3分で分かる『この世の喜びよ』のあらすじ&ネタバレ解説・感想まとめ【第168回芥川賞受賞作】

第168回芥川賞の受賞作に選ばれた「この世の喜びよ」(著:井戸川射子)。今回はこの小説のあらすじと感想をまとめました。二人称で書かれ、語り手の存在や私的な表現が難しいと思われがちな作品なので、筆者なりに考察した内容も記します。少しでも読み解きやすくなると幸いです。

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【芥川賞受賞作】井戸川射子の小説「この世の喜びよ」とは

書名 この世の喜びよ
作者 井戸川射子
出版社 講談社
発売日 2022年11月10日(Kindle版)
ページ数 95ページ(Kindle版)

作者の井戸川射子さんは、主に詩人として活躍する作家。私家版で出版した​​『する、されるユートピア』が注目され、第24回中原中也賞を受賞。さらに小説デビュー作となった『ここはとても速い川』は野間文芸新人賞を受賞しました。

「この世の喜びよ」は、二人称で書かれた小説。ショッピングセンターの喪服売り場で働く「あなた」が、フードコートにいる少女とやりとりすることで、子育ての喜びを思い出させるようにして描かれています。

※「この世の喜びよ」は以下に当てはまる人におすすめ!
・現代詩人ならではの感性が生かされた作品を読みたい人
・子育てを経験したことがある人
・第168回芥川賞を受賞した話題作をチェックしたい人

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3分で分かる「この世の喜びよ」のあらすじ【※ネタバレなし※】

ショッピングセンターの喪服売り場で働く「あなた」は、フードコートに一人でいる少女のことが気になっている。少女の母は三人目を妊娠中で、家で歳の離れた弟の世話をしているらしい。

あなたには二人の娘がいる。上は教員で、下は大学生だ。あなたは少女とやりとりをする中で、かつて子育てをした経験を思い出す…。

「この世の喜びよ」のネタバレ解説&考察まとめ

「この世の喜びよ」は、二人称で書かれており、現代詩人らしい独特の表現が、少し読みにくいと感じる読者もいるでしょう。そこでここでは本作の内容を考察し、読み解く上でのヒントのようなものを記していければと思います。

「この世の喜びよ」は難しい?なぜ二人称で書かれるのか

「この世の喜びよ」が難しいと思われやすい理由の一つが、一般的な一人称もしくは三人称ではなく、二人称を用いている点です。作中にしばしば出てくる「あなた」という表現に、混乱してしまうかもしれません。

そもそも、なぜこの作品は二人称という構造をとっているのでしょうか?筆者が思うのは、この作品のテーマが「子育ての喜びを思い出す」ことが関係していると考察します。

単に「子育ての喜び」を主張するだけなら、一人称もしくは三人称でも成立するでしょう。しかしそうではなく、「子育ての喜びを思い出す」ことの大事さを語るためには、二人称で語ることにより、客観的に子育ての喜びの価値を表現する技法が必要になったのだと思います。

現代詩人ならではの表現がすばらしい!ゆっくり読むのがコツ

作者の井戸川射子さんは現代詩人であり、今作でも詩人ならではの感性が光る作品となっています。筆者が個人的に好きな描写を作中から少し引用します。

沿道では、切られていく枝が地面に倒れ込む、毛のあまりない犬が、その代わりに服を着ている。今日も棚には無事に新しい商品が、できるだけ悲しみなどは想起させぬよう、どれも、誰もが同じであると説明するように並んでいる。誰も並べ方に、自分らしさを残そうなどしない。
引用:「この世の喜びよ」本文より

このように物語の中で、突如として詩の表現が散りばめられています。一般的な小説を読む感覚ですらすら読み進めようとすると、途中で意味が分からなくなるかもしれません。

筆者が思う、「この世の喜びよ」を読むコツは、ズバリ、ゆっくり読むこと。詩を読む感覚で、一語一語を吟味しながら読むとよいでしょう。

ただそれでも何が言いたいか分かりにくい場合は、雰囲気で読むのも重要です。なんとなくの雰囲気さえつかめれば、全体通して少し見えてくるものもあります。

「この世の喜びよ」のラストシーンから、本作の主題を考察

「この世の喜びよ」のラストでは、少女の家族が登場します。三人目を妊娠している母親、その夫であり少女の父親、そして少女と年の離れた弟。筆者は弟がベビーカーからはみ出そうとしている様が、これからの未来を暗示しているようで特に好意的に読みました。

そして、結末。ここで、ここまで語られてきた「あなた」が変容していることに気づかされます。最後の段落は以下のような書き出しで始まります。

あなたと話したいから思い出したの、うちの近くには団地があって、それがありがたかった。
引用:「この世の喜びよ」本文より

それまでの「あなた」は、ショッピングセンターの喪服売り場で働く女性・穂賀さんでした。しかしここで出てきた「あなた」は、穂賀さんと当てはめようとすると違和感があります。ここでの「あなた」は、作中に登場する少女の方がしっくりきます。

そして、ラストの記述が以下です。

あなたに何かを伝えられる喜びよ、あなたの胸を体いっぱいの水が圧する。
引用:「この世の喜びよ」本文より

これも「あなた」=「少女」と捉えた方が自然です。すなわち「あなた」とは何なのでしょうか?筆者の結論から言うと、「子育ての喜びを伝えたい相手」の代名詞が「あなた」となっているのだと思います。

そう考えると、ラストでは子育てをこれからする者に、その喜びを伝え継いでいく流れができているとも解釈できます。これはタイトルの「この世の喜びよ」と感嘆している響きにも一致しています。

また、この本を読む者自身を、「あなた」と捉えることもできるかもしれません。最後の「あなた」という表現をそう解釈すれば、この作品の持つ主張がグッと胸に迫ってきませんか?

もちろん、これは一つの読み方にすぎません。読者の方は、ぜひ「あなた」とは何を指すのか考えながら読み進めると、新たな発見が生まれるかもしれませんね。

「この世の喜びよ」を読んでみた感想

考察部分でも筆者の感想を交えた内容でしたが、ここからはもう少しざっくりとした感じで感想を書いていきます。さらに読者のレビューや感想もまとめてみました。

【筆者の感想】何度も読むことで趣が変わる作品

正直、本作を最初に読み終えた時は、良作だと思うけど…くらいの感想しか出てきませんでした。しかし、二度三度と読み返すうちに、作品の良さや、意味するところが見えてきて、ハッとさせられる発見がいくつもありました。

もしかしたら、もう少し時期を置いて、再度読み返すとまた違う良さが見えてくるかもしれません。いえ、きっと見つかるでしょう。一冊でいくつもの輝きを見せてくれる作品。改めて名作だなと感じます。

それは読者の人生経験によるものも大きいと思います。筆者は三歳の娘を子育て中の身です。娘が小学生になったら、高校生になったら、就職したら…また、さらに新しい家族ができたら…さらに娘が結婚して、孫ができたら…。など、自分の経験を重ねた上で、本作を読み返すと、また違った感慨が生まれることでしょう。

【みんなの感想や評価】何度も涙ぐんだ名作

素晴らしかった。何度も涙ぐんでしまった。今回の芥川賞はこの作品で決まりではないか!と思った。いつか見た、確かにキラキラとしていた、日常の中の一瞬の輝きを見事に切り取り、確かな表現力で綴られていた。
引用:Amazon

まとめ:「この世の喜びよ」は子育ての喜びを思い出させる名作だった

いかがでしたか?「この世の喜びよ」の特徴を以下にまとめました。

・第168回芥川賞受賞作
・現代詩人が描く、独特の感性が表現された小説
・二人称で書かれた世界観が見事
・「子育ての喜びを思い出す」がテーマの小説

以上です。まだチェックしていない方は、ぜひ読んでみてください!

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