3分で分かる「ペッパーズ・ゴースト」のあらすじ&伏線回収のネタバレ解説&感想まとめ

意外な伏線に感心させられる、伊坂幸太郎さんの最新作「ペッパーズ・ゴースト」。今回はこの小説のあらすじを紹介。さらにネタバレ込みで、伏線回収についても詳しく解説します。さらに読者の方々の感想も併せてまとめましたので、最後までぜひ読んでみてください。

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伊坂幸太郎の小説「ペッパーズ・ゴースト」とは

書名 ペッパーズ・ゴースト
作者 伊坂幸太郎
出版社 朝日新聞出版
発売日 2021年10月1日
ページ数 430ページ (Kindle版)

伊坂幸太郎さんによる最新作(2021年冬時点)の「ペッパーズ・ゴースト」では、今回も伊坂ワールドがいつにも増して炸裂しています!未来予知、野球、猫、ニーチェの哲学など…。伊坂さんが好きな要素が詰め込まれた、宝箱のような小説です。

伏線の配置もさすが!今回は小説内小説という、伊坂さんにとっては珍しい構造をとっていますが、それが意外な形で本編にも絡んできます。一度読んだだけでは気づけなかった部分もあるかと思うので、そういった伏線回収部分についても本記事では詳しく解説していきますね。

※「ペッパーズ・ゴースト」は以下に当てはまる人におすすめ!
・伊坂ワールドが好きなファンの方
・未来予知、野球、猫、ニーチェ…このどれか一つでも好きな方

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「ペッパーズ・ゴースト」のあらすじ【※ネタバレなし】

中学校の国語教師・壇千郷(だん ちさと)は、教え子が書いた小説原稿を受け取る。そこには<猫ゴロシ>にかかわっていた人物をこらしめる、ネコジゴハンターなる2人の物語が描かれていた。

また、壇には飛沫感染することで感染元の人間の翌日の様子を<先行上映>する不思議な能力が身についている。ある日、教え子の父親がトイレに監禁されている<先行上映>を見たことで、彼を助けようとする。サークルと呼ばれるグループのメンバーにかかわり出した壇は、思わぬ事件に巻き込まれていく…。

「ペッパーズ・ゴースト」のあらすじ【※ネタバレあり】

「ペッパーズ・ゴースト」は2つの物語が並行する形で、小説は進んでいきます。一つは壇の教え子が書いた、ネコジゴハンターが登場する小説内小説。もう一つは、壇が<先行上映>を通じて巻き込まれていく事件です。

「ペッパーズ・ゴースト」の詳しいあらすじ【前半部分】

この二つは物語中盤からまさかの絡み方をしていくのですが、その辺りはネタバレになるので詳しく知りたい方は以下をチェックしてみてください。まずは前半部分から。

※以下をクリックするとネタバレ部分が確認できます。小説をまだ読んでない方は見ないで下さい!!※

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壇は教え子の里見大地の父親・里見八賢がトイレに拘束されているのを<先行上映>で知る。拘束したのはここ最近知り合ったサークルと呼ばれるグループのメンバーだ。彼らは過去に起きたカフェ・ダイヤモンド事件で、身内を殺された被害者たちだった。

カフェ・ダイヤモンド事件は、人質になった者たちが犠牲になった事件。当時、生中継をしていた番組で無神経なMC・マイク育馬の発言のせいで、人質たちは命を落としていた。そのことを恨む、サークルのメンバー・野口勇人らはマイク育馬に復讐する機会を窺っていた。

中盤からサークルのメンバーである、成海彪子の語りも挿入される。サークルのメンバーはカフェ・ダイヤモンド事件を引きずっていたが、元小学校校長の羽田野がニーチェの「一つでも魂が震えるほどの幸福があれば」という言葉を引き合いにして人生に希望を見出していた。しかしそんな羽田野が飲酒運転に巻き込まれて亡くなり、サークルのメンバーは絶望する。そして爆弾テロ事件を起こして何もかもを失うように決めたのだった。

サークルのメンバーを警戒していた壇は名前と職業を偽って彼らと近付くが、不信感を抱かれ拘束されてしまう。絶体絶命の中、壇の前に現れたのは、教え子の小説の中に登場していた2人の人物、ロシアンブルとアメショーだった。

「ペッパーズ・ゴースト」の詳しいあらすじ【後半部分】

続いて詳しいあらすじの後半部分です。壇の運命は?ラストにかけての怒涛の展開を振り返ってみましょう。

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壇は、ロシアンブルとアメショーの登場に驚く。教え子の布藤鞠子が書いた小説は、実話に基づいた内容だったのだ。布藤鞠子の父親は<猫ゴロシ>にかかわった人物であり、鞠子は父がネコジゴハンターの2人に襲われるのを目撃していた。

ロシアンブルとアメショーは、サークルメンバーである野口勇人が<猫ゴロシ>にもかかわっていたため、彼をずっと追っていたのだった。拘束から解かれた壇は<先行上映>で、サークルメンバーたちが爆弾テロを起こすのを知っていた。テロに野口勇人が絡んでいるのを告げ、3人でテロ事件が起こるやすらぎ胃腸クリニックへ向かう。

壇、ロシアンブル、アメショーの3人はやすらぎ胃腸クリニックに乗り込もうとした際、サークルメンバーに見つかり拘束されてしまう。しかし彼らは里見八賢が拘束された事実を知らず、野口が単独で起こした行動だと発覚する。

同時に拘束をなんとか振り解いたロシアンブルたちだったが、野口を取り逃がしてしまう。野口はいまだにマイク育馬に恨みを持っていた。壇、ロシアンブル、アメショー、そしてサークルメンバーの成海彪子と一緒に野口を追った。

「ペッパーズ・ゴースト」の詳しいあらすじ【結末部分】

最後に、「ペッパーズ・ゴースト」のラストについて詳しく記述します。どんな終わり方だったか忘れた方は、以下を読んでおさらいしてみましょう。

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壇は<先行上映>で、野口が野球観戦に来ていたマイク育馬を襲う場面を見る。そこで壇たちは野球場に乗り込み、間一髪のところで野口を捕まえる。しかしその際にロシアンブルが野口に撃たれてしまう。また、野口はマイク育馬を殺そうとしたのではなく、火傷跡を負わせて一生消えない傷とともに生かせようとしていたことが明かされる。

一方、爆弾テロ事件の方は、警察が強行突入して爆破が起きるという結末を迎える。しかし人質は民間人ではなく、サークルメンバーの一員だった。

この爆弾テロ事件にも裏話があった。実はサークルのリーダーである庭野が、今後このような事件が二度と起きないようにと警告の意味を込めて人質が死ぬ「パフォーマンス」が行われていたというものだ。人質が死んだように見せかけ、実はメンバーはまだ生きているのではないかという仮説が述べられた。これはタイトルの「ペッパーズ・ゴースト」の意味、「死んだと思っていた人物が、幽霊のようにして生きている」と重なってくる。

ラストはまた壇の<先行上映>が流れる。そこで偶然、ロシアンブルとアメショーらしい2人の会話が聞こえてきた。2人は無事生きていることが分かり、小説は幕を閉じた。

「ペッパーズ・ゴースト」の伏線回収について

伊坂幸太郎ワールドを堪能する上で、欠かせないのが巧みな伏線回収の仕方ですね。「ペッパーズ・ゴースト」でも、そんな彼の仕掛けは健在!ここでは伏線回収について詳しく迫っていきます。

「ペッパーズ・ゴースト」の伏線は冒頭から既に仕掛けられていた!

「ペッパーズ・ゴースト」の伏線は、実は冒頭の小説内小説、ロシアンブルの語りの場面から既に隠されていました。ただし明らかな伏線として匂わせるというよりは、物語を全て読んで上で読み返すと、あーこれが後半のあの場面に効いてくるのか!というヒントになるような仕掛けです。

つまり伏線回収というより、伏線配置といった方が正しいかと思います。そんな伏線についてはネタバレになるので、以下クリックして読めるようにしています。どんな伏線だったが、そしてその仕掛けが後半どう活かされたのか、記述していきます。

ネタバレしていいから冒頭の伏線部分について知りたい方はこちらをクリック!

【伏線1】

「同じ要件で会った、別の男性だよ。ネコジゴの一人だったんだ。(中略)あの時は家族が家にいるのに気づかなくて、ちょっと困ってしまったけれど」
引用:「ペッパーズ・ゴースト」単行本7ページより

アメショーがネコジゴを襲った時に言ったセリフです。この時の家にいるのに気づかなかった家族こそが、布藤鞠子。壇が読んだ小説の作者です。鞠子はこの時に盗み聞きした2人の言動をもとに、小説を書き上げたのでした。

【伏線2】

罪村「自分もイーグルスファンなんだ(中略)五年前のリーグ優勝記念のグッズも持っている(中略)記念切手」
アメショー「切手といえば(中略)切手って舐めるでしょ」
引用:「ペッパーズ・ゴースト」単行本11・12ページより

ロシアンブルとアメショーは大のイーグルスファン。ジャイアンツの天童選手に国内ホームラン記録を塗り替えられる可能性がある試合が、最後の野口を取り押さえる場面になってきます。

野口がマイク育馬を襲うのを<先行上映>で知りますが、どうやって壇が飛沫感染(<先行上映>には対象者からの飛沫感染が必要になるため)するかという場面で、先のシーンが活きてきます。壇はチケットを譲ってもらった売り子に切手を舐めてもらうことで、彼女を通じて<先行上映>を見られるようになったのです。

ニーチェの「ツァラストゥトラ」にまつわる伏線

「ペッパーズ・ゴースト」では重要なモチーフとして、ニーチェの「ツァラストゥトラ」が出てきます。伊坂幸太郎さんがあとがきで「解釈が非常に難しい」と述べていますが、小説ではニーチェにまつわる伏線がいくつか仕掛けられて、うまく回収されています。

ネタバレしていいからニーチェにまつわる伏線部分について知りたい方はこちらをクリック!

すべての「そうだった」を「俺はそう望んだのだ」につくり変える
引用:「ペッパーズ・ゴースト」単行本259ページより

これはサークルメンバーたちの回想シーンですが、後半の壇の行動に活きてくる考え方です。壇は拘束から解かれて自由になったものの、自分にはまだ使命があると思い、野口の後を追います。その際に壇は以下のような境地になるのです。

この人生を永遠に繰り返すとしたら。ニーチェの話を思い出した。ここで逃げてしまった人生を、もう一度!と思えるだろうか。
(中略)
「檀先生、行きますよ」(中略)「追いかけないと」
答えたつもりが声がかすれた。「そうですね」と声を強めた。「追いかけます」
仕方がなく、ではなく、私はそれを望んだのだ。
引用:「ペッパーズ・ゴースト」単行本282・283ページより

このような境地は、今から希望を持って人生を歩むための重要な心得にもなってきますね。

またニーチェの言葉は、サークルのメンバーが企てた爆弾テロ事件に新たな意義を与えています。ここは中途半端に引用しても意味が伝わりづらいため、もう一度ラスト部分だけでも読み返してみることをおすすめします!単行本の376〜378ページをぜひ読んでみてください。

「ペッパーズ・ゴースト」の感想まとめ

ここからは「ペッパーズ・ゴースト」の感想をまとめました。まずはさとなり編集部が読んだ上での感想を書き、そしてSNSに投稿された感想を紹介します。

さとなり編集部による「ペッパーズ・ゴースト」の感想

伊坂幸太郎さんが好きな要素が詰め込まれていて、作家自身が楽しんでいる印象を受けました。インタビューではもともと宇宙人をテーマに描こうとしていたらしいですが、テーマが複雑になりそうなため頓挫したそうです。次はぜひ宇宙が舞台のスケール感が大きい小説を読んでみたいですね。

宇宙人は難しいにしてもSFっぽい要素を残そうとした結果、中学教師の未来予知能力が描かれたそうです。しかし単なる未来予知でおわらないのが、伊坂幸太郎の流儀。他人の飛沫を媒介して<先行上映>するという仕掛けは、コロナを逆手にとったようなもので面白いですね。

ロシアンブルとアメショーの2人の活躍はスカッとしました。いわゆる「バディもの」ですが、消極的な考えのロシアンブルと楽天的なアメショーのやりとりに終始笑わされました。最後の終わり方もさすがと感じましたね。

本屋大賞の常連でもある、伊坂幸太郎さん。気が早いですが、2022年の本屋大賞の有力作とも言っていいでしょう。なお2021年本屋大賞TOP10に入った伊坂幸太郎さん著の「逆ソクラテス」については以下の記事でまとめていますので、併せてチェックしてみてください!

伊坂幸太郎さんの「逆ソクラテス」についてまとめた記事をチェックしてみる

SNSに寄せられた「ペッパーズ・ゴースト」の感想まとめ

続いてはTwitterに投稿された「ペッパーズ・ゴースト」の感想を紹介します。

小説内小説を使った、巧みな仕掛けが面白いです!

ロシアンブルとアメショーの2人のやりとりが気に入った方は、伊坂幸太郎さんの「マリアビートル」もおすすめです!

まとめ:「ペッパーズ・ゴースト」は伊坂さんの好きな要素が詰め込まれた傑作だった!

いかがでしたか?「ペッパーズ・ゴースト」について、まとめました。

・未来予知、野球、猫、ニーチェなど、多くの要素が詰め込まれた小説
・小説内小説が思わぬ仕掛けを発揮する作品
・2022年の本屋大賞有力作?

まだ読んでない方はもちろん、一度読んだ方もどんな伏線が張り巡らされていたのかチェックする意味で、もう一度読み返してみましょう!

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