今回は野﨑まどさんの小説『小説』のあらすじや感想を紹介します。タイトルの意味、ラストシーンのネタバレ考察(解説)、映画化・ドラマ化の可能性などについても言及します。2025年本屋大賞候補作となった一冊、ぜひ読んでみてください。
【2025年本屋大賞候補作】野﨑まどの小説『小説』とは
書名 | 小説 |
作者 | 野﨑まど |
出版社 | 講談社 |
発売日 | 2024年11月20日 |
ページ数 | 224ページ |
作者の野﨑まどさん(注:野崎まどではなく、「崎」→「﨑」)は、東京都墨田区出身の覆面作家。2009年に発表した「[映] アムリタ」により、「メディアワークス文庫賞」の最初の受賞者となりました。
今作『小説』の主人公は、読書好きの内海集司。本を通じて仲良くなった外崎真と、小説家が住む古い屋敷に入り浸り、小説を読み続けます。やがて二人は別々の道を歩み出し、内海は本を読む意味を探し続ける、といった物語です。
※『小説』は以下に当てはまる人におすすめ!
・とにかく小説を読むのが好きな人
・小説を読む魅力について知りたい人
・2025年本屋大賞の候補となった話題作をチェックしたい人
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3分で分かる『小説』のあらすじ【※ネタバレなし※】
内海集司は、幼少期に医者の父を喜ばせるために始めた読書にはまっていく。太宰治の『走れメロス』に感動し、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』を通じて、外崎真という友人もできた。
内海は十二歳の時に、近所に謎の小説家が住んでいる古い屋敷(通称:モジャ屋敷)があると知り、外崎と二人で忍び込む。多くの蔵書があるその屋敷で、二人は時間を忘れて小説を読むのに没頭した。小説家の髭先生との出会いも、二人の読書の時間を豊かなものにしていく。
そして時が経ち、二人は別々の道を歩んでいくようになる。小説家としての才能を見せる外崎。一方で書くことが苦手で、純粋に読書だけが好きな内海は、「ただ本を読むのはだめなのか?」と自問自答し出す。
やがて外崎が行方をくらまし、内海は彼がどこに行ったかを探す。これまで二人や髭先生に縁があった人物を訪ねていくうちに、内海はある結論へとたどり着く……。
『小説』のネタバレ解説&考察まとめ
ここからは『小説』の魅力を深掘りするために、タイトルの意味、作品の魅力、ラストシーンのネタバレ考察などを行います。
タイトル「小説」の意味とは? 読者のための物語
本作のタイトルは「小説」。小説のための小説なのだと思わせますが、中身がなかなか予想しづらい作品です。作者の自伝的な作品かと思われる人もいるかもしれませんが、本作はそんな作者の視点で描かれるというよりかは、読者のための物語であるといえます。
主人公の内海集司は、「本は読むだけじゃ駄目なのか」と小説を読むことの意味を常に考え続けます。そして結末で得られるある境地は、一読者がこれまで小説を読むのが好きで良かったと思えるような結論になっています。
また、本書のなかには、様々な小説のタイトルや内容が引き合いに出されます。『走れメロス』『竜馬がゆく』『ホビットの冒険』など。読書好きなら一度は読んだことがある作品が多く登場するのではないでしょうか。それらの本を初めて読んだ時の感慨を思い出しながら読むと、また違った味わいを楽しめると思います。
『小説』のラストシーンをネタバレ考察!読書とは何なのか?
ここからは『小説』のラストシーンについて考察した内容を記します。ネタバレとなるので最後まで小説を読んだ人のみ、以下をクリックしてみてください。
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結末では内海が小説を読む意味についてある考えにたどり着きます。ラストシーンを一部引用しましょう。
ほぼ全てのページを読み終え、あと十行ほどで物語が終わるというところに到達した時には、すでに多くの意味が本から精神へと運び込まれていて、読む前よりも必ず心の中が増して、一人の人間の意味が増えている。
それはこの世界全体に通底する根源的な潮流であり、その流れの最先端で巻き起こる宇宙最高の愉悦であり、全ての読者の内側たる精神は本を閉じた後もすぐにまたそれを望み、繰り返し、果てもなく、嘘で作られた空想を求めて次の虚構へ手を伸ばし続けることとなる。その虚構の名は小説という。
引用:『小説』本文より
これが内海が考える本を読むことの意味でしょう。本作にも劇中作のような形で様々な虚構が展開されますし、そもそもモジャ先生がいたモジャ屋敷も一種の幻想めいた場所として描かれています。
本を読むことの喜びを教えてくれる一冊ですね。
『小説』は映画化・ドラマ化される?アニメ映画で実写化される可能性も
『小説』はまさに小説のための小説といった作品ですが、映像化されたものも見てみたいという人もいるでしょう。また本作が映画やドラマとなり、それきっかけで小説のおもしろさを知れる流れになるのもいいですね。
ただ、本作には様々な小説の世界を内包した作品だといえるので、それを映像化するのはかなり難しいと思われます。もし活字以外で表現するとなれば、まだアニメの方が可能性があるかもしれません。
2025年4月時点でまだ実写化などの情報は公開されていませんが、もし情報が入ったら更新する予定です。
『小説』の感想やレビューまとめ
ここからはSNSやレビューサイトに寄せられた『小説』の感想をまとめました。
野﨑まど『小説』読了。本が好きな人は知っている。小説とは魂の渇きを癒すもの。ここでは無い何処かへ、いとも簡単に連れ去ってくれるもの。その魔力に取り憑かれた人間達の物語。小説を読むこと書くことの恩寵を、叙情的な文体で余すところなく歌い上げた傑作。 #読書好きな人と繋がりたい #読了 pic.twitter.com/MeNaNq1elL
— 喘息でも山は行く (@solaris19611972) April 2, 2025
野﨑まど『小説』読了
“世界は集まって意味を増やしてる。人の心も意味を増やしてる。嘘をついたら意味を増やせる。意味を増やすための嘘。外に出した意味。外に出した嘘。それが“小説” なんだ。” pic.twitter.com/7oxhmJXAte
— あおい | 14期フリーランスコミュサポ隊 (@_aoihistory) April 2, 2025
通勤時に小説を読んでいる方、誰かに会うより小説を読んでいたい方、本屋に行くだけで癒されている方、飲み会より小説を味わいたい方、夜に寝る前に読書を嗜む方、この小説に出会えることを願ってます。
引用:Amazon
『小説』野﨑まど
#読了本好きの小学生が謎の小説家の屋敷にある蔵書を邪魔されず堪能する、という本を通した心優しい交流が描かれるのかと思いきや、話は宇宙論や幻想的に流れていき、何の話?となって最終的にタイトルに辿り着く。これは小説の話で、小説が好きな自分の話。
— 朔@読書垢 (@sakubook) April 1, 2025
まとめ:『小説』は小説を読む意味を問う作品だった
いかがでしたか?『小説』の特徴を以下にまとめました。
・2025年本屋大賞候補作
・小説好きがもっと小説を好きになれる作品
・小説を読む魅力が分かる作品
以上です。まだチェックしていない方は、ぜひ読んでみてください!
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