「護られなかった者たちへ」(原作)のあらすじ|映画と犯人が違う!結末ネタバレあり

2021年10月1日に劇場公開される映画「護られなかった者たちへ」。今回はその原作(著:中山七里)に注目します。原作のあらすじを紹介した後に、ネタバレとなる衝撃の結末へと至る伏線について解説。また映画との違い(原作とは犯人が違う?)についてもまとめました。原作の読者の感想も終わりの方に紹介していますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

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「護られなかった者たちへ」の原作(著:中山七里)とは

書名 護られなかった者たちへ
作者 中山七里
出版社 NHK出版
発売日 2018年1月25日
ページ数 350ページ (Kindle版)

佐藤健×阿部寛の出演で話題の映画「護られなかった者たちへ」。当初は2020年公開予定も、新型コロナウイルスの影響で公開が延期され、2021年10月1日にロードショーとなりました。

「護られなかった者たちへ」原作の著者は、「どんでん返しの帝王」の異名を持つ中山七里。今作もラストに衝撃の展開が待ち受けている、ミステリー小説となっています。

今作のテーマは「生活保護」。芸能人の身内が生活保護を不正受給していたのではないかとニュースになりましたが、今作「護られなかった者たちへ」ではそんな生活保護の実態が垣間見えます。重いテーマを扱った社会派小説です。

・生活に困窮し、生活保護を受けたいと願う人
・生活保護の承認を決める、役所の人間
を軸に物語は展開します。

また主人公の刑事は、家族を東日本大震災で失った経験を持ちます。作品タイトルの「護られなかった者たちへ」は、生活保護だけでなく東日本大震災など複雑な意味を含んでいます。

どんでん返しミステリーとして楽しめる一方、重厚感がある社会派小説としてずしりとくる、中山七里さんの最高傑作と言ってもいい力作です!

※「護られなかった者たちへ」は以下に当てはまる人におすすめ!
・映画「護られなかった者たちへ」を見て原作が気になった人
・生活保護の実態について知りたい人
・震災後10年が経ち、震災で傷ついた人の話を読みたい人
・どんでん返しのミステリーを味わいたい人

「護られなかった者たちへ」の主な登場人物

【警察関連】
・笘篠誠一郎:捜査一課刑事。妻と子を東日本大震災で亡くしている。
・蓮田:若手の捜査一課刑事。笘篠と共に三雲餓死事件の捜査を行う。
・唐沢:検視官。三雲と城之内の検視を行う。
・東雲:宮城県警の管理官。捜査指揮をとる。

【福祉保健事務所】
・三雲忠勝:第一課課長。一人目の被害者。周囲から人格者と呼ばれる。
・沢見:生活保護申請の窓口担当。しばしば威圧的な態度をとる。
・円山菅生:ケースワーカー。実直に勤務にあたる。
・城之内猛留:現在は県議会議員。二人目の被害者。
・上崎岳大:元所長。現在は「宮城セレブリティ倶楽部」に所属。
・支倉:生活支援班の職員。警察に資料提供を求められる。

【容疑者関連】
・利根勝久:事件容疑者。過去に三雲を暴行し、服役していた。
・櫛谷貞三:利根が出所した際の保護司。
・遠島けい:過去に利根が慕っていた老婆。生活保護がおりず、餓死。
・カンちゃん:利根と同じく遠島けいを慕っていた子ども。
・五代良則:名簿屋。服役中に利根と知り合う。

「護られなかった者たちへ」のあらすじ【※ネタバレなし】

仙台市の古アパートで、手足を塞がれた状態で餓死している人物が発見された。現場の状況から物盗りの可能性は低く、怨恨が理由だと思われる。しかし被害者の三雲忠勝は人格者で知られており、悪い噂が全く出てこない。

捜査に当たった笘篠誠一郎と蓮田は、三雲が勤務する福祉保健事務所を訪れる。そこで三雲がかかわっていたいた生活保護の受給について、ケースワーカーの円山菅生に話を聞く。そして役所に勤める人間の葛藤や、生活困窮者のリアルな惨状を思い知る。

しばらくして、今度は県議会議員の城之内猛留が同じ手口で殺される。城之内は黒い噂がなく、堅物とされる人物で、やはり怨恨が理由だと考えにくい。しかし捜査を進める内に、2人にある共通点が浮かび上がる…。

【※ネタバレあり※】「護られなかった者たちへ」の詳しいあらすじ

続いて詳しいあらすじに迫っていきます。ネタバレを含むので、大丈夫な方だけ▶︎以降をクリックしてご覧ください。

※ネタバレ部分は隠しコマンドになっています。※

詳しいあらすじ(前半):犯人は誰なのか?犯行の動機は?

前半後半に分けて書きます。前半は主に「犯人は誰なのか?」「犯行の動機は?」というテーマでまとめました。

ネタバレしていいからさらに詳しいあらすじを知りたい方はこちらをクリック!

事件被害者の共通点はかつて同じ福祉保健事務所に勤めていた。笘篠と蓮田は被害者に恨みがある人物たちを洗い出し、調査を進める。その内に遠島けいの生活保護受給相談に際し、殴りかかってきた人物がいると知る。

その人物は利根と言い、三雲の死体発見の数日前に出所していた。さらに出所後に保護司の目をかいくぐり、現在行方が分かっていないと判明する。警察は利根を容疑者と断定し、捜査に動き出す。

本小説は利根の視点での物語も入ってくる。利根はかつて荒れていた頃に、老婆・遠島けいにお世話になっていた。カンちゃんと呼ばれる近所の少年と共に、2人は老婆を慕っていた。

ある日、利根はけいが生活に困窮しているのを知り、けいと共に福祉事務所を訪れる。しかし対応した三雲は、音信不通の弟を頼れと言う。杜撰な対応に利根は怒る。数日後にけいは餓死し、それを知った利根は三雲に殴りかかったのだった。

利根は刑期10年を言い渡されるが、模範囚として行動したため、早めに出所を許される。服役中に知り合った五代を通じて、上崎岳大の現在の所在を掴んだ利根。フィリピン帰りの上崎に会うために、仙台空港へと向かった。

詳しいあらすじ(後半):第3の犯行?ラストの驚くべき結末とは

続いて後半です。いよいよラストへと向かいます。驚がくの結末に注目です。(※繰り返しになりますが、一読されていない方は先に結末を知るとかなりもったいないです。一度読んだことがある方のみ、以下をクリックしてください。)

ネタバレしていいからさらに詳しいあらすじを知りたい方はこちらをクリック!

仙台空港へ行く前に、利根のもとに五代から電話が入る。警察の取り調べで五代が利根とのことを全て喋ったと明かされる。利根は警察がマークしている仙台空港でどうやって上崎と会うか、考える。

多数の警察が張り付いている仙台空港だが、一向に利根の姿が確認できない。観光プラザから不審人物についての情報が入り、笘篠たちは遂に利根の身柄を確保する。利根は女装した上で、観光客に扮していた。

警察の取り調べを受ける内、利根は供述中に何度も上崎に会わせろと反抗する。そんな中、上崎が警察保護の元から抜け出したと連絡が入る。上崎はフィリピンでの買収斡旋の罪があったため、逃げ出したのだ。

それを知った利根は、上崎の元へ一緒に向かうよう警察に告げる。実は利根は上崎を殺そうとしたのではなく、真犯人から護ろうとしていた。つまり利根は犯人ではなかったのだ。

利根や笘篠たちが遠島けいがかつて住んでいた家へ向かった。そこで上崎を捕らえていたのは、カンちゃんだった。利根は遠島けいが遺したメッセージ「いい子でいなさい。人に迷惑をかけないように」を伝え、カンちゃんはギリギリのところで踏みとどまった。

実はカンちゃんは笘篠たちがよく知る人物だった。真犯人のカンちゃんは福祉保健事務所に勤務する円山菅生。円山菅生はけいの恨みを晴らすために、自らがケースワーカーになり業務をしながら、三雲たちへの復讐の機会を狙っていたのだった。

「護られなかった者たちへ」の読みどころを解説

事件の犯人はわかっても、物語の犯人は読み終えた後も誰にもわからない、現時点での最高傑作です!
引用:【著者に訊け】中山七里氏 『護られなかった者たちへ』|NEWSポストセブン

上記は作者・中山七里さんのインタビューです。先ほどあらすじでも書いたように、事件の直接的な犯人は明らかになりますが、本当の犯人はもっと壮大なものに思えてきます。すなわち護るべき者を護れないこの社会自体に大きな問題が潜んでいると、問題提起されているかのようです。

物語では社会的立場の弱い者が生活保護を受け入れられない理由について、国の予算が限られているために全ての申請者を受け入れられないのが原因だと書かれています。つまりただ申請を通さない役所の人間が悪いのではなく、もっと根深い問題があるとされています。

・一方でヤクザが絡み、不正受給している者がいる
・申請書類が多すぎて、一般人には面倒が多い
・身内がいればたとえ音信不通でもまずはそちらを頼るよう指示される
など。いくつか具体的な障壁が書かれており、これらは今作を読んで初めて知った方も多いのではないでしょうか。

物語の中で具体的な解決策が提示される訳ではありません。しかし読者がこのような問題を考える一つのきっかけにはなるでしょう。

SNSに寄せられた「護られなかった者たちへ」の感想まとめ

「護られなかった者たちへ」の感想を調べてみると、「感動した」「深く考えさせられた」という声が多くありました。いくつか紹介しましょう。

原作を読んだ上で、映画をみるとさらに楽しめそうですね。

「これが呪いになってはいけない」とは深い感想ですね。この作品をきっかけに少しでも状況が改善すればよいなと思います。

自分の立ち位置を問われる物語。足場をぐわんぐわんと揺らされる感じがします。

映像化は難しそうですが、映画についての業界関係者の前評判は高いですね。楽しみです。

映画「護られなかった者たちへ」と原作の違いを解説

映画「護られなかった者たちへ」は2021年10月1日に公開になります。この記事執筆時はまだ公開前で、筆者はまだ予告やキャストを見ただけです。ただ現時点でも原作との明らかな違いが分かりましたので、以下解説します。ネタバレを含みますので、原作や映画をまだ見ていない方は読まないでくださいね。

まずは予告をご覧ください。

ネタバレしていいから映画と原作の違いを知りたい方はこちらをクリック!

【違い①真犯人が違う!?】
原作と映画で違うキャストが登場します。福祉保健事務所で働く者です。
原作:・円山菅生
映画:・円山幹子 ・菅野 の2人

先ほどの詳しいあらすじでも紹介した通り、原作では円山菅生(=カンちゃん)が真犯人です。ただし映画ではカンちゃんに該当しそうな人物が2名登場します。おそらく菅野(=カンちゃん)だとミスリードを誘い、実は円山幹子(=カンちゃん)が犯人だという流れになるかと予想されます。

・幼少時代のカンちゃんは男の子か女の子か分かりにくい
・予告の中盤で利根と円山幹子が二人乗りをしているシーンがある
・女性が犯人だとする方がより意外性がある
・円山幹子を演じる清原果耶は最近実力を評価されている女優
上記の理由から、真犯人は円山幹子だと思われます。

【違い②利根が発見されるシーン】
原作では利根は上崎が到着する仙台空港にて、発見・確保されます。しかし予告では刑事の2人が線路沿いの道にて、利根を発見するシーンが流れます。

・利根役の佐藤健をより多く登場させたい
・逃げ回る場面など緊迫感のあるシーンをより多くしたい
・利根と笘篠刑事(阿部寛)の絡みをもっと見せたい
などの意図があるのでは?

原作はラストの場面がきゅっと詰まりすぎている印象があるため、映画では結末部分をよりピックアップして流すのではないかと思われます。

まとめ:「護られなかった者たちへ」は本格的な社会派ミステリー小説だった!

いかがでしたか?「護られなかった者たちへ」の特徴を以下にまとめました。

・どんでん返しが待っている痛快なミステリー
・生活保護の実態など、重いテーマを投げかける社会派小説
・映画と原作の違いを感じながら、読むとさらに楽しい

以上です。映画も原作もどちらもぜひ楽しんでみてくださいー!

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