5分で分かる「星を掬う」のあらすじ&ネタバレ解説&感想まとめ

家族の問題と向き合う全ての読者におすすめの小説「星を掬う」。前作「52ヘルツのクジラたち」で2021年本屋大賞を受賞した町田そのこさんの最新作です。今回は「星を掬う」のあらすじを詳しく解説(一部ネタバレあり)。いち早く読んだ方の感想もまとめました。

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町田そのこの小説「星を掬う」とは

書名 星を掬う
作者 町田そのこ
出版社 中央公論新社
発売日 2021年10月18日
ページ数 328ページ

2021年本屋大賞(「52ヘルツのクジラたち」)の受賞第一作となる本作。作者の町田そのこさんはインタビューのなかで、前作で子どもを虐待する母親を登場させたことが「星を掬う」を完成させるきっかけとなったと言います。被害者側の視点で描いた前作に対し、今作では虐待の加害者側の視点を取り入れた小説となっています。

「52ヘルツのクジラたち」のあらすじをおさらいしてみる

家族の問題を多く取り扱っている、今作「星を掬う」。DV、姑との関係、一卵性親娘(アダルトチルドレン)、認知症の介護、17歳の妊娠など。現代を生きる上で度々取り上げられる課題に、本小説の登場人物たちはどう対処し、これから生きる術を見つけていくのか。本作は家族の成長小説でもあり、社会的意義の強い文学作品でもあります。

※「星を掬う」は以下に当てはまる人におすすめ!
・2021年本屋大賞受賞作「52ヘルツのクジラたち」が好きだった人
・家族が認知症で介護に苦しんでいる人
・家族との問題に悩んでいる人
・重いテーマでも最後に希望がある小説を読みたい人

「星を掬う」のあらすじ【※ネタバレなし】

母に捨てられ、金を無心してくる夫に苦しむ女性、千鶴。彼女が逃げるようにして辿り着いた場所「さざめきハイツ」では、生き別れになった母を含め、同じように家族の問題に苦しむ3人の女性がいたー。四人の共同生活を通じて、彼女たちに訪れた変化とは?

「星を掬う」の詳しいあらすじ【※ネタバレあり】

ここからはさらに詳しいあらすじについてまとめていきます。本小説は全六章で成り立っており、各章のあらすじをそれぞれ1分程度で読めるようにまとめました。まだ読んでなくて中身を知りたくない人はクリックせずに、ここは読み飛ばしてください。

※ネタバレ部分は隠しています。読んで大丈夫な方だけクリックしてください※

第一章:廃棄パンの絶望

わたし(芳野千鶴)のもとに、ラジオ番組関係者から一本の電話が入った。母との一夏の思い出を投稿したのが採用されたのだと言う。わたしは幼い頃に母と生き別れになっていた…。

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わたしは数年前に別れた夫・弥一からのDVや金の無心に苦しんでいた。わたしが働くパン工場にまでお金の前借りをせびりにくるほどだ。苦悩していたわたしは仕事を辞める決断をし、次に弥一が迫ってきたら殺そうとまで考えていた。

そんな折、ラジオ局ディレクターの野瀬さんから、母を知る芹沢恵真という人物から問い合わせの連絡があったと言われる。わたしは野瀬の紹介で恵真と会うことにした。

待ち合わせた場所で恵真から、母親と会わないかと提案される。わたしは自分を捨てた母親を恨んでおり会いたくないと断る。しかし、母が若年性認知症を発症していると明かされ、さらにわたしが弥一の手から逃れたがいいと強く勧められたことで、ついに母が住んでいる家「さざめきハイツ」へ行くことになった。

第二章:きっと母に似た誰か

母が住んでいるさざめきハイツに住むようになったわたし。母との再会はどうだったのか?そして同居する女性、恵真・彩子はそれぞれどういった人物なのか…。

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わたしの母・聖子は、恵真から「ママ」と呼ばれていた。母と再会したわたしは今までの怒りをぶつけ、母は「面倒くらいならみるわよ」とつれない態度を示す。そんな母の対応を恵真は非難する。わたしと母との再会は苦い想いだけを残す結果となり、その後もそう簡単に溝は埋まらない

若年性認知症を患った母は思いのほか、歳をとっていた。そんな中でも医者の結城や、デイサービスのともちんらに支えられて、生活していた。特に献身的に家事を行っていたのが、同居する女性の彩子だった。

彩子は家族に切り捨てられた女性だった。かつて妊娠中毒症になったり、母乳が出なかったりして、なかなか育児がうまくいかずに苦しんだ末、義母から家を追い出されてしまったのだ。そんな中、久々に娘の美保が彩子のもとを訪ねてきた。十七歳の美保は妊娠しており、お金が必要だと言う。彩子は元夫に相談するも、冷たくあしらわれてしまう。

第三章:追憶のバナナサンド

わたしと母の関係はどうなっていくのか、そして同居人・恵真に隠された暗い過去とは…。

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わたしは弥一にまた見つかるのではないかという恐怖で、ずっと家から出られないでいる。外に出ようとしないわたしに対し、「自分の人生は、自分だけのものよ」と忠告してくる母。私は「育児放棄をした人に言われたくない」と母に反発する。

しかし彩子の助言もあり、わたしは久々に外へお出かけできた。わたしは恵真からも母親ともっと歩み寄るようにアドバイスされるが、疎ましく思っていた。恵真は容姿がよく順風満帆に生きてきたように見えて、彼女のことが苦手だった。

体調を崩していたわたしの元へ、母がサンドウィッチを作ってきてくれた。それはわたしが幼いころに好きだったバナナサンドだった。わたしは彩子から母が陰でわたしのことを想って泣いていると聞かされる。

わたしは恵真にも暗い過去があると知った。両親が事故で亡くなり、容姿が良いことで男性に性的被害を受けてきた。集団暴行されそうになった時に、助けてもらった縁でわたしの母の聖子と同居するようになったと言う。わたしは恵真のことを誤解していたと知り、恵真の意見を素直に聞けるようになった。

第四章:双子の三日月

母の認知症はだんだんと進行していた。母を含めた四人の共同生活にはさらなる変化が訪れる…。

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母は失禁をしたり、夜に徘徊したりと、認知症の症状が重くなっていた。自分の世話をされるのが嫌な母は、グループホームに入居したいと明かす。しかし周囲は母の面倒を見たいと言って、意見が対立する。

そんな折、彩子の娘の美保が彼氏がいなくなり頼れる人がいなくなったと言って、また訪ねてきた。親だから面倒を見てと言う美穂に対し、わたしの母・聖子はきつく注意する。それを見かねた彩子は、美保が立ち去った後で聖子に対し激高した。

聖子は我が子を見捨てたこと、美保に対し辛く当たったことを後悔した。そして娘であるわたしに対して、なぜ家を離れたのか、理由を明かした。聖子は母親から一卵性親娘のように扱われ、「違うよね?」「わかる」というエゴを強要されて生きてきた。

息苦しくなっていた聖子は新しく生まれ変わりたいと思い、その家から抜け出したのだった。しかしそれが娘の育児放棄に繋がっていいはずがない。わたしからの指摘に、母の聖子はうろたえる。答えがあるのにそのタイミングで認知症の症状が出て、肝心なことが伝わらない。

第五章:永遠の距離感

母から過去を明かされたわたしだったが、母が懸命に歩み寄ってくれていると知りながらも「二度も捨てるだなんて、許せない」と暴言を吐いてしまう。わたしはどうやって母を受け入れればいいのか…。

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美保がもらったお金を大量に使い込んで、我儘な振る舞いをしていた。わたしは美保に対し、なんでも親のせいにするのは良くないと諭す。それは半分自分に向けた言葉であった。そしてわたしは遂に母に詫びを入れ、「ありがとう」と伝える

しかしまた問題が発生する。母の若年性認知症は日に日に進行しているのだ。そして母は自らの判断でグループホームに入る決断をして、勝手に手続きを終えていた。それを知った周囲は反発する。

恵真は「あたしの人生に、ママがいてほしい」「あたしたち家族じゃん」と主張する。対して母は「あんたの人生のために、私の人生があるんじゃない」「家族や親って言葉を鎖にしちゃだめ」と取り合わない。

第六章:見上げた先にあるもの

わたしを追いかけていた元夫の弥一の手がすぐそこに迫っていた。どう切り抜けるのか?そしてわたしたちに訪れたそれぞれの未来とは…。

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わたしは母が自分を捨てた真相を知る。母はわたしと出かけた夏の日に、わたしのことを叱り、このままでは自分が親にされたように自分自身も我が子を一卵性親娘のように扱ってしまうと恐れた。そこでわたしを自分のもとから解放するために、泣く泣く手離したのだ。真実を知り、わたしは号泣する。

その時、家へ元夫の弥一が押しかけてきた。絶体絶命のピンチを迎えるが、母が応戦して警察も出動し、なんとか事態はおさまる。結城先生やラジオ局ディレクターの野瀬さんの協力があり、やっと平穏な日々が訪れる。

そして、それぞれが自らの未来へと動き出す。美保は無事に子どもを産んだ。彩子は美保と二人三脚で育児している。恵真は結城先生と付き合いだし、さざめきハイツを出て新生活を始めた。

わたしは母親の認知症の介護を続けている。認知症を記憶の海を掬うことだと捉え、かつての思い出をわたしに語ってほしいと告げる。今の母も好きだと伝え、いつかまた家族であの夏の続きをしようと語りかける。

SNSやレビューサイトに寄せられた「星を掬う」の感想まとめ

作者の町田そのこさんは、一つずつの言葉を丁寧に紡いでいきますね。

現代に潜むテーマに真っ向から向き合った物語です。

母娘の気持ちが異なる立場によってすれ違っている描写が丁寧に描かれている。
不器用な登場人物達と背景設定によって重苦しい気持ちで読み進めるが、ラストはきちんと着地している。
引用:amazon

母娘関係で苦しんでいるのは、主人公だけでなく他の登場人物たちも。それぞれの関係がどう変化していくかが読みどころです。

「星を掬う」は2022年本屋大賞を受賞できる?予想してみた

町田そのこさんの「52ヘルツのクジラたち」が2021年本屋大賞を受賞したのは記憶に新しいですね。そんな中発表された本作「星を掬う」は、前作に負けず劣らずの力作。今作は早くも「2022年本屋大賞の有力候補か?」「2年連続受賞もあり得るのでは?」と噂されています。

そこで本当に「星を掬う」は2022年本屋大賞を受賞できるのか、本サイトで予想してみました。この記事を書いている、2021年10月末時点で今年は残り2ヶ月。本作の他にも素敵な作品が多く発表されているので、正直にいうとさすがに2年連続は可能性が低そうです。

2021年に出版された小説で特に注目されているのが、一穂ミチさんの「スモールワールズ 」。各所で絶賛され、直木賞候補作に選ばれるなどの話題の作品です。また他に有力なのがベテラン作家2人が、自己最高傑作と言う小説(東野圭吾さんの「白鳥とコウモリ」と原田マハさんの「リボルバー」)。この三作に関しては本サイトで詳しく取り上げているので、そちらの記事もぜひチェックしてみてください。

一穂ミチさんの「スモールワールズ 」について書いた記事を読んでみる
東野圭吾さんの「白鳥とコウモリ」について書いた記事を読んでみる
原田マハさんの「リボルバー」について書いた記事を読んでみる

また他にも西加奈子さんの「夜が明ける」、伊坂幸太郎さんの「ペッパーズ・ゴースト」など有力作揃い。町田そのこさんの「星を掬う」はベスト10入りができるかどうか、といったところではないでしょうか。

「星を掬う」がドラマや映画化したら?キャストを予想してみた

刊行後、早くも話題になっている小説「星を掬う」。もしこの作品がドラマや映画化されたらキャストはどうなるのか、勝手に予想してみました。

芳野千鶴→有村架純
主人公。ギリギリ20代という設定で主役クラスといえば、真っ先に浮かぶのが有村架純さんです。家族の問題に悩むシリアスな演技も上手にこなしそうな印象があります。

内田聖子→小泉今日子
主人公の生き別れになった母親。意外とモテるという特徴なので、キョンキョンはハマり役かと。若年性認知症の女性をどう演じるかが、見どころです。

芹沢恵真→新川優愛
さざなみハイツに同居する女性。モデルのような綺麗な雰囲気の女性。実際にモデル出身の女性が適任だと思われます。

九十九彩子→木村佳乃
さざなみハイツに同居する女性。最近ブレイクしている江口のりこさんも思い浮かびましたが、ちょっとアクが強い気もするのでもう少し柔らかい雰囲気の木村佳乃さんで。

美保→蒔田彩珠
彩子の娘。ここは「おかえりモネ」や「大豆田とわ子と三人の元夫」での公演が記憶に新しい蒔田彩珠さんで。17歳の揺れ動く心情を巧みに表現してくれそうです。

野々原弥一→仲野太賀
千鶴の元夫。執念深そうな役柄が似合う男性が良いですが、いかにもときつめの人よりも、見た目は普通そうだけど実はヤバイって感じの人がハマりそうです。

野瀬匡緒→加瀬亮
ラジオ局ディレクター。優しい人柄でパッと思いついたのは、加瀬亮さんでした。

結城先生→松下洸平
医者。知的で頼りになりそうなイメージ。ドラマ「最愛」で熱演している彼の抜擢に期待です。

百道智道→岡部大(ハナコ)
デイサービスのお迎え。ここらで芸人枠を。ややぽっちゃりした愛嬌たっぷりな感じの人柄が合いそうです。

まとめ:「星を掬う」は多くの人に読んでほしい家族の物語だった!

いかがでしたか?「星を掬う」についてまとめました。

・町田そのこさんの本屋大賞受賞第一作
・若年性認知症の母と向き合う物語
・母娘の関係、向き合い方を問う作品
・ラストに大きな感動が待っている小説

でした。まだ読んだことがない方はぜひこの本を手に取ってみてください。

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