5分で分かる「雷神」のあらすじ・感想まとめ【結末ネタバレあり】

道尾秀介さんが「以前の自分なら書けなかった」と語るほどの自信作「雷神」。幾つにも絡んだ謎が伏線回収される傑作ミステリー小説です。まだ読んでない方に向けて、簡単なあらすじや感想をご紹介。さらに一度読んだ方に向けて、詳しいあらすじやラスト(結末)について解説します。ネタバレ部分はクリックしないと見られない仕様にしているので、最後まで安心して読んでみてください。

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道尾秀介の小説「雷神」とは

書名 雷神
作者 道尾秀介
出版社 新潮社
発売日 2021年5月26日
ページ数 384ページ

道尾秀介さんが放つミステリーの最新作(2021年時点)。「雷神」はタイトルに「神」がつくように、作者がこれまで度々取り上げていたテーマに挑んだ小説となっています。「龍神の雨」、「風神の手」と並び、「神」三部作の一つとも言える作品です。

謎がいくつも絡んでおり、仕掛けられた伏線が最後にそう回収されるのかと、驚愕の展開が見事。最後まで息つく暇なく楽しめますよ。

「雷神」の主な登場人物

あらすじの紹介に至る前に、簡単な登場人物の紹介をいたします。

【藤原一家】
藤原幸人:埼玉で小料理屋を経営
藤原悦子:幸人の妻。15年前に事故死
藤原夕見:幸人の一人娘。19歳
藤原亜沙実:幸人の姉
藤原南人:幸人の父。居酒屋「英」経営。30年前の毒殺事件の犯人だと疑われる
藤原英:幸人の母。31年前に川で不審死を遂げる

【新潟県羽田上村】
太良部容子:雷電神社の宮司。30年前の毒殺事件の後に自殺
太良部希恵:神社の一人娘
富田:農協職員。幸人の母の死体の第一発見者
清沢照美:幸人たちが村を訪れた際に事件について答えてくれた村人
彩音:写真家。幸人たちが泊まった旅館の宿泊客

【村のしんしょもち(権力者)4人】
黒澤宗吾:毒殺事件に遭うが、生き残る
荒垣猛:30年前の毒殺事件により死亡
篠林一雄:30年前の毒殺事件により死亡
長門幸輔:毒殺事件に遭うが、生き残る

「雷神」の簡単なあらすじ【※ネタバレなし※】

15年前。藤原幸人の一人娘の夕見は、植木鉢を太陽にあてようとしてベランダの手すりの脇に置いていた。するとその植木鉢が落ちて、それがきっかけで妻の悦子は事故死した。幸人は娘にこのことをずっと秘密にしていた。

ある日、家に電話がかかってきて「娘がやったこと、それを隠していることを知っている。金を払わないと娘に全部バラす」と脅される。

31年前。新潟県羽田上村である事件が起こっていた。幸人の母が川で倒れていたところを発見され、そのまま亡くなった。それから一年。母の一回忌が行われた。その日は朝早く雪が降っていた。そして翌日には雪に追いつくように、今度は雷が鳴り響いていた。

その日、姉の亜沙実が雷に打たれ、幸人も巻き添えを食っていた。さらに同じ日に村のしんしょもち4人が救急車で運ばれた。荒垣猛と篠林一雄は亡くなり、黒澤宗吾と長門幸輔が生き残った。死因は山中に生える毒キノコを食べたからだった。

その日は村の伝統祭「神鳴講」が行われており、そこで出されたコケ汁に毒キノコが混入されていたのだった。その後、雷電神社の宮司の太良部容子が自殺し、毒殺事件の犯人だと思われた。容子の娘の希恵は、その噂を必死で否定した。

容子が居酒屋「英」を訪れていたのを知り、父に詰め寄るとある手紙を渡される。それは容子からの手紙で「あなたが雷電汁の鍋に毒キノコを入れていたのを見た」旨を書かれていた。

父は警察から取り調べを受けた。父は神鳴講当日は一度も家を出ていないと犯行を否定した。雷に打たれてしばらく意識が無かった姉が目覚めた際に「父はずっと家にいた」と証言し、事件は迷宮入りした。

しかし実は姉は嘘の証言をしていた。父がずっと家にいたかどうかは不明で、とっさにかばった発言だった。また父は「間違ってねぇ」と呟くなど怪しげな点があり、幸人は父が犯人ではないと信じているものの、まだ疑念がすっきりと晴れた訳ではない…。

「雷神」の詳しいあらすじ【※ネタバレあり※】

続いて詳しいあらすじについて解説します。ネタバレを含むので、肝心なところは隠しコマンド(クリックをしないと見られない仕様)にしています。
・母の不審死の真相
・手紙に隠されたトリック
・30年前の事件の犯人は本当に父なのか?
・脅迫者は誰なのか?
・神とは何なのか?(小説のテーマ)

このあたりについて詳しく述べていきます。

※ネタバレ部分は隠しコマンドになっています。※

母の不審死の真相とは?

31年前に川で不審死を遂げた母・藤原英。彼女の死の真相とは?

ネタバレしていいから母の死の真相を知りたい方はこちらをクリック!

母は村のしんしょもち4人に乱暴をされ、それから逃げた先で冷たい川に入り、死んでしまったのだった。そしてこのことがそれから1年後の毒殺事件へと繋がっていた

容子から父に渡されていた手紙に隠されたトリックとは?

容子から父に渡された手紙にはあるトリックが仕掛けてあると、物語を読んでいくと示唆されます。手紙は第6章の終わり(314ページ)に画像として掲載されています。相当勘が良くない限りは、このトリックには気づきにくいので、物語を読み進める前にこの画像を確認して、トリックが何か考えるのも良いでしょう。下記にまずはヒントだけ記しておきます。

手紙のトリックについてヒントを知りたい方はこちらをクリック!

手紙にはあるトリックが仕掛けられていた。それはある漢字に二画を足すと、別の漢字になるという仕掛け。「日」→「百」、「口」→「四」などがその一例。手紙をよく見ると、不自然に二画書き足されていると思われる箇所が…

続いて手紙のトリックについて明かします。これが分かると、物語の核心部分に触れてしまうので、まだ読んでない方は見ない方が賢明です。一度読んだ方で「何だったか復習したい」人向けにどうぞ。

手紙のトリックを知りたい方(※重大なネタバレあり※)はこちらをクリック!

手紙をよく見ると、「雪」に二画足されて「雷」になっている。なぜか?雪が降った日は村の祭「神鳴講」の前日。雷が鳴ったのは「神鳴講」当日。すなわち犯行が「神鳴講」当日に行われたと偽る目的があったのだ。

毒殺事件の犯人は本当に父なのか?事件の真相とは

手紙のトリックが分かったら、いよいよ事件の真相に近づきます。

毒殺事件の真相を知りたい方はこちらをクリック!

手紙をカモフラージュしたのは父だった。父は毒キノコを入れたのが、姉の亜沙実だと気づいていたのだ。父は娘の代わりに自分が犯人になろうと決意したのだった。(結果的には逆に姉が父の無実を証言したため、無罪となった)

娘の件で脅迫してきたのは誰だったのか?

娘の夕見が妻・悦子の事故死に関連していることをバラすと脅迫してきたのは誰だったのでしょうか?

脅迫者が誰か知りたい方はこちらをクリック!

脅迫者は篠林雄一郎(篠林一雄の息子)だった。篠林雄一郎は希恵の日記(希恵は毒殺事件の全貌を既に掴んでいた)を盗み、30年前の毒殺事件を起こした犯人を知っていた。つまり、この脅迫「娘が犯した事件を知っている」には2つの勘違いが起きていた。

篠林雄一郎は電話をかけた相手を父の南人だと勘違いしていた。
事件→30年前の毒殺事件
娘→南人目線で娘である、亜沙実のこと

幸人は別の事件について脅迫されていると勘違いしていた。
事件→15年前の悦子の事故死
娘→幸人の娘である、夕見のこと

ちなみに篠林雄一郎は羽田上村で幸人を見つけて脅迫するが、その際に崖から突き落とされて死ぬ。物語中盤ではこの突き落とした犯人は幸人じゃないかと思わされるように書かれるが、これはミスリード。実はその場に密かに居合わせていた亜沙実が、衝動的に殺していたのだった。

「神様は本当にいるのか?」という命題について

最後に、本の帯に書かれている「神様って、ほんとにいるのかな?」というテーマについて。物語では重要な命題として書かれています。一部引用しながら、ラスト一文の重要な文章、伏線となった場面、伏線回収されている箇所などを明示しながら解説していきましょう。

物語のテーマについて詳しく知りたい方はこちらをクリック!

「神様」の存在について重要な意味を持つのが、宮司の娘である希恵のセリフ。

手をふれる勇気が持てないものを、神様と言い換えていただけです
引用:「雷神」373ページ

希恵は毒殺事件の犯人が亜沙実だと気づきつつも、けっきょくは怖くて何もできなかった。それが後々の悲劇(その後に黒澤宗吾も殺され、亜沙実も死んだ…)に繋がった。小説の目次ページにプラトン「国家」の一節がある伏線のようにして記載されているが、この希恵の心境を明かすシーンで伏線回収となっていた。

最後のラストの一文はこう締めくくられている。

この世には、どんな神様もいない。
引用:「雷神」383ページ

物語の流れから、幸人は娘に真実を打ち明けようとしているとも考察できる。どう受け止めるかは読者の判断に委ねられるだろう。

SNSに寄せられた「雷神」の感想まとめ

続いてSNSに投稿されている「雷神」の感想を紹介していきます。

お笑い芸人・インパルスの板倉さんが感想を投稿しています。

巧みなトリックにみなさん感心していますね。

まとめ:「雷神」は「神」をテーマにした巧みなミステリー小説だった!

いかがでしたか?「雷神」について簡単にまとめます。

・神をテーマにした三部作の一つ
・父が本当に犯人なのか?結末までドキドキ
・手紙に仕掛けられたトリックとは?謎解き感覚で楽しめる
・二重の仕掛けが見事!伏線を見逃すな

以上です。道尾秀介さんの新たな到達点とも言える一作です。未読の方はもちろん、一度読んだ方も再度読んでみてください。

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