3分で分かる「サンショウウオの四十九日」のあらすじ&ネタバレ解説・感想まとめ【第171回芥川賞受賞作】

今回は「サンショウウオの四十九日」のあらすじや感想を紹介します。タイトルの意味や、作品の魅力、ラストシーンのネタバレ考察などをまとめました。第171回芥川賞を受賞した本作をぜひチェックしてみてください。

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【第171回芥川賞受賞作】朝比奈秋の小説「サンショウウオの四十九日」とは

書名 サンショウウオの四十九日
作者 朝比奈秋
出版社 新潮社
発売日 2024年7月12日
ページ数 144ページ
初出 『新潮』2024年5月号

「サンショウウオの四十九日」は、二人の女性が一つの身体を持つ結合双生児の「わたし(杏)」と「私(瞬)」の物語です。胎児内胎児として生まれた父を持ち、自分たちの特異な体や思考、そして今後の運命について、主に二人の人物の視点から語られていきます。

作者の朝比奈秋さんは、医師でありながら作家活動をしている人物です。これまで『植物少女』で三島賞、『あなたの燃える左手で』で野間文芸新人賞を受賞しており、既に高い評価を受けています。そして本作「サンショウウオの四十九日」は第171回芥川賞を見事に受賞しました。

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3分で分かる「サンショウウオの四十九日」のあらすじ【※ネタバレなし※】

わたし(杏)と私(瞬)は、一つの体を共有して生まれてきた。周囲からは左右で歪な一人の人間だと思われていたが、五歳になった頃に「結合双生児」だと診断を受ける。

診断を受けて家庭裁判所へ行ったこと、初めて生理を迎えたこと、一行ごとに二人で書いた手紙で文通を行ったこと。そんな様々な経験を経て、わたしと私は大人へなっていく。わたしと私はまるで陰陽魚のようだと思う。

わたしと私の父の若彦も、特殊な誕生の仕方だった。伯父さんのかっちゃんこと勝彦の胎児内胎児として生まれてきたのだ。生後一年ほど経って兄の体から取り出された若彦は、その後も呑気に育っていった。一方の勝彦は体があまり成長しないまま、歳を重ねた。

やがて迎えた勝彦の死。わたしと私は考える。片方が思考を失ってしまったら、一体どうなるのだろうか。

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「サンショウウオの四十九日」の主な登場人物まとめ

濱岸杏:結合双生児の片割れ(左半身)。一人称は「私」
濱岸瞬:結合双生児の片割れ(右半身)。一人称は「わたし」
・濱岸若彦:杏と瞬の父。若彦の胎児内胎児として生まれる
・勝彦:若彦の兄。愛称は「かっちゃん」。大学教授

・杏と瞬の母:若彦の妻
・濱岸達治:勝彦の父
・濱岸津和子:勝彦の母
・美和:勝彦の妻
・彩花:勝彦の一人娘
・克樹:彩花の結婚相手
・水田:杏と瞬の高校の同級生
・トシ:杏と瞬の母方の祖母

「サンショウウオの四十九日」のネタバレ解説&考察まとめ

ここからは「サンショウウオの四十九日」の魅力を深掘りするために、タイトルの意味、作品の魅力、ラストシーンのネタバレ考察などを行います。

タイトル「サンショウウオの四十九日」の意味とは

タイトルの「サンショウウオ」が最初に物語に出てくるのは、杏と瞬が高校生の頃に行った校外学習の場面です。

そこで「陰陽図」(別名「陰陽魚」)という模様の説明を受けます。オオサンショウウオのようにも見える白と黒の勾玉が追いかけっこをしているような図で、二人はこの模様を自分たちの境遇に重ねるのです。

さらにこの時、同級生の水田が二人に何気なく言った以下の一言が、物語後半にかけての大きなテーマと重なっていきます。

「じゃあさ、おまえらも片っぽ死んだら両方死ぬん?」
引用:「サンショウウオの四十九日」本文より

タイトルの「四十九日」は、まさしくこの死後の世界を表しているといえそうです。このあたりをふまえて、ぜひ作品をじっくり味わってみてください。

医師の経験が生かされた細部の描写やストーリーが魅力

一つの体を二人の女性が共有する結合双生児や、胎児の中に胎児が宿っている胎児内胎児という設定は、ややSFめいた雰囲気が感じられるかもしれません。2024年の話題作『ここはすべての夜明けまえ』を読んだ人なら、こちらはAIと人の融合でしたが、なおさらそう思うでしょう。

ただし、作者の朝比奈秋さんは、医師として働いてきた経験があるので、細部の描写もかなり緻密で、そういった突飛な雰囲気は薄く、寧ろ医学的な説得力があります。実際に「ベトちゃんドクちゃん」や「アビゲイル&ブリタニー・ヘンゼル姉妹」などの例や、医学的な症例についても作中で言及されています。

こういった設定がしっかりしている一方で、医学的な説明は必要な分だけに抑えていて、どちらかというと二人の言動や思考について書いており、一つの物語として読み応えのある作品となっています。

これまで主要な純文系の文学賞を獲ってきた朝比奈秋さんらしい実力作です。リーダビリティも高いので、ぜひその魅力を堪能してみてください。

ラストシーンのネタバレ考察!杏と瞬の運命は?

ここではラストシーンについて考察してみます。ネタバレしても作品の魅力は損なわれませんが、念のため読んだ人だけ以下をクリックしてチェックするようにしてみてください。

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最後は夢か現か分からない白昼夢のシーンがメインとなります。それは園児の頃に見た裏山での光景です。ザリガニが登場しますが、これが異様な存在感を放っています。

ここからは筆者の考察ですが、このザリガニは二人の間を切り裂くもののメタファーとして捉えられるかもしれません。切り裂かれてどうなるかまでは言及されていませんが、改めて二人という人間が一つの身体に同居しているのだという、奇異さと心情をうまく表現しており、最後は読者の想像に委ねられているようです。

また、冒頭はコタツに入っているシーンから始まるのですが、最後では外で朝の空気を吸っている場面で終わっており、この中で二人がだんだんと外へ出ていこうとする姿を示唆しているようにも思えます。

「サンショウウオの四十九日」を読んでみた感想

ここからは「サンショウウオの四十九日」を読んでみた感想を書いていきます。また読者のレビューも合わせてまとめました。

【筆者の感想】陰陽魚のモチーフが効いていた

ベトちゃんドクちゃんのことをなんとなく知っているくらいの予備知識でしたが、結合双生児の思考や言動が知れたのに加え、一つの物語として十分に楽しめました。陰陽魚のモチーフが効いていて、二人の対比や思考が読んでいて引き込まれました。

また、呑気な父親と伯父の存在も面白く、やや無責任な発言かもしれませんが、案外こういう親の方が子どもはよく育つのかなとも感じます。

そこで思ったのですが、こういった父やその妻(杏と瞬の母)などの視点の話もあるとなおよかったとも思いました。ほかにも勝彦の一人娘である彩花の存在も気になりましたね。せっかくなら彼女ももっと物語の本筋に絡んでほしかったなという気がします。

本作は第171回芥川賞を受賞しました。選考委員の川上未映子さんが、文学的に高いチャレンジをされていて、ある程度の水準に達していたというようなことを講評していましたが、それほどプロでもなかなかできないような試みがなされている、評価の高い作品だといえます。これまで純文学の各新人賞を受賞している実績が、今作にも存分に発揮されているといえるでしょう。

【みんなの感想や評価】体と意識が独立しているという思考が面白い

続いて読者がSNSに投稿した感想や口コミをまとめてみました。

まとめ:「サンショウウオの四十九日」は結合双生児の思考を巡る小説だった

いかがでしたか?「サンショウウオの四十九日」の特徴を以下にまとめました。

・第171回芥川賞受賞作
・結合双生児の二人の女性の思考や言動が興味深い
・陰陽魚のイメージやタイトルが作品のテーマに深く関係している

以上です。まだチェックしていない方は、ぜひ読んでみてください!

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