今回は阿部暁子さんの小説『カフネ』のあらすじや感想を紹介します。登場人物の紹介や、タイトルの意味、ラストシーンのネタバレ考察(解説)、映画化・ドラマ化の可能性・続編(スピンオフ)についての内容も合わせてまとめました。
【2025年本屋大賞候補作】阿部暁子の小説『カフネ』とは
書名 | カフネ |
作者 | 阿部暁子 |
出版社 | 講談社 |
発売日 | 2024年5月22日 |
ページ数 | 304ページ |
作者の阿部暁子さんは、2008年にデビューした岩手県出身の作家。これまで『金環日蝕』『カラフル』などを発表してきました。
2024年に発表した本作『カフネ』は発売時より話題になり、既に第8回未来屋小説大賞や第1回「あの本、読みました?」大賞を受賞。さらに、2025年本屋大賞の候補作にも選出されています。
📙2025年本屋大賞ノミネート御礼📙
『カフネ』の著者、阿部暁子さん(@abeakiko_4031)からメッセージ動画が届きました!
素敵な笑顔にほっこり☺️毎日の生活を回していくのはシンプルだけどとても大変。頑張っている自分を大切にしてあげられますように。そんな暖かい希望が詰まった物語です。 pic.twitter.com/z5mlQVN2Fn
— 講談社 文芸第二出版部 (@kodansha_piece) February 14, 2025
『カフネ』の主人公は、夫と離婚し、さらに弟を亡くした薫子。荒んだ生活を送っていましたが、弟の元恋人・せつなが働く家事代行の仕事を手伝っていく中で、せつなの料理を通じて、だんだんと二人は距離を縮めていく、といった物語です。
※『カフネ』は以下に当てはまる人におすすめ!
・料理が好きな人、大好きな食べ物に癒される人
・女性同士の友情や家族の絆がテーマの小説を読みたい人
・2025年本屋大賞の候補となった話題作をチェックしたい人
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3分で分かる『カフネ』のあらすじ【※ネタバレなし※】
野宮薫子は、カフェで待ち合わせしている。相手は、死んだ弟・春彦の元恋人である小野寺せつなだ。せつなはかなり遅刻してきたが、悪びれる様子はない。春彦の死因を聞いてきたが、心不全ということになっている。
春彦は死ぬ前に遺言書を書いており、そこにはせつなも財産の一部を相続するよう書かれていた。しかし、その旨を伝えられたせつなは、受け取る気がないという。その後も言い合いのようなやりとりを続けるが、そこでふと薫子が立ちくらみを起こして倒れてしまう。
薫子は不妊治療を続けていたが妊娠できず、それが原因かは分からないが、夫に離婚を切り出されてバツイチになっていた。さらに、弟の突然死が重なり、お酒に頼る荒れた生活を続けていた。
せつなは薫子の自宅マンションまで付き添い、薫子が休んでいる間に料理を作った。せつなは家事代行サービス会社「カフネ」で、料理専門の仕事をしていたのだ。
その後も、せつなの作る料理を通じて、薫子とせつなの距離はだんだんと縮まっていく。薫子は掃除担当として、せつなとタッグを組み、「カフネ」の仕事を手伝うようになった。無償で家事を代行する取り組みのなかで、二人は様々な事情を抱える家庭を訪ねていく。
かつては春彦もせつなとともにカフネの仕事に加わっていたという。弟はそこで何を感じていたのだろうか。活動を続ける中、生前の春彦やせつなが抱える秘密が分かっていき、さらに春彦の死の真相にも近づいていく……。
『カフネ』の主な登場人物まとめ
『カフネ』の主な登場人物について、まとめました。
・野宮薫子:本作の主人公。法務局勤務。不妊治療を行っていた中、夫と離婚する。41歳
・野宮春彦:薫子の弟。29歳で突然亡くなる。死因は「心不全」とされる
・小野寺せつな:弟の元恋人。家事代行サービスの会社勤務。料理専門。29歳
・常盤斗季子:愛称はトキさん。家事代行サービス会社「カフネ」社長。43歳
・滝田公隆:薫子の元夫。弁護士。薫子に急に別れを切り出した
・薫子の父
・野宮桜子:薫子の母。せつなをあまり快く思っていない
・港航一:春彦の同僚。息を引き取っていた春彦を見つけた
『カフネ』のネタバレ解説&考察まとめ
ここからは『カフネ』の魅力を深掘りするために、タイトルの意味、作品の魅力、ラストシーンのネタバレ考察などを行います。
タイトル「カフネ」の意味とは?
「カフネ」は、小野寺せつなが働く家事代行サービスの会社です。この仕事を通じて、薫子とせつなの距離が徐々に縮まっていきます。なお、カフネの意味については、作中に以下のような記述が出てきます。
社名の『カフネ』はポルトガル語で「愛する人の髪にそっと指を通す仕草」を表すらしい。ロマンチックで、薫子は好きだ。
引用:『カフネ』本文より
これは、ラストシーンでの重要な場面につながってきます。その点については次の章で詳しく触れていきましょう。
弟の死の真相は?薫子とせつなの関係はどうなる?ラストシーンをネタバレ考察
ここではラストシーンについて考察した文章をのせます。ネタバレとなるので、作品を一読した人だけ、下記をクリックして読んでみてください。
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【ラストまでの簡単なあらすじ要約】
物語が進むにつれて、春彦は味覚障害を患っており、さらに同僚の港航一と交際していたことが分かる。また、春彦は人道支援団体で働く意志があったため、事前に遺言書を作成していたのであって、突然死が自死ではないことも判明する。
せつなは、両親を傷つけないようにカモフラージュするための、偽の恋人だったのだ。そして、せつなにもある秘密が判明する。彼女は慢性白血病を患っていたのだ。
ラストシーンでは、薫子がせつなを養子にして見守ると宣言する。せつなはそれを拒絶する姿勢を見せるも、最後はお互いの髪にそっと指を通す場面で終わった。
【考察】
ラストは、タイトルの持つ意味が投影される良い場面でした。亡くなった春彦や、今まで大切に育ててくれた両親の分まで愛そうという、薫子の強い決意が感じられるシーンで、胸が熱くなった人も多かったのではないでしょうか。
『カフネ』は映画化・ドラマ化される?実写化された時のキャストを予想してみた
『カフネ』は映画化やドラマ化されたら、話題になりそうですね。内容的には連ドラではなく、映画化、もしくはNHKで全3回ほどのドラマ化の方が可能性が高そうです。
2025年2月時点では、まだ実写化のニュースはありませんが、もしそうなったらキャストはどうなるか、予想してみました。
・野宮薫子:満島ひかり
・野宮春彦:赤楚衛二
・小野寺せつな:石橋静河
・常盤斗季子:麻生久美子
・滝田公隆:風間俊介
いかがでしょうか。皆さんは誰を予想しますか?
『カフネ』の続編は?スピンオフ短編を発表予定
『カフネ』をラストまで読んで、続きが気になっている人もいるかもしれません。今のところ続編は予定されていませんが、あるインタビュー記事の中で、スピンオフ短編を執筆中との情報があります。
本を閉じた後も余韻に浸っていたくなる作品。実は本作のスピンオフ短篇を執筆予定とのことで、そちらも楽しみだ。
引用:阿部暁子さん『カフネ』*PickUPインタビュー* | 小説丸
スピンオフということで、薫子以外のキャラクターが主人公の作品になりそうです。春彦が生きていたころの話でしょうか。どうなるか分かりませんが、発表を楽しみにしておきたいですね。
『カフネ』の感想やレビューまとめ
ここからはSNSやレビューサイトに寄せられた『カフネ』の感想をまとめました。
#カフネ/#阿部暁子
世の中には、傷付いて来たから傷付ける人も居れば、その逆に同じ痛みを感じさせまいとする人達が居る。この小説に出てくる人たちは後者だ。料理で相手のお腹だけではなく心も満たして行く。自分の周りの人達が心から笑えているのか確かめたいと思った。#読了 pic.twitter.com/D1gTUYNpnt— taka_olson (@taka_olson) February 18, 2025
良い本だったな…文字で心が満たされる感じ。
色んなテーマが練り込まれてるけど、ちゃんとまとまっている。生きる為にきちんと食べる。丁寧な暮らしがしたくなったし、美味しいなって味わって食事がしたくなる。
優しくて切なくて温かい。人生に寄り添ってくれる本だね📖´- pic.twitter.com/dIBBW1tRFP— Nao📖読書とノート✍🏻🤍⸝ (@nao_nichijo13) February 18, 2025
作家の言葉というか本作が凄いなぁと思うのは、あれほど何もものが食べられなくなった家内が、本作を読んで「肉が食べたい!」と思い、すぐ買いに出たそうです。心身とはつながったものですが、心を変えることによって身体を変えたということでしょう。
一連の偶然にたいへん感謝しております。
引用:Amazon
「カフネ」阿部 暁子 著
#読了一緒に生きよう あなたがいると、きっといとおしい。
凄く良い作品!
後半の展開は、胸が締め付けられうるうる状態だったけど、素敵なラストが待ってた!
この作品に出会えて良かったぁ! pic.twitter.com/y3gWT3mPRx— 哲@読書垢🐥⸒⸒🔖 (@tetsu0925books) February 23, 2025
まとめ:『カフネ』は主人公と弟の元恋人の距離が縮まる小説だった
いかがでしたか?『カフネ』の特徴を以下にまとめました。
・2025年本屋大賞候補作
・おいしそうな料理がたくさん出てくる
・家事代行を通じて、様々な人と出会い、成長していく
・せつなや弟が抱える秘密が明かされていく行程がおもしろい
以上です。まだチェックしていない方は、ぜひ読んでみてください!
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