3分で分かる「黒牢城」のあらすじ&ネタバレ考察・感想まとめ【直木賞受賞&本屋大賞候補作】

「黒牢城」は時代小説×推理小説の極上エンタメ!今回は第166回直木賞を受賞し、本屋大賞の候補作にもなっている「黒牢城」のあらすじ、ミステリーに隠された仕掛けの考察、筆者や読者の感想、作家たちからの評価などをまとめました。

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米澤穂信の小説「黒牢城」(読み方:コクロウジョウ)とは

書名 黒牢城
作者 米澤穂信
出版社 KADOKAWA
発売日 2021年6月2日
ページ数 448ページ

第166回直木賞を受賞した小説「黒牢城」(読み方:コクロウジョウ)。刊行時に現代ミステリーの書き手である人気作家の米澤穂信さんが、本格的な歴史ものに挑戦したと話題になった小説です。2022年本屋大賞にもノミネートされています。

しかしそこは米澤穂信さんが手掛けた時代小説とあって、ミステリー要素の強い作品となっています。密室の設定があったり、その時代ならではのトリックが仕掛けられていたり…。

しかも事件を解決するヒントをくれるのが、地下牢に幽閉された黒田官兵衛であり、いわゆる「安楽椅子」探偵もの(有名どころだと「羊たちの沈黙」)のような設定も面白いです。ミステリー好きにも歴史小説好きにもおすすめしたい一冊に仕上がっています。

※「黒牢城」は以下に当てはまる人におすすめ!
・米澤穂信ワールドが好きなミステリー愛好家
・黒田官兵衛など大河ドラマや時代小説が好きな人
・最新回の直木賞を受賞した話題の本を読みたい人

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3分で分かる「黒牢城」のあらすじ

織田信長に謀反した荒木村重は、有岡城にて反逆の機をうかがっていた。そんな折、黒田官兵衛が単身で城に乗り込んできた。村重は官兵衛をその場で殺さずに地下牢に監禁する。

城内では不可解な事件が立て続けに起こる。村重は事件を解決するために動くが、なかなか解決の糸口が見つからない。村重が地下牢に閉じ込められた官兵衛に会うと、官兵衛は事件のヒントめいたものを口にする

城内で起きる事件の真相とは?連続する事件の裏に潜む黒幕とは?そしてヒントを与え続ける、官兵衛の真の思惑とは…?

「黒牢城」のネタバレ解説&ミステリー考察まとめ

ここからは「黒牢城」の魅力をより深掘りしていきます。各章で展開される、ミステリーとはどんなものか、どんな仕掛けがあるのか?ネタバレにならない範囲で紹介します。

また一連の事件の黒幕や、黒田官兵衛の真の思惑についても考察します。こちらはネタバレしないと書きづらい点があるので、クリックしたら読めるような作りにしています。作品を最後まで読んだ方だけチェックするようにしましょう。

各章で展開される、米澤穂信ワールド全開のミステリーが面白い!

「黒牢城」は歴史小説でありつつ、推理小説の要素が強く、各章には一つの大きな謎が提示され、主人公の荒木村重がそれを解いていくという構造になっています。

各章で書かれる謎はどんなものか、簡単に紹介します。また事件のヒントとなる、黒田官兵衛の言葉を一部引用します。

タイトル どんな謎か?
第一章 雪夜灯籠 人質が殺された「密室」殺人。雪の上には犯人の足跡が無かった…
第二章 花影手柄 相手の大将首を討った手柄は誰のものか?夜討ちで何が起こった?
第三章 遠雷念仏 警護中の僧と密使を殺したのは誰?僧が持っていた茶壺の行方は?
第四章 落日孤影 罪人が処刑される前に撃ったのは誰か?またその狙いは何なのか?

第一章「雪夜灯籠」では、荒木村重が人質を預かったところから事態は大きく変化する。納戸で捕らえていた人質がいつの間にか殺された。納戸へと続く場所には見張りがいて、しかも周囲の雪の上には足跡が無かった。いわゆる「密室」殺人のような状況だ。

村重は官兵衛の頭が切れることを見抜いており、まともな話ではないと重々承知の上、地下牢へと行き、官兵衛に知恵を借りようとする。事のあらましを話すと官兵衛は全て分かったという。答えは言わぬが、去り際の村重に対し以下の歌を投げかけるのだった。

あら木弓いたみのやりにひはつかず、いるもいられず引もひかれず
引用:「黒牢城」本文より

第二章「花影手柄」では、夜討ちにて大勝した村重たち。夜が明けると討った首が四つあり、どれが誰の首であるかわからないものの、家来の雑賀衆か高槻衆のどちらかが大将首を討ったと思われる。果たしてどちらの手柄であったのだろうか?

荒木村重は首を持ち帰り、思案する。しかしその内、討った首が恐ろしい形相に変化したと噂されるようになった。村重は事態を早く収拾するために動く。黒田官兵衛からは夜討ちそのものを振り返るよう示唆され、事件の全体像を思い返すとある点に気づくのだった…。

摂津守様はこたびの夜討ち、なにゆえそれほどの大勝をあげたとお思いか。
引用:「黒牢城」本文より

第三章「遠雷念仏」では、警護中の僧と密使が殺される事件が起きる。密使は屈強の武士だが、刀を抜く事なく斬られていた。また僧は<寅申>という名物の茶壺を行李に包んでいたが、それが見当たらない。二人を殺した者が持ち去ったのだろうか。

ただし一点気になる点があった。庵から<寅申>が無くなっていたが、密書はそのままだった。官兵衛に相談すると、官兵衛は以下のように述べた。そして低い声で経を唱え始めたのだった。

庵からは何が消えたか。そこに手掛かり、足掛かりがあろうかと存ずる。
引用:「黒牢城」本文より

第四章「落日孤影」では、第三章における罪人が処刑される前に鉄砲弾で撃たれたことが判明する。本来は村重が処刑すべきところを、先立って撃ったのは誰なのか?その目的は村重に対する謀反なのか?それとも別に何か理由があるのか?

罪人が死んだのは雷に打たれたからだと思われており、「御仏の罰」だと城内で噂されていた。官兵衛はその点を見逃さなかった。そしてこれまでの四つの事件を繋ぐ、一つの真実が浮かび上がってきた。

察しまするに、摂州様は罰の正体を既にご存知にござろう。
引用:「黒牢城」本文より

城内で起こる事件を操る黒幕の存在とは?

第四章で起こる事件の犯人は、これまでの四つの事件を裏で手を引く、いわゆる黒幕的存在でした。ここでは黒幕の正体は誰か、なぜこのような事態を招いたのか、その動機をまとめます。ネタバレとなるので、物語を全て読んだ方だけチェックするようにしてください。

ネタバレしていいから黒幕の存在を知りたい方はこちらをクリック!

事件の黒幕は、村重の側室である千代保だった。

千代保は村重と近い存在であり、尚且つ村重が唯一と言ってもいいほど心を許せる存在であった(実際に村重は<寅申>の存在を千代保には明かしていた)。そのため、千代保は一連の事件に関わることができたのだ。

村重は城内を混乱させる謀反人が黒幕だと思っていたが、千代保の動機は全く違うものだった。

長島一向一揆で残虐な行為を目の当たりにした千代保は、一向宗の宗徒の生き残りだった。仏の力を信じる千代保は、城内で起こる数々の事件を「仏の罰」だと民に思わせることで、仏の力を信じ込ませたかったのだった。

「わたくしはただ……ただ、罰はあるのだと信じさせたかっただけにございます。」
「民に」
引用:「黒牢城」本文より

【筆者の考察・感想】

仏の存在を民に示したいという考えは、この時代ならではの動機ですね。結果的に黒幕のことを悪くは思えず、深く同情させられました。また当時の人々の生きづらさが描かれており、スケール感の大きさが感じられました。

黒田官兵衛の真の狙いとは?結末部分の考察まとめ

一連の事件に、安楽椅子探偵さながらに土牢からヒントを与え続けた黒田官兵衛。彼の本当の狙いはどこにあったのでしょうか?まとめました。

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黒田官兵衛は土牢の中から村重を殺そうとしていた。村重から信頼された官兵衛は親切なふりをして策を講じ、それにより村重の名を地に落とそうとした。しかし村重はすんでのところで考えを改め、官兵衛の策略にはまらなかった。

命を救ってくれたはずの村重を殺そうとした動機は、息子の松壽丸が織田信長に殺されたことによる。本来、武士は捕らえられたら殺されるのが通例である。しかし村重は官兵衛を殺さずに生かしておいた。

武士が殺されずに生かされる事の因果は必ず悪い方向へと巡る。そう信じていた官兵衛は、松壽丸が死んだ原因は村重の行いにあったと考えた。そこで息子の仇を村重に下そうと、復讐する機会をうかがっていたのだった。

結末部分。城を抜け出した官兵衛のもとに、松壽丸が現れる感動のラストが待っていた。実は松壽丸は死んでおらず、生き延びていたのだった。

【筆者の考察・感想】

黒田官兵衛の天才ぶりと人間らしさが同時に伝わってきました。あくまで主人公は荒木村重ですし、黒田官兵衛はほとんど土牢で捕まっている場面でしか出てこないのですが、にもかかわらず生き生きと躍動感があり、その点にとても感心させられました。

「黒牢城」の感想や評価レビューまとめ

ここからは「黒牢城」の感想や、直木賞選評における評価などをまとめました。

【筆者の感想】黒田官兵衛の不気味な存在感に呑みこまれた

土牢にて幽閉されているにもかかわらず、黒田官兵衛の存在感は強烈でした。城内の事件について知恵を貸してくれるのですが、答えを明かさずにあくまでヒントだけ与えるという構図にもしっかり意味があり、よく考えられた小説だなと感心しました。

作者の米澤穂信さんはこれまでミステリの秀作をたくさん世に出してきた方ですが、時代ものでもこれだけ書けるのには感服します。某サイトのインタビューで、米澤さんは史実の入り口と出口の部分は決められているので、その間の謎について自分なりの物語を創っていくと言ってました。

その時代ならではのトリックを思いついたり、動機にも現代では想像つかないようなものが隠れていたりと、米澤穂信さんにしか書けないものだったと思います。今回直木賞を受賞して、名実ともに大作家となられた米澤さんの今後の作品が楽しみです。

【直木賞での選考委員からの評価】プロの仕事だと高く評価される

第166回直木賞を受賞した小説「黒牢城​​」。選考委員はこの作品をどう評価したのでしょうか?『オール讀物 2022 3月4月合併号』に掲載された講評の一部をまとめました。

浅田次郎さんは作家の楽しさが作品から伝わってきたと評し、これからの作家生活について指南しました。

読み書きが大好きな作家の幸福感に満ちていた。読者を面白がらせるためには、作者がまず面白がらねばならぬという手本である。
(中略)
資質に恵まれた作者が今考えるべきは、このさき長く続く小説家人生のグランドデザインだろう。
引用:『オール讀物 2022 3月4月合併号』本文より

桐野夏生さんは「黒牢城​​」の完成度をプロの仕事だと高く評価しました。

戦いは始まらず、次第に人心は離れてゆく。その高まる圧に耐える村重の心持ちが、後の村重の運命を知ればこそ、創作であるにも拘らず、本作はよく核心を衝いていると思う。
引用:『オール讀物 2022 3月4月合併号』本文より

宮部みゆきさんは同じく直木賞を受賞した「塞王の楯」と共に、両作の作品意義をこう評しました。

史実や細部の考証を重んじつつも、現代的な問題意識や、他のジャンルの手法を積極的に盛り込んでゆくことで、従来の枠にとらわれない、「◯◯史実もの」という分類にも左右されない、自由で大きな物語を作り出す。
引用:『オール讀物 2022 3月4月合併号』本文より

伊集院静さんは最大級の賛辞を送りました。

このような作家がまだ連なっているのかと思うと、日本の文学の展望は暗くないと思った。
(中略)
令和の本好きは目を離さないようにしなくてはならない。
引用:『オール讀物 2022 3月4月合併号』本文より

他の選考委員も概ね高い評価をしていました。

【読者の感想】極上のエンターテインメントと高評価

最後に読者の感想をまとめました。

丁寧に時代考証がされ、その設定に相応しい豊富なボキャブラリーで語られる物語は単なるミステリーの域を越えて数奇な武将の人生を紡ぐ極上のエンターテイメントに昇華させている。筆者の新境地、本年一番の佳作といっても良いかもしれない。
引用:Amazon

有名な黒田官兵衛の幽閉劇をこの様なミステリーっぽい構成に組み込んだ構想力には兜を脱ぎます。先生の代表作の一つでもある「折れた竜骨」でファンタジー×ミステリーで見せた様にどの様な舞台でもミステリーは成立することを改めて証明されたかと。
引用:Amazon

まとめ:「黒牢城」は時代小説×推理小説の極上エンタメだった!

いかがでしたか?「黒牢城」の特徴を以下にまとめました。

・時代小説×推理小説の極上エンターテインメント
・土牢から事件の謎を解く、黒田官兵衛の安楽椅子探偵ぶりが面白い
・事件の黒幕の存在と、その動機に驚がく
・第166回直木賞受賞作で選考委員から高い評価を受ける

以上です。時代小説が好きな人も、ミステリー好きにもどちらもおすすめしたい作品です。まだ読んだことがない方はぜひチェックしてみてください。

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