3分で分かる『光のとこにいてね』のあらすじ&ネタバレ解説・感想まとめ【第168回直木賞候補作】

第168回直木賞の候補作に選ばれた一穂ミチさんの小説『光のとこにいてね』。今回はこの小説のあらすじをまとめ、作品の内容やタイトルの意味、ラストの展開などを考察します。感想も記しますが、ネタバレ部分は読んだ人にしか分からないようにしているので、安心してご覧ください。

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一穂ミチの小説『光のとこにいてね』とは

書名 光のとこにいてね
作者 一穂ミチ
出版社 文藝春秋
発売日 2022年11月7日
ページ数 462ページ

2021年に刊行した 『スモールワールズ』が第165回直木賞候補、第43回吉川英治文学新人賞受賞、2022年本屋大賞第3位と高く評価された、一穂ミチさん。BL出身の作家ながら一般小説でも大きく注目され、今作『光のとこにいてね』でも話題を集めています。

『光のとこにいてね』は二人の女性の幼少時代から大人になるまでの交流を描いた物語。階級の違う二人が出会い、運命に翻弄されながらも出会いと別れを繰り返す様を丁寧な筆致で描いた長編小説となっています。

※『光のとこにいてね』は以下に当てはまる人におすすめ!
・女性二人の愛情にも似た強い友情を描いた作品を読みたい人
・『スモールワールズ』が好きだった人
・本屋大賞、直木賞とも有力候補とされる話題の本を読みたい人

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3分で分かる『光のとこにいてね』のあらすじ【※ネタバレなし※】

古びた団地の片隅で小学二年生の小瀧結珠と校倉果遠は出会った。結珠は、ママがボランティアと称して誰かとこっそり会っているわずかな間だけ、果遠と会って交流する。シングルマザーのもとに団地で育つ果遠と、裕福な家に生まれた結珠は、着ている服から食べるものも住んでいるところも全然違うけれど、お互いに惹かれ合う

二人は運命に導かれ、また引き裂かれるように出会いと別れを繰り返す。7歳、15歳、29歳と四半世紀にわたる、二人の物語…。

『光のとこにいてね』の主な登場人物まとめ

『光のとこにいてね』に登場する主な人物をまとめました。しかししっかり紹介すると少しネタバレを含むので、まずは初登場時の主なプロフィールを添えます。

小瀧結珠(こたきゆず):裕福な家庭に育つ。初登場時は小学二年生。
校倉果遠(あぜくらかのん):シングルマザーのもと育つ。初登場時は小学二年生。
・結珠のママ:ボランティアと称して、団地の住人と隠れて会っている。
・果遠のママ:シングルマザー。オーガニックな生活を徹底している。
・小瀧健人(こたきけんと):結珠の兄。高校三年生の頃は引きこもり。
・近藤亜沙子(こんどうあさこ):結珠のクラスメイト
・チサさん:果遠の隣に住んでる女性。DVの彼氏と付き合っている。
・藤野素生(ふじのそう):健人の後輩。初登場時は医学部の大学生。
・海坂瀬々(うなさかぜぜ):本州最南端の地で会った女の子。
・岡林さん:ダイビングショップ経営。
・直くん(なおくん):結珠の弟。
・宗田(そうだ):フリースクール運営。
・海坂水人(うなさかみなと):結珠が訪れたスナックにいた客。

以上です。ここからは作品を読み進めていくと分かる、登場人物のプロフィールまで公開した人物紹介を行います。

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小瀧結珠→藤野結珠:初登場時(第一章)は7歳。二度目の登場(第二章)では15歳。高校に進学している。三度目の登場(第三章)では29歳。教職を辞め、夫とともに本州最南端の地へと移り住んでいる。

校倉果遠→海坂果遠:初登場時(第一章)は7歳。二度目の登場(第二章)では15歳。特待生として結珠の通う高校へ入学する。三度目の登場(第三章)では29歳。和歌山県にて実家のスナックを引き継いでいる。

・藤野素生:初登場時(第二章)は医学部大学生で結珠の家庭教師を務める。二度目の登場(第三章)では結珠と結婚している。医者ではなく医療関係の在宅仕事をしている。

・海坂水人:果遠の夫。消防士をしていたが、ある理由で精神を病んでいる。

・海坂瀬々:水人と果遠の娘。フリースクールに通っている。

『光のとこにいてね』のネタバレ解説&考察まとめ

ここからは『光のとこにいてね』の魅力をさらに深掘りするために、作品の内容を考察していきましょう。ネタバレとなる部分は隠しているので、作品を読んだ方だけクリックして中身を読むようにしてください。

『光のとこにいてね』のタイトルが深い!意味を深掘りしてみた

「光のとこにいてね」というタイトルは、結珠と果遠が出会いと別れを繰り返す際の象徴的な描写からきています。『光のとこにいてね』は第一章、第二章、第三章から成りますが、それぞれのラストに注目してみましょう。

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第一章「羽のところ」のラスト。果遠は隣の家から亡くなったインコを盗んで、団地の公園に埋めようとします。スコップを持ってくるから待つように指示した際に、以下の場面が描かれるのです。

「そこの、光のとこにいてね」
その時、ちょうど私の立っているあたりだけぽっかりと雲が晴れ、小さな陽だまりができていた。私は「うん」と答えた。
「待ってる」
引用:『光のとこにいてね』64ページ

しかし結珠のママに見つかったことで、結珠は連れて帰らされます。そしてしばらく会わなくなるのです。

続いて第二章「雨のところ」。果遠は夜逃げのような形でママとともに故郷へ帰ることになります。別れを決意して結珠と出会う場面が以下(途中、少し略しています)です。果遠は結珠への想いを語った後にその場を立ち去ります。

「この前、わたしが結珠ちゃんだったらいいと思うかって訊いたよね」
「わたしは思わない。絶対に思わないよ」
「だって自分が結珠ちゃんだったら、結珠ちゃんを好きになることができないから」
「お願い。十数える間だけ、そこにいて——そこの、光のとこにいてね」
果遠ちゃんは駆け出した。ふたりで通った道じゃない、知らない街の暗がりへ。
引用:『光のとこにいてね』184-185ページ

第二章ではもう一つ、特に光が象徴的に描かれているシーンがあります。雨が降っているところとそうでないところの境目を音楽室の窓から二人が眺めるシーンです。先ほど引用した「わたしが結珠ちゃんだったらいいと思うか」という質問もこの時に飛び出したもので、別れのシーンへと続く伏線になっていました。

なお、第三章のラストでも「光のとこにいてね」の意味が強く出る場面が描かれますが、それは次の章で詳しく紹介しましょう。

このように「光のとこにいてね」は、ただ別れの時に出てくる言葉だけでなく、果遠が結珠に対して希望溢れるところにいてほしいという願いが込められているなど、様々な形で捉えることができます。深いタイトルだなと感心させられますね。

『光のとこにいてね』ラストに繋がる伏線が秀逸!

『光のとこにいてね』にはいくつか伏線が仕掛けられてあり、それが物語の重要な場面で登場してきます。ここではラストの展開と、そこに至るまでの伏線について考察しましょう。

ネタバレしていいからラストの展開をさらに詳しく知りたい方はこちらをクリック!

第3章のラストで、果遠は夫と別れて新たな人生を歩もうとしますが、結珠には夫のもとで幸せに生活してほしいと願います。そこで果遠は結珠に睡眠薬入りのココアを飲ませて眠らせ、その隙に立ち去ろうとするのです。

しかし、ここで思わぬ伏線が回収されます。結珠は以前、睡眠薬を服用していた時期があり耐性があったのです。なんとか気力を振り絞り眠りから覚めた結珠は急いで、果遠を追いかけます。

眠りに負けないように顔面を自ら殴打した結珠。果遠を追いかけていた時に、鼻血が出てきます。本人は何十年ぶり?と言ってますが、実は鼻血の描写が出たのは、結珠と果遠が初対面となったシーン。こんな形で伏線を回収するなんて、見事ですね!

ラストは追いかける途中の場面で終わりますが、光に満ちていく描写が圧巻で、希望溢れる終わり方でした。

海が光っていた。波も光っていた。空も光っていた。結珠ちゃんの車のボンネットもフロントガラスも、すべてが光の中にいた。
引用:『光のとこにいてね』最後のページ

二人の関係は?愛情なのか?友情なのか?作者のインタビューから見える答え

『光のとこにいてね』は、結珠と果遠の二人の交わりを四半世紀かけて追いかけた物語ですが、はたして二人の関係性はどう捉えたらよいのでしょうか?作者・一穂ミチさんのインタビューで、本人は二人の関係性を「愛情の原液」だと表現しています。

自分でも書きながら、そこ(※注:二人の関係性をどう言葉で表現するかについて)を作者が無理にコントロールするのはやめようと思っていました。しいていえば、二人が手にしていたのは、愛情の原液みたいなものなのかもしれません。
引用:一穂ミチロングインタビュー | 作家の書き出し – 文藝春秋BOOKS

さらに一穂ミチさんはこう続けます。

心の柔らかいうちに出会って、ある程度自分をさらけ出していた相手に対しては、もう隠してもしょうがない、格好つけてもしょうがない、みたいな気持ちが生まれるのかなと。
(中略)
二人の間には、お互いが傷ついて生きてきたことを、お互いだけが知っているという、労わり合いのようなものがあると思います。
引用:一穂ミチロングインタビュー | 作家の書き出し – 文藝春秋BOOKS

階級は違うけれども、幼少時からお互いを知り惹かれあっていた二人だからこそ描ける世界があったのでしょう。

『光のとこにいてね』スピンオフの物語もおもしろい!

単行本『光のとこにいてね』の初版限定でショート・ストーリーが封入されています。「青い雛」と題されたスピンオフ物語で、語り手はチサさんです。第二章で果遠の高校生活に大きな影響を与えるようになるチサさんがどんな想いを抱えていたか分かるようなストーリーになっています。ぜひ物語を一読した上で、こちらのショートストーリーも読んでみてください。

『光のとこにいてね』を読んでみた感想

ここからは『光のとこにいてね』の感想をまとめます。筆者の感想は考察で書いた内容も少し重なりますが、もう少しフランクな形で書きます。また読者の感想はSNSやAmazonサイトなどに掲載されたレビューなどをまとめます。

【筆者の感想】ひさびさに号泣!優しさが溢れる物語

本を読んで泣くことはそんなに多くないのですが、今回は号泣してしまいました。一気にページをめくっていくのがもったいなく感じ、ラストあたりは噛みしめながら読んでいきました。

とにかく二人の心情を細かく丁寧に描いているなと。ただ二人が愛し合うのではなく、周囲の人間がいつつもその人が存在しているのだと、お互いに認めて尊敬しているのが、理想のパートナーシップだと感じました。二人がその後、どんな生活を送るのかも気になります。

長編なのに登場人物の人数が最小限で抑えられているのも、よかったと思います。軸がしっかりしていて、焦点がぼやけずに二人の世界を中心に入り込むことができました。

【みんなの感想や評価】まじめに生きる人たちの、まじめな物語

面白かった。
風景や情景の表現が秀逸。
特に、梅雨時期の
太平洋や空や雲の色の描写が
力強い。言葉で色を
こんなにも表現できるんだ。
引用:Amazon

近づきすぎればかえって壊れてしまうような関係が、何重にも縁を重ねて、揺るぎない信頼に育っていくさまが納得できる形で描かれていた。
とても好ましい二人の関係を見守り続けて、ため息をつくように読み終えた。真面目に生きる人たちの、真面目な物語。
引用:Amazon

まとめ:『光のとこにいてね』はだった

いかがでしたか?『光のとこにいてね』の特徴を以下にまとめました。

・二人の女性の出会いと別れを追った物語
・第168回直木賞候補作
・ラストに至るまでの伏線が素晴らしい
・タイトルの意味が深い

以上です。まだチェックしていない方は、ぜひ読んでみてください!

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