバレなし※】
「かいぶつ」の愛称がある時計台には、「とび商」の称号を持つ少年少女がいる。自らの能力を使って、観光客に個人売買をしているのだ。
そんなとび商の一人・薗(その)は、異食物ばかりを食い、それをショウのようにして表現する異食の道化師だ。医院のキッズスペースを巡りながら育った薗は、「痩せたらなにもかもが変わる!」と書かれたポスターに感化され、次第に異食の習慣がついていった。
薗は、同じくとび商の一人・抱擁師のハグと出会い、彼女になぜフリーハグをするかと聞くと、「みんなのひとになりたいから」と答えられる。住む場所を持たない薗はハグの家に連れ帰られ、生活をするようになる。
そんな中、薗とハグは、駆け出しの軟派師の弘愛(ひろめぐ)に話しかけられる。そこから二人の運命は大きく変わっていき……。
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「たえまない光の足し算」のネタバレ解説&考察まとめ
ここからは「たえまない光の足し算」の魅力を深掘りするために、タイトルの意味、作品の魅力、ラストシーンのネタバレ考察などを行います。
タイトル「たえまない光の足し算」の意味とは
タイトルの意味を考えるうえで、重要な要素となるのが、時計台の背後にある「痛くない出口」の存在です。深くて黒い池であり、飛び降りれば死に抱きとめられる、という描き方が冒頭ではされています。
その池の存在と対比するように、光が集まる場面も出てきます。特に終盤でそんなシーンが出てくるので、詳しくは次の章で書きましょう。
作品の要約とラストシーンのネタバレ考察(解説)
続いて、ラストシーンについて考察した内容を記します。ネタバレとなるので、最後まで読んだ人だけ以下をクリックして、チェックしてみてください。
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【ラストシーンまでの要約】
直接的な表現はされないが、弘愛とハグの抱擁は性的な行為であった。弘愛は軟派に成功した証拠としてその時の映像を先輩に提出するが、それが無断で拡散されてしまう。個人情報まで特定されたハグは、多くの輩から狙われることになった。
悪気があったわけではない弘愛と、自分の方法は間違っていたのかなと自問するハグは、最終的に二人で「痛くない出口」へと飛び込んだ。
取り残された薗は、そこで自分の躰は武器ではなかったと悟る。薗は二人とは別のやり方で人間になろうと決めた。
【考察(解説)】
ラストシーンでは光にかんするシーンが多く登場し、生きる希望を表現しています。重要なのは「痛くない出口」へ飛び込んだ二人も、死を選んだのではなく、生へと向かっていったと描かれている点です。少し引用しましょう。
ふたりの身は吸い込まれるように、黒い池に向かって放たれた。そしてそのまま、生に駆られたスピードで、池を突き破っていった。
引用:「たえまない光の足し算」本文より
冒頭では死の象徴だった池が、違う形で描かれており、その点にも主人公の内面の成長というか、考え方の変化が感じられます。最終的に人間になろうと前向きになった主人公には好感を抱きました。
「たえまない光の足し算」を読んでみた感想
ここからは「たえまない光の足し算」を読んでみた感想を書いていきます。また読者のレビューも合わせてまとめました。
【筆者の感想】残酷すぎる博愛を巡る物語
本作の大きなテーマに「博愛」があると感じました。みんなのひとになりたいと考えるハグは、結果的に残酷な仕打ちが待ち構えています。
本作の舞台や登場人物を考えたとき、どうしても「トー横キッズ」の存在が頭に浮かびます。かれらかのじょらの中には、ハグと同じようにみんなのひとになれる偶像としてアイドル志望の少女もいるでしょう。そんな彼女の幻想と、現実社会のギャップが想起されているように思います。
また、表面的なところに憧れ、想像力が足りないあまりに、間違った方向へ進む人物像も、弘愛の姿によく現れています。このように、やや現実離れした設定で、寧ろリアルな若者たちの置かれた居場所の問題点を表現する作者の才能は鮮やかです。
芥川賞選考会でも、上記のような優れた才能は高く評価されるのではないでしょうか。ただ一方でラストの帰着が安易という見方も出てくるかもしれません。トータルでどう評価されるかは微妙なところです。
受賞予想:△(大穴)
(全候補作を読み終えた段階でもう一度予想してみます)
【みんなの感想や評価】眩しく美しく、おぞましい
続いて読者がSNSに投稿した感想やレビューをいくつか紹介しましょう。
たえまない光の足し算/日比野コレコ #読了
著者の作品はモモ100%とビューティフル読んだので3作目。独特の文章でファンタジックに描かれる陰鬱な世界の虜になる。絶望しかないのに物悲しく美しいのはなぜなんだろう…。夜の闇の中のぼんやりした光で物語が浮かび上がってくる。とても良かったです。 pic.twitter.com/o5ewl72NoA— りま@読書 (@rima_reading) June 20, 2025
文學界2025年6月号
たえまない光の足し算 日比野コレコひろめぐ出てくる辺りまで目が踊っちゃって冒頭3回くらい読み返したけど
なんだこれ、天才じゃん!
時計台の世界観出来上がってるし
エモいし
そりゃ候補だよね
「弘誓(ぐぜい)のぐ、に渇愛のあい、で弘愛(ひろめぐ)」
ムズw かっこよ!!— 海老天文鳥 (@ebitenbuntyou) June 21, 2025
日比野コレコ「たえまない光の足し算」(文學界2025年6月号)。童話。なわけないんだけどその鮮烈な印象が。でも全く優しくなくて目を背けたくなる。実際途中で読めなくなり閉じた。が、また開かせる引力。薗という子はそれほどの拒絶。たえまない光の足し算は、眩しく美しく、そしておぞましかった。
— あいや (@aiya_shibaraku_) June 10, 2025
まとめ:「たえまない光の足し算」はとび商の生き様を通じて若者の息苦しい現状を表現する小説だった
いかがでしたか?「たえまない光の足し算」の特徴を以下にまとめました。
・第173回芥川賞候補作(受賞予想は△)
・現実離れした設定ながらリアルな現状を浮かび上がらせる
・若者の居場所について考えを深めるきっかけになる
以上です。まだチェックしていない方は、ぜひ読んでみてください!
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