小学校高学年の課題図書に選ばれた『魔女だったかもしれないわたし』。今回はこの本を読んで読書感想文を書くためのコツを解説。あらすじをネタバレ込みでまとめた上で、例文つきで解説していきます。自閉について考える良いきっかけになる本なので、ぜひチェックしてみてください。
『魔女だったかもしれないわたし』(小学校高学年の課題図書)の内容とは
書名 | 魔女だったかもしれないわたし |
作者 | エル・マクニコル (著), 櫛田 理絵 (翻訳) |
出版社 | PHP研究所 |
発売日 | 2022年8月18日 |
ページ数 | 240ページ |
『魔女だったかもしれないわたし』は、自閉のアディが主人公。自分が住んでいる村でかつて人から変わっているのを理由に魔女だと呼ばれ迫害された歴史があると知り、犠牲者を弔う慰霊碑を作ろうとするストーリーです。
アディの周囲には、転校生のオードリーやアリソン先生など自閉に理解を示す人がいる一方で、クラスメイトのエミリーや担任のマーフィ先生は冷たい態度をとっており、善悪が分かりやすい本です。途中心苦しい場面も出てきますが、ラストはハッピーエンドで読み応えのある内容になっています。
※『魔女だったかもしれないわたし』は以下に当てはまる人におすすめ!
・読書感想文を書こうと思っている小学生
・周囲に自閉の人がいて、どう接するすべきか考えたい人
・あきらめずにやり遂げる大事さを実感したい人
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3分で分かる『魔女だったかもしれないわたし』のあらすじ要約【※ネタバレあり※】
アディことアデラインは、自閉だ。アディはここ最近、おもしろくない。字がうまくきれいに書けないことを担任のマーフィー先生は認めないし、親友だったジェンナは最近エミリーと仲良くしていてアディには冷たい態度をとってくる。
そんなアディは、スコットランドの小さな村・ジュニパーで姉2人と両親と暮らしている。姉は双子で、ニナは大学を辞めて動画の投稿をしている。もう一人の姉・キーディはアディと同じく自閉だが、大学ではそれを隠しているようだ。
また、アディには学校で協力的な立場をとる人物が2人いた。1人は図書館司書のアリソン先生。彼女はアディにサメの本を勧めてくれ、個性的なサメにアディは興味を抱く。もう1人は転校生のオードリー。彼女はアディの変わっている点を好意的に受け止めてくれた。
ある日、アディは授業でジュニパーでかつて「人と違う」というだけで魔女だと言われ、苦しめられて命を落とした女性がいたと教わる。人と違うアディは、もしその時代に生きていたら、自分も魔女だと言われていたかもしれないと思う。
ジュニーパーの暗い歴史を知ったアディは、犠牲者たちの慰霊碑を作ってほしいと村の委員会に要望する。しかし委員会でその提案は却下された。正しさよりも体裁の良さを気にしており、村としてそんな歴史を掘り返すわけにはいかないのだ。
かつて魔女と呼ばれた女性たちのことを考えていたアディだが、そんなある日に事件が起きる。エミリーがアディの大切にしていた類語辞典を切り裂いたのだ。周囲のクラスメイトは傍観者で何もせず、オードリーだけがエミリーに向かって抗議してくれた。
エミリーに抵抗して暴力をふるったアディは、マーフィ先生から呼び出された。マーフィ先生は一方的にアディに非があると責めるが、その場に同席したニナは激しく否定し、アディの正当性を訴えた。オードリーやアリソン先生もアディの味方でいてくれた。
そして、また委員会でアディは慰霊碑を作って欲しいと訴えた。アディは家族の前でスピーチをした。自分自身が自閉であると明かし、人と違うのはいいことだと述べ、最後には自分が自閉でよかったと語った。
なにかに没頭してるときや、ほかの人が見過ごすような細かいところに気づけたときには、心から自閉でよかったって思います
(中略)
わたしは、このままの自分が好きです。大好きです
引用:『魔女だったかもしれないわたし』231ページより
スピーチの内容が評価されたのか、アディの提言は委員会で承認され、無事に慰霊碑が建立された。アディはジュニパーがいい村から正しい村へと生まれ変わったことを誇りに思った。
主な『魔女だったかもしれないわたし』の登場人物まとめ
『魔女だったかもしれないわたし』に出てきた主な登場人物をまとめました。
【アデラインの家族】
・アデライン:主人公。愛称は「アディ」。自閉。
・キーディ:アディの姉。自閉だが、大学ではそれを隠している。
・ニナ:アディの姉。キディとは双子。動画の投稿をしている。
・母
・父
【アデラインのクラスメイト・学校関係者】
・オードリー:転校生。アディと仲良くなる。
・ジェンナ:もともとアディの親友だったが、最近は冷たい。
・エミリー:ジェンナと仲良くしている。性格が悪い。
・マーフィ先生:担任の先生。アディを冷たくあしらう。
・アリソン先生:図書室の司書。アディに理解を示す。
【村の人】
・マッキントッシュ:委員会の委員長
・ミリアム:村で一番大きな家に住む老女
『魔女だったかもしれないわたし』の読書感想文ガイド【例文つき】
『魔女だったかもしれないわたし』は小学校高学年の課題図書に選ばれているので、この作品を読んで読書感想文を書こうと思っている人も多いでしょう。しかしどこからどう書いていいか迷っている人もいるかもしれません。
そこでここからは読書感想文を書くコツを解説。読書感想文では、あらすじをまとめるのではなく、本を読んでどう感じたかを書くことが重要です。その点を踏まえて、例文つきで解説しますね。
自閉の子へどう接するべきか考える
皆さんの周りにも自閉だと思われる子はいるのではないでしょうか。まずは自閉についての理解を深めることが大事ですね。本作の中で自閉の子が周囲から誤解されやすい点について記述しています。
それは自閉=独りよがりで共感力に乏しいと思われていること。実は真逆で自閉の子ほど共感力が強いという記述がありました。このような点など、自閉について理解したことをまずはまとめましょう。
その上で、自閉の子がいた時にどう接したらいいか自分なりに考えることが重要です。本作に出てくるエミリーやマーフィ先生はあからさまによくない対応をしている人物と描かれているので、そうならないようにしたいという旨を書くと良いでしょう。
【例文】
自閉の子がいた時に、自分はどう接したらいいか考える良いきっかけになりました。まずわたしは普通に自閉のことを自閉症だということばを使っていました。この本を読んでみると、アディが自閉症ということばをきらっていて自閉的だと表現したように、病気ではなく一つの性格だと思うことが大事なんだと感じました。その上で、そういった子たちの性格をきちんと一つの個性として認めることが大事だとも思いました。人と変わったことをするということは、みんなが知らないことも追求できるという良い部分があります。自閉の子から学べることも多いと思うし、そういった点を尊重しながら仲良くしていきたいなと感じました。
自分の意見をしっかり言う大事さを書く
先ほど書いたように、エミリーやマーフィ先生は他人への理解が乏しく、悪い人物像が浮きぼりになってました。しかし、実はアディが孤立した時に、なにもしなかった人物たちにも問題点はあると言えます。
間違ったことを間違っていると言えず、周囲の空気に流されて、自分の意見を言えないという状況。こういった事象は少なからず自分にも当てはまるのではないでしょうか。思い当たる節があれば、その時のことを思い出し、改善点について書きましょう。
【例文】
アディの類語辞典をエミリーが切り裂いた時、周囲には何もできないクラスメイトたちがいました。明らかに悪いのはエミリーだと分かっているのに、周囲を気にして自分のことを言えなかったのでしょう。こういった状況は少なからずわたしにもありました。そしてそのたびにいやな気分になりました。この本に出てくる転校生のオードリーは、しっかり自分の意見が言えていて感心しました。勇気がいることだけど、わたしも自分の意見をしっかり持って発信することが大事だと思いました。
あきらめずにやり遂げることについて書く
アディは委員会で慰霊碑を作ることを提案しますが、何度も反対されます。それでもあきらめずに提案し続け、最後には委員会で認められるのです。そこに至るまでのいきさつや、アディの心理的変化をふりかえってみましょう。
アディが続けられた要因として、家族の理解があげられます。父も母もあたたかい目で応援してくれました。最後の場面では両親と双子の姉も委員会に来て、その前でスピーチをしますね。
また慰霊碑を建てることができたのは、村民のミリアムが援助してくれたおかげでもあります。あきらめずに続けることで協力者が現れる、ということも良い教訓になるでしょう。このあたりをふまえて、読書感想文を書ければ良い内容が仕上がると思います。
【例文】
アディが何度も慰霊碑を建てるようお願いする場面が印象に残りました。家族が理解を示したことでがんばろうと思えたのでしょう。わたしも苦手だったピアノの練習を、家族が応援してくれることで、またがんばろうと思えたことがあり、そのときの気持ちがよみがえりました。また、慰霊碑を建てる際に、ミリアムがお金を出してくれていたことにはびっくりしました。と同時に納得もしました。アディが自分の気持ちをスピーチで話したことが、ミリアムの心を動かしたのでしょう。
わたしのピアノの練習の場合でも、あきらめずに続けていると誰かが助けてくれるよと父が言ったことを思い出しました。わたしの場合はクラスメイトでピアノのことを話すと、発表会に友達が来てくれて応援してくれました。これからもがんばって続けていくことが大事だと感じました。
参考にしたい『魔女だったかもしれないわたし』の感想や評価・レビューまとめ
ここからは『魔女だったかもしれないわたし』の感想や評価をまとめました。レビューサイトやSNSに投稿されたもので大人の書いた意見ですが、読書感想文を書く上でもなにかしら参考になると思います。
『魔女だったかもしれないわたし』エル・マクニコル
高学年課題図書。自閉を自覚して、時に自虐的に、時に勇敢に抗うアディ。かたや定型発達側は違いを恐れて拒絶するばかり。アディの方が柔軟で、どちらが自閉的なのか考えさせられた。魔女狩りや海の多様な生き物を素材に、テーマが捉えやすかった。 pic.twitter.com/X34bGfYNxp— muuugi (@muuugi4) April 11, 2023
#読了
『魔女だったかもしれないわたし』
エル・マクニコル主人公のアディは学校で、魔女裁判により、処刑された女性たちの存在を知る。アディは彼女たちの為に、慰霊碑を作る事を提案する。
自閉的なアディを取り巻く環境は、実に重い。
最後のスピーチ場面は、心が揺さぶられた。— 夢想 愛 (@muusouuai) November 28, 2022
現代にだって差別と迫害は存在する。アディが実行したこととは。こうと決めたことにトコトンこだわる強さと、その特性ゆえのもろさが共存するアディ。でも本当の辛さは、本当の自分を隠さなければ生きていけないことだと書かれている。特性のことは実感としてはわからなくても、このこと一点には共感できるかもしれない。
引用:『魔女だったかもしれないわたし』|ネタバレありの感想・レビュー – 読書メーター
最後はほっとしたが、アディは今後どのような人生を歩むのか。いい話だったで終わってほしくないな。
引用:『魔女だったかもしれないわたし』|ネタバレありの感想・レビュー – 読書メーター
まとめ:『魔女だったかもしれないわたし』は自閉について考えるきっかけになる本だった
いかがでしたか?『魔女だったかもしれないわたし』の特徴を以下にまとめました。
・2023年の課題図書(小学校高学年の部)
・自閉への理解が深まる
・自閉の子とどう接したらいいか考えさせられる
以上です。読書感想文を書く目的以外でも『魔女だったかもしれないわたし』は読み応えがあり、多くの人におすすめしたい一冊です。まだ読んでいない人はぜひチェックしてみてください。
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