3分で分かる「女人入眼」(永井紗耶子)のあらすじ&ネタバレ解説・感想まとめ【第167回直木賞候補作】

第167回直木賞候補作「女人入眼(にょにんじゅげん)」(著:永井紗耶子)はもうチェックしましたか?今回はこの小説のあらすじをご紹介します。鎌倉時代の歴史が好きな人はぜひ読んでほしい一作。多少のネタバレを含む作品解説や、筆者の感想なども書きますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

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永井紗耶子の小説「女人入眼」とは

書名 女人入眼(にょにんじゅげん)
作者 永井紗耶子(ながいさやこ)
出版社 中央公論新社
発売日 2022年4月7日
ページ数 307ページ

第167回直木賞の候補作に選ばれた小説「女人入眼(にょにんじゅげん)」。今回の直木賞候補作のうち唯一の歴史小説で、鎌倉時代を舞台にしています。現在NHKで放送されている大河小説「鎌倉殿の13人」の登場人物と重なり、合わせて楽しめる作品です。

「女人入眼」は、鎌倉幕府最大の失策と呼ばれる「大姫入内」にまつわる話です。物語は大姫を入内するように命令された、周子の視点で進んでいきます。自分が産んだ大姫を入内させようと目論む北条政子の毒親ぶりが凄まじく、読み応えがあります。

※「女人入眼」は以下に当てはまる人におすすめ!
・NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を見ている人
・毒親が出てくる小説が好きな人
・第167回直木賞候補作となった話題の本をチェックしたい人

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3分で分かる「女人入眼」のあらすじ【※ネタバレなし※】

政所別当・大江広元の娘である周子は、鎌倉へと派遣される。その目的は、朝廷側からの図らいで大姫を入内させるため。だが当の大姫には気鬱の症状があり、入内には前向きでないと分かる。

しかし大姫の母である北条政子は、大姫を入内させるために執念を見せる。大姫の入内に邪魔になる人物は容赦無い制裁を加えるなど、毒親ぶりを見せつける政子。それに逆行するように、大姫はさらに病がちになり…。

大姫にずっと付き添う周子の起こしたある行動により、大姫の運命は大きく変わりだす…。

「女人入眼」のネタバレ解説&考察まとめ

ここからは「女人入眼」のさらなる魅力を深掘りするために、ネタバレを含みながら作品解説していきましょう。ラストの展開など、物語の重要な部分のネタバレ部分については隠しています。中身を見て大丈夫な方だけ、クリックして確認するようにしましょう。

タイトルの「女人入眼」の意味とは?鎌倉時代の時代背景を知ろう

タイトルの「女人入眼」は「にょにんじゅげん」と読みます。聞き馴染みのない言葉ですが、まずこの意味について述べる前に作中で何度も出てくる「入内(じゅだい)」とは何か解説しましょう。

簡単に言うと、入内とは天皇と結婚をすること。当時は天皇と親族関係になることで、一族が巨大な力を持ち、政治をしやすかった時代。鎌倉の源氏は、京都の天皇とはまだ強い繋がりを持っていなかったため、京都にいた周子を鎌倉へと派遣して大姫入内へと持ち込もうと画策します。

このような鎌倉時代の動乱を知るのに役立つのが、現在放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」です。登場人物が「女人入眼」と重なり、もちろん北条政子、大姫などはドラマにも登場しています。

大河ドラマは男性が中心ですが、「女人入眼」では女性中心で描かれています。タイトルの「女人入眼」とは、女性が大仏に眼を入れる行為を指します。

大仏は眼が入って初めて仏となるのです。男たちが戦で彫り上げた国の形に、玉眼を入れるのは、女人であろうと私は思うのですよ
引用:「女人入眼」本文より

これは実質的な政治を女性が操っていた、ともとれるような発言です。戦が治って平静となっていたこの時代に起こった、女性たちによる静かな争いが物語で描かれています。

北条政子の毒親ぶりが凄い!親子の関係性に注目しよう

物語を読む上で注意してほしいのが、北条政子と大姫の関係性です。政治の実権を握ろうと必死の北条政子は、独裁的な振る舞いをします。大姫の入内のためならなりふり構わない姿勢は、まるで現代に生きる「毒親」を彷彿とさせます。

北条政子の思惑とは違い、大姫は天皇との結婚を望んでいません。大姫にはかつて恋した人物がいましたが、殺されてしまいました。それから気鬱の病を発症し、何かと塞ぎ込みがちとなっていたのです。

しかしそんな大姫の気持ちなど構わず、暴走する北条政子。大姫が泣いていたと知れば、詳しい理由を聞かず泣かせた者をあろうことか殺害してしまうほど。政子が暴走すればするほど、塞ぎ込む大姫。周子はそんな大姫の心を開こうとするのですが、そんな彼女の行動により思わぬ結果へと導かれていくのです。

ラストの描写から物語の主題を読み解く

周子は大姫の心を開き、そこである行動を思い立ちます。そこからのラストの展開には、かなり緊張感がありました。ネタバレとなるので、大丈夫な方だけ以下をクリックしてください。

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周子は北条政子に大姫の本心(天皇と結婚したくないと思っていること)を告げます。しかし北条政子は間に受けず、それどころか周子に危機が及びます。

大姫は自分の行動が、周囲に迷惑をかけると悟ります。そこで北条政子一人だけに責任が降りかかる状況で、こっそり家を抜け出します。そして入水自殺を遂げるのでした。

周子は北条政子の行動を振り返り、こう思い至るのです。

周子は改めて、政子を見上げる。子らを失って尚、凛として立つ姿には、悲哀よりも闘志が勝る。
過たぬ政子は、母として強いのではない。妻として強いのではない。この人はただ、ありのままに強いのだ。
引用:「女人入眼」本文より

自身の過ちを認めない北条政子は、一人の女性として称賛すべき者ではないでしょう。しかしそうでなくては生きていけぬ、この時代特有の厳しさがあったのでしょう。終盤には以下のような描写が書かれています。

安寧は何処にあるか。
苦界からは逃れられるか。
幾度となく天に問うが答えはない。
(中略)
入眼された国の眼差しに慈悲の光が宿る日が訪れるよう、周子は何処へともなく目を閉じて祈り、そして再び歩き始めた。
引用:「女人入眼」本文より

「女人入眼」を読んでみた感想

ここからは「女人入眼」を読んだ上での筆者の感想、そして読者の評価やレビューをまとめていきます。

【筆者の感想】作中に紹介される歌に魅了された

時代小説は普段あまり読まないので、序盤少し読みづらく感じる時がありましたが、後半からはすっと入り込んで最後まで読みました。北条政子の毒親ぶりがエスカレートするにつれて、周子や大姫の運命が気になってしまい、最後まで緊張感がありましたね。

周囲に迷惑をかけぬようにする大姫の健気な姿が忘れられません。自分が泣いてしまうと、泣かせたと思われる大人に迷惑がかかる…。そんな事態を切り抜けようと、大姫は歌を詠むことを覚えます。たとえ現実の出来事に悲しくて泣いていても、歌を詠んで感動したからだと誤魔化すためです。このシーンがとても印象的でしたね。

今作を機に、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」も見てみようと思いました。時代背景をより深く知れば、「女人入眼」の魅力にもさらに気づけるかもしれませんね。

【みんなの感想や評価】鎌倉時代を生きる女性の勇ましさに感服

続いて、読者の方があげた感想や評価を紹介します。

政子からもらった虫かごに入った鈴虫を雨の当たらないところに放す場面がさりげなく書かれているが、そこに味わい深い読後感がありました。
引用:Amazon

史実を紐解きながらの素晴らしい人物描写の作品で、ストーリー展開を楽しみました。特に女性に焦点を当て、周子の視点、北条政子と大姫の母娘の確執や心理描写が、素晴らしかったです。
著者の作品は大ファンで、その視点にいつも感心します。現代に生きる私たちにも、大切な気づきがあります。
引用:Amazon

「女人入眼」は直木賞を受賞できる?ズバリ大予想!

「女人入眼」は第167回直木賞の候補作に選ばれています。今回の記事を書いている段階ではまだ受賞作発表前なので、ここでこの作品が受賞するかどうか予想してみましょう。

鎌倉時代を生きる女性の大変さが、親子の関係性の描写と絡めながらよく描けており、今回唯一歴史小説として選ばれた作品だと納得しました。その点は評価されるでしょう。

ただし前半がやや退屈な展開だったのは、マイナスかもしれません。前半では多くの登場人物が出てきて、その関係性の説明を中心に書かれているのですが、そもそもこんなに人物が出てくる必要があるのかという点で疑問が生まれそうです。

北条政子の毒親ぶりや、周子の行動が起こる後半がよかっただけに、前半がもったいないと感じました。またここ最近は歴史小説が続けて受賞してきたこともあり、それらと比べるとやや評価が落ちそうです。今回は現代小説の方が受賞可能性が高いと思いました。

受賞予想:ー

第167回直木賞の予想記事を読んでみる

まとめ:「女人入眼」は鎌倉を生きる女性の勇姿が印象的な歴史小説だった

いかがでしたか?「女人入眼」の特徴を以下にまとめました。

・鎌倉時代に政治の実権を握ろうと争う女性の姿が描かれる
・北条政子の毒親ぶりが凄い!
・NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」と合わせて読みたい
・第167回直木賞の候補作(受賞予想はー)

以上です。まだチェックしていない方は、ぜひ読んでみてください!

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